遅刻を減らすのに【罰金】は逆効果??【61号】
今、「だから僕たちは、組織を変えていける」という本を読んでいますが、時代の変化に対応して、どういった組織に変えていくべきかのヒントが多数あり、会社の幹部の方にも推薦して読み進めています。
その中で【イスラエル託児所の罰金実験】というものがあり「金銭を餌に」モチベーションを上げていくことのリスクを分かりやすく理解できましたので、紹介してみたいと思います。
経済学者のU・ニーズィーさんとA・リストさんが、お迎えに来る親の遅刻が多いイスラエルの保育園で、迎えに遅刻した場合に罰金(290円ほど)を課すという実験を行ったようです。
常識で考えれば、金銭的にもったいないので、時間に間に合うように迎えにきそうなものですが、結果どうなったか?????
なんと
・罰金ルールを導入後、迎えに遅刻する親が約2倍に増加
・罰金ルール導入後、再度罰金が無い状態に戻したが、遅刻する親は減らず、変わらないままだった
*詳細を知りたい方はこちら。
「お金があれば人の行動を縛れるという勘違い」
なぜこういったことが起きてしまったのか?
「だから僕たち、組織を変えていける」にこう解説されています。
ルールを守る心のOSが
「迷惑をかけたくない!」(社会規範)から
「お金を払えば遅刻してもいい」(市場規範)になってしまったからだった!
しかもその後、罰金をとりやめても、遅刻する人の数は元に戻らなかった。
いちど市場規範を適用すると戻れなくなる。
*社会規範・・・善意や常識に基づく行動の基準
*市場規範・・・損得に基づく行動の基準
いちど市場規範を適用して、損得でリーダーシップを発揮するのは短期的には効果がありそうですが、中長期では怖いですね…
私のいる会社では、人間性教育の一環として「環境整備」を実施していますが、徹底するために、月に1回環境整備点検を行っています。その際に、決められた基準を満たさないと、減点になり、評価に反映される仕組みになっています。
上記の保育園の実験を見て、もしかしたら、
・評価が下がってもいい(市場規範)という思考パターンに陥ってしまい、環境整備・5Sの本来の目的(社会規範)を見失ってしまっている
・形から入ったけど、心に至っていない。一度は、心に至っていたけど、形骸化してしまっている
といったことが起きてしまっているのでは?とヒヤッとしました。
もしそうだとすると、由々しき事態です(汗)
「形から入って、心に至る」(たとえ見た目だけでもできるようになれば、いずれ心は自然とついてくる)という発想で、型通りに実践して基準を上げていくことは絶対的に必要ですが、
「なぜ、それをやるのか?」というwhy・目的を定期的に繰り返し繰り返し、問い続けることが改めて大事だな~と思い至りました。
社内でも、目的意識が形骸化していないか問いかけてみようと思います。
【今日の習慣】
市場規範も大事だけど、社会規範を土台にする。
形から入って(なぜ?を繰り返し問いかけ続けて)心に至る
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