知らぬ故に 乾闥婆像②
心と言葉の研究者 リーディングマスター・まさみちです。仕事は心理カウンセラーをしており、夫婦間、家族間など深層心理の奥に隠された無意識領域の問題も解決へと導いております。「リーディング」って何かがわかるよう、この記事では仏像に込められた作者や真理について紐解いて紹介しております。(42/88)
後白河天皇が作った三十三間堂、蓮華王院(れんげおういん)をリーディングで紐解くことをはじめました。二十八部衆の存在など、資料をググってもどういう意味かがまるでわからないので、仏像本体に問いかけてみたら、何か掴めると思い、試みています。
前回は、満善車鉢像(まんぜんしゃはつぞう)を紹介し、後白河天皇の仏像へ祈願する思いに触れ、泣けました。読んでいない方は、読んでみてください。
乾闥婆像②(けんだつばぞう)
物事や物語は音のようなものです。
太鼓を叩くことで音は鳴るように、「タン」と鳴り始め「タ」と、鳴り終わり「ン」があり、静寂へと戻ります。物事や物語は「始まり」と「終わり」がいつも連なっているものです。
「音」を人生で例えるなら、「生まれる」と「亡くなる」の間のことで、繋がり合う二つの中は「(寝ている)夢のようなもの」であり、「作り話のようなもの」であり、目が覚めたくないほど、夢中になるもので、過ぎ去れば思い出すことも出来ない幻のようなものです。
音を楽しむには、色んな音を合わせ、連続性を持たせたり、変化させたりしてリズムを刻むことで楽曲となります。それは、人生を楽しむには、色んな人と交わり、繋がりの縁を結ばせ、楽器のように叩いたり(競う)、弾(はじ)いたり(協力する)、揺らしたり(作る)、吹いたりする(愛する)ことで、気持ちが動かされ、物語となります。
けれども、太鼓を変に叩きすぎると破れてしまうように、人生を競い合うと、心が壊れてしまうことが起きてしまうものです。
楽しく遊び合った友や家族と、生き方の違いでぶつかり合うことが起きてしまうものです。
より大きな音色を出すには、より強く叩かなくてはならず、太鼓の膜と手の平が激しくぶつかり合い、音色は響いて消えていくものです。深く結びついた友や家族との縁も、想いが衝突し合い、気持ちが離ればなれになってしまうことが起きてしまいます。
この時に、太鼓が壊れてしまうか、叩いた手の平が壊れてしまうのか、そのどちらともが壊れてしまうのか、見ている仏のわたしが壊れたように見てしまい、叩くのを止めてしまうのか、今一度思い返してみて欲しいのです。
物事はいつも対を為し、繋がっているものです。
離れすぎては何もなくなり、近くに居てくっついていても音は鳴らず、叩いていないと音にならず、抑揚をつけて叩くことでリズムとなり、豊かさにならないものです。
これは「死を恐れて何も始めず」にいると、何もかも退屈となり生きている命の意味が無くなり、「生を恐れて何も終わらせず」にいると、何もかも狂ってしまう状態となり、決まったパターンの音(生き方)しか出せなくなり、自然ではなくなることを示しています。
命の意味を人は、「死」という幻想がなければ輝かせない切ない状態にならないでください。生きる意味を「他人より多くの富みを持つ」ことや、「他人より優れた知恵、技術を持つ」ことや、「他人より美しい伴侶を持つ」ことや、「他人に攻め込まれない強靱な意志を持つ」ことに囚われないでいてください。
音楽は、様々な楽器が揃う方が、より楽しく、素晴らしい演奏ができるように、人生は、様々な人たちで交じり合い、助け合い、支え合うことでよい物語が生まれるものです。
もしも、太鼓である人の心が壊れてしまい、友や家族が叩いても、鳴らない状態に陥っているなら、太鼓である心をそのままにしないでいてください。友や家族もまた心が壊れている為、誰も治せなくなっているものでもあり、みんなが傷ついているから、傷ついた音色で満足してしまうことをしてしまうものです。素直な気持ちを思いだして、良い音色を叩いてみてください。見ている仏のわたしから動けば全てが元通りになります。
太鼓という心を叩くリズムが違うことで、みんなの中から脱落する人がいます。
鳴り方が他と違うことで、馴染むことが出来ない人がいます。
見ているわたしが「壊れてない」と見れば、私の心も、友の心も治せてしまう力があるのです。
「見たいように見る世界」なのです。
鳴らす音を見れば、心の歪みがわかります。
「一緒に太鼓を叩こう」と、音楽をしようと誘う心が人の心を救います。
恐がっていいから、リズムに合わせて手を合わせて鳴らしてみよう。
小さい音でも、二つが一つに鳴ったとき、「音」という世界が生まれて亡くなります。「無」があるから「音」の素晴らしさがあるものです。
「無」という「みんな」が居るから「音」という「わたしとあなた」が合わさり、鳴り響く世界が創り出されるのです。
「みんなの夢を目覚めさせ,一度無くし」、「わたしとあなたの間で鳴らす音楽を新しく始めて世界を創り出す」ことが、ここからすることです。
一つの世界が終わり、また始まりました。
以上が、乾闥婆像(けんだつばぞう)の解説となります。
乾闥婆を簡素に解説すると「何もないから新しさを創り出せるものがある」が、「何かがあるから終わらせて、次に繋げられる始まりがある」としたニュアンスを持つものです。
太鼓を持つ乾闥婆像は、リズム一つで人の心は楽しくも単調にもなれるものです。鳴らさなくなれば、存在に気づけなくなり気にも留めなくなるものです。
音の漢字は、「立」と「日」で出来ています。
自ら立てるようになることで、「日」=「陰陽」である為、男女が一つに合わさり、息の合った音楽を奏でるような素敵な結びつきが「世界を生む」ことを伝えるものです。
男女が深く結びつくことこそが、心の世界を救い出す始まりとなるものです。
好きな人と愛し合っていてください。
それだけで世界は幸せであるのです。
いかがでしたでしょうか?
では、また。
リーディングマスター・まさみち。
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