うつを生き直すチャンスと捉える

とあるnoteの記事で紹介されていた『うつの効用』という本を読んでみた。ぜひ鬱病や適応障害を抱える人には読んでみてほしいと思う。以下に私が読んで感じたことを書いていく。

私は約1ヶ月前に初めて診断を受けたが、そのときの自分の状態が病的だとすると、実はもっと前から鬱病だったんじゃないかと思った。
少し回復してきて、病的な状態を客観的に見れるようになってくるとよりそう思う。

今や鬱病は15人に1人がかかる病気といわれているが、恐らく自分は大丈夫だと病院に行かず、診断されていない人も含めればもっと多くの人が抑うつ状態で生きているのだろう。

本の中で筆者は「適応」とは「麻痺」の別名であると言っている。「適応」の対象である社会が愚かで間違った場所であった場合、その社会に「適応」するためには真っ当な自尊感情や良心を「麻痺」させざるを得ないと。
そこに「適応」できないと、「麻痺」しきれない自分を責め、自己否定に囚われてしまう。このようにしてうつになっていくケースは少なくないという。

夜寝れない、食欲がない、好きだったことに興味が湧かない、気分が落ちたままで感情がない。これらは鬱病の主症状だ。これに少しでも当てはまっていたら、このストレス社会、みんな同じだろう、辛いのが普通だろうなんて思い込まずに、自分のことを考える時間を作ってほしいと思う。

うつという「不幸印のギフト」は、実は真に幸せな生き方を教えてくれるギフトである。こんなことも筆者は述べていた。自分の心がいったい何を言おうとして「うつ」というストライキを起こしたのか、これまでの生き方の何が違うと心は告げているのか。この問いかけに向き合うことではじめて見えてくるものがあるという。

普段の生活の中で、この世界の広さを実感することはなかなか難しい。自分のいる環境で生きることに精一杯で視野が狭くなり、外に目を向けられなくなる。でもその環境が自分に合っているのかはわからない。自分の人生なんて自分で選んできたようで、意外とそうでもないからだ。実際には環境や状況に左右されて、流れに身を任せて生きている部分も大きい。

自分のいる世界はそこまで固執しないといけない場所なのだろうか。この宇宙のどこかに、見たことも行ったこともない星に未知の生命体が必ずいると信じられているように、自分が経験したことのない景色や経験のなかに何か大切なものが見つかるかもしれない。

うつを生き直すチャンスと捉えて、ここからまた自分の人生を築いていく。
いつか、うつになった甲斐があったといえるようにまずは一歩踏み出してみよう。

そんな思いにさせてくれた本でした。

いいなと思ったら応援しよう!