映画感想4「ベンジャミン・バトン数奇な人生」
設定だけ知ってる映画といえばベンジャミン・バトン数奇な人生。
ということで、初めてしっかりと観た。どうでもいいけど今の今までタイトルはベンジャミン・バトン“の”数奇な人生かと思ってた。
こういう「世にも不思議な」設定の映画はふわふわした映像でストーリーもでこかフワフワしてるんだろう……という偏見があったが、ベンジャミン・バトン、そんなことなかった。現実の20世紀を舞台に、地に足ついた人生が主人公ベンジャミンの視点で語られていく。解像度の高いおとぎ話のような感覚。
話の中心はラブロマンスで、そういう恋愛ものほとんど見ないたちの自分でも普通に感動できた。登場人物が皆良い奴なんだわ。視点のほとんどはベンジャミンの回想だし、彼が人の好い所に感化されて生きてきた証といえるのかもしれない。
人生を追っていくだけの映画といえばそれまでなんだけど、「どのように若返り、それが周りとの関係にどう影響を与えるのか」が気になって観るモチベーションに繋がった。長い映画で派手なアクションもないけれど観やすかったのは設定の力。あと山ちゃんの独白。映像も過度に幻想的すぎるところが無いのが個人的に良かった点の一つ。
ベンジャミンは他の人とは時の流れが違う。彼は確かに20世紀をただただ生きているだけなのに、そのすべてが何となく特別なように感じられる。
実際そんなことはなく、ただ「時の流れが違う」ことで人間一人一人の当然持ち合わせている特別さがわかりやすく伝えられてきただけとも思える。
時計が進もうが巻き戻ろうが、同じ文字盤を針は刻んでいく。
同じように出会いがあり同じように別れがある。
そんな感じの映画だった。