語学 美学 喧喧諤諤
巷では語学のあり方に関して意見がかまびすしいが、最も大事なのは個人的には<語感>だと思っている。ところが…。
通常、① <母語 ☞ 外国語>の方向よりも ② <外国語 ☞ 母語>の方向の方がはるかに<語感>が働きやすいはず。それにも関わらず、斯界ではなぜか
① の方向での<外国語>の<自然さ>をやたら求める声に較べて、② の方向での<母語>の<自然さ>を求める声がそれほど聞かれぬのはなぜだろうか、
と常々いぶかしく思っている。
具体例で見よう。
① <母語 ☞ 外国語>の方向:
「夕方お電話お待ちしております」
☞ “Please call me late in the afternoon.” “Please call me in (the) late afternoon.” は<自然>だが、
☞ “Please call me in the evening.” は<不自然>。
“evening” は「日没から就寝まで」を指し、日本語の「夕方」よりもかなり広い意味になるから。
これは、まあいいとして、
② <外国語 ☞ 母語>の方向:
“Taylor Swift is one of the most popular singers in the world.”
☞「Taylor Swift は世界で最も人気のある歌手の一人です」は個人的には完全にアウト。
☞「Taylor Swift は世界でも屈指の/指折りの人気歌手です」「Taylor Swift は世界を代表する人気歌手です」の方がはるかに<自然>。
“My daughter overslept this morning. So she was almost late for school.”
☞「娘は今朝寝過ごした。で、彼女は学校に遅れそうになった。」は個人的には完全にアウト。
☞「娘は今朝寝過ごした。で、学校に遅れそうになった。」の方がはるかに<自然>。(自分の娘を捕まえて「彼女」なんて言うか?)
みなさん、① の方向での<外国語>の<自然さ>を求めるのもいいけれど、その前にまずは ② の方向での<母語>の<自然さ>を尊重しましょうよ。
日本人なんだから。