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「砂の果実」的な、大人に。

坂本龍一の「The Other Side Of Love」 という曲が大好きだ
初めて聞いてから28年たつのにいつまでたっても僕の中の名曲

この曲は英語バージョンと中谷美紀の歌う「砂の果実」という日本語バージョンがあるんだけど、中谷美紀も大好きなのでこちらもお気に入り

日本語バージョンは冒頭

「あの頃の僕らが嗤って軽蔑した 恥ずかしい大人にあの時なったんだね」

という度肝を抜かれる歌詞から始まる

気づけば立派なおじさんになった僕が
あの頃嫌だった大人ってなんだったっけと思うと

1.アブラギッシュな顔 不潔
2.加齢臭 よって不潔!
3.おしゃれじゃない
4.プライベートの干渉
5.過去の武勇伝

これについて自分と照らし合わせると1,2については努力している
同僚や姪っ子たちにいい匂いがするという「いい匂いおじさん」のため
なんとかなっているとして項目4あたりからだんだん怪しくなってくる

自分はコミニュケーション能力に関してはとても高いという自負もあるものの、人に興味があるのかといわれると実はそうでもない
自分は自分、人は人という意識が強いせいか
あなたのことも否定しないから、どうぞ僕のことも構わないでと思うのだ

しかしながら、社会生活を行う上でプライベートの詮索は発生する
お天気の話だけでは上司との片道2時間 社用車での移動はこなせないのだ

本当は無言が心地いいし、なんなら運転するからイヤホンで音楽ききたいし
むしろ遠慮なく寝ててくれ!と思いつつ日々乗り切っているのはきっと僕だけではないと思う
新幹線や飛行機が無言がマナーなら社用車だってそれでいいじゃないか

前職は片道2時間の出張が多く
移動中の社用車で何か話さないといけないのは苦痛でしかなかった
友達とは8時間電話できても
毎日顔をあわせる上司、しかも頻度高め きつい

今日の仕事の確認では時間は消化できず
昨日何たべました~?
今度の休み何するんですか~?
あの仕事進捗どんな感じなんすか~?
あの人こういうとこアレですよね~
最近これ買ったんだけど~
今何にはまってます~?
お子さん部活どんな感じ~?
お昼何食べます~?

と絞りだしては相手がしゃべってくれるのを適宜うなづき
時間が過ぎるのを待ってた

今後もこの会社でずっとこの狭い部署でこれを続けていくの?
あったこともない上司の子供の成長を聞いて?
小学生だった子が高校生になりましたが?というタイミングで前職を辞めました

上司は悪い人ではないのでやめた後でも交流を持っている
むしろ頻度が少ない分上の話題を今なら絞り出さなくても話せる
なんなら上司の子供がどんな成長をしているかも気になるし

不思議。

プライベートの干渉
これはむしろ干渉されるというか話すことがないから
勝手にしゃべってもらうためだったのだなと理解すると
…そりゃやるね ごめんなさい
今なら体育会系出身の人がかわいがられるっていうのはよくわかる気がする

過去の武勇伝
これはあんな風になりたくないと思っていても絶対になる

「僕はインターネットの前のパソコン通信の時代からやってるんだけど
あの頃はネットが使い放題じゃなかった スマホとかもなかったし
でも途中で夜10時から朝までは使い放題の時代になってね
今の子たちはそういうのないもんね うらやましいよ」

はいこれ、事実なんですよ
過去はこうでしたという報告

でも取りようによっては古参自慢かよともなってしまうわけで
いや知らねーし、いつの時代の話だよ今を生きろよ!令和だよ!ってわけで
事実の報告が武勇伝になってしまうのは受け取り手次第

興味もなければ好きでもないし、交流も持ちたくない人には何をどう頑張ってもどうにもならないわけで…
なので過去の武勇伝を話すから苦手って人はそんなの関係なく嫌いな人です
嫌いっていうのをオブラートに包むために武勇伝を話す人と置き換えてるだけ

最近だと「承認欲求」というのをよく見かける

私は過去こういうことをしてきた人なんです
だから同じような趣味を持っている人と知り合いたい
自分の知らないときめきに出会うため情報交換がしたいんです
という僕のように「note」を書く人たちも「承認欲求の強い人」という言葉で意図せず済まされるのかもしれない

そう思うと「あの頃の僕らが嗤って軽蔑した 恥ずかしい大人」だった人は
仲良くなりたくない、ってか嫌いな人ってだけだったんだね

たしかにもう連絡先も残っていない

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