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🍎偏差値45の教員。先生になる


午前の会議が終わり、昼ご飯の時間になる。仲良い先生同士で外にご飯を食べに行く人もいれば、仕事が忙しくて職員室でパソコンを触りながら食べる先生もいる。

職員室の中心で、みんなでご飯に行きましょう!と、言ってる先生がいる。たしか、社会科の青井先生だ。若い青井先生が、周りの40代50代の人達に笑われながらも仲を深めようと健気に振る舞う姿は、同じ20代の私から見ても可愛く見えた。愛嬌を義務教育期間中に履修してきた人間は誰よりも強いのだ。

一方で私は、スマホを触り忙しいふりをしながらおにぎりを食べ、午後の会議も静かに下を向いて終わらせた。

私の配属は2年生の副担任だった。副担任の仕事が何かはわからないが、今更わからないことに動揺などしない。ただ黙って、従うだけだ。会議が早く終わらないかと、チラチラ時計を見て過ごした。

会議が終わり、一緒に組むことになった学年の先生に一通り挨拶をしたら17時半になっていた。そろそろ帰ろうかと思い、カバンに財布とスマホをしまっていると校長室から校長が血相を変えて出てきて辺りに聞こえないような小声で
「今から校長室に来てください。」と言う。

鳥肌が立ち、背筋が凍った。何で呼ばれたのかもわからないが、きっと悪い内容だ。校長室のドアの窓からは、ドア側に座っている教頭の姿も見える。 

首からぶらさってる名札には、横山の後に先生が書かれている。先生の文字をマジックで真っ黒に塗りつぶしたくなってきた。

先生と呼ばれる人間が、こんなにも脆く弱く頭が悪い生き物で良いのか。自己紹介をしただけで採用を決めた教育委員会の人に聞きたくなった。


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