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塔の上のラプンツェル(創作物語)

ラプンツェルの奇跡

十数年前、とある貧しい夫婦が近くの屋敷に住むデイム・ゴーテルの畑から野菜を盗みました。そのことがデイム・ゴーテルにばれ、夫婦は産まれたばかりの赤ん坊を奪われてしまいました。

やがて赤ん坊は大きくなり、長い髪の少女に成長しました。デイム・ゴーテルは少女の名前をラプンツェルと名付け、窓が一つしかない高い塔に閉じ込めてしまいました。ある日、森の中で迷子になった王子が通りかかります。ちょうどその時、デイム・ゴーテルが塔の窓に向かって言いました。「ラプンツェル!髪を下ろしておくれ!」すると長い髪の毛の少女が現れ、デイム・ゴーテルは下ろした髪ををつかんで塔を上って行きました。王子は草陰に隠れて様子を見ることにしました。

暫くしてデイム・ゴーテルはまた髪の毛をつかんで下に降り、どこかへ行きました。その様子を見ていた王子は気付かれないように塔の下までやってきました。するとラプンツェルが窓から顔を出し、歌い始めました。王子はラプンツェルの美しい歌声に、だんだんと心地よくなり眠ってしまいました。やがて夜になり王子が目を覚ますと、またラプンツェルが窓から顔を出して星空を眺めていました。王子はラプンツェルに声をかけました。「ラプンツェル、そっちに行っていいかい?」ラプンツェルは突然の声に驚きましたが、王子を見つめて微笑み、喜んで迎えました。

王子がデイム・ゴーテルと同じようにラプンツェルの髪をつかんで登ろうとしたとき、ラプンツェルの後ろからデイム・ゴーテルが姿を現し、ラプンツェルの髪を切ってしまいした。王子は塔から落ち、失明してしまいます。そしてデイム・ゴーテルはラプンツェルを連れてどこかへ行ってしまいました。

暫くの時が流れ、塔の下で気絶していた王子が目を覚ますと、自分が失明している事に気づき、ショックを受けました。王子はふらふらと立ち上がり、手探りで森の中へ入り、木にぶつかりながら彷徨っていると、森の中で迷子になった王子を探しいていた家来たちやってきて、王子を発見します。家来たちは王子が失明している事に大きな悲しみを覚え、王子から塔であった事を全て聞きました。そして共にラプンツェルを探すことにしました。

その頃デイム・ゴーテルは、ラプンツェルを砂漠に連れて行き、置き去りにしようと考えていました。実はデイム・ゴーテルはラプンツェルの長い髪に触れる事で若さを保っていたのですが、切ってしまったので効果がなくなり、もう用済みだと砂漠に置いてどこかへ行こうとしていました。しかしラプンツェルは残った髪の毛でデイム・ゴーテルの手首を縛り、逃がそうとしませんでした。

一方、王子たちはデイム・ゴーテルの屋敷へ向かいました。そこではラプンツェルの両親が召使いとして働かされていました。両親に塔であったことを伝えると、ラプンツェルは砂漠に連れて行かれた事を聞きました。

王子たちが砂漠へ向かうと、デイム・ゴーテルとラプンツェルが一緒にいるのを発見します。ラプンツェルを振り払って逃げようとするデイム・ゴーテルを家来たちが捕らえ、残った王子はラプンツェルの名前を呼ぶと、ラプンツェルは王子の元へ走っていき、王子を抱きしめました。

王子とラプンツェルは城に戻り、王子は家来に自分の部屋にラプンツェルを案内させ、王子はラプンツェルに「塔で聴いた歌をもう一度聴かせてほしい」と言いました。ラプンツェルが王子の前で歌うと、奇跡が起こり、王子の失明した目が見えるようになりました。こうして二人は結婚し、幸せに暮らしました。
捕まったデイム・ゴーテルは、城で下働きをすることになり、過去の過ちを償いました。

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