甘い昔話
昔、昔、あるところに女の子がいた。名前はよいと言った。
母親がアイスを買ってきた日、よいは元々冷蔵庫にあるアイスを食べれば良い。と言われた。
食パンを貰った日、よいは端っこを食べなさい。と言われた。
バレンタインデーの日友達が部員全員に友チョコを配ってた。私は割れたハートのクッキーを貰った。
その昔、私は売れ残りがよく似合う女の子だった。
デパ地下のパン屋さんで働いていた時がある。店仕舞いの時間になると、シャッターを閉めて売れ残りのパンをゴミ袋にドカドカ詰め込んで、地下に持って行った。そこには、デパ地下で売り残ったケーキや焼売や卵焼き、サラダなんかがゴミ袋に詰め込まれて捨てられていた。
私はそれだった。私はそれで、可愛いあの子みたいに、友達が多いあの子達みたいになれなかった。
そんな、いつかの自分にさようならをしよう。
夫が作るご飯はいつも真ん中が、いつも形が綺麗な物が私のお皿によそわれているのだから。