地球と人類の誕生ー神話
さて、通常は次の段階へ進むべきところですが、
リーダーのための歴史教室ですから、リーダーに役立つ別の観点をご紹介します。
それが、『神話』と呼ばれる、古くから伝えられている物語。
世界各地にたくさんの神話が言い伝えられ、残っています。
神話は、その民族ならではの死生観、歴史や考え方が如実に表現されています。それぞれの神話を知ることは、異文化を理解するのに大きく役立ちます。
今日はそんな神話を通して、地球と人類の初めについて見ていきたいと思います。
※詳しい神話を知りたい方はどうぞ本をご覧ください。ここではざっくりとあらすじを載せます。
<ギリシャ神話に見る世界の成り立ち>
昔、世界には何の形もありませんでした。どろどろしていて、暗闇が横たわっていました。
やがて大地の女神ガイアが現れ、天空の神ウラノスをうみます。
星がきらめき、高くそびえる山、波の美しい海もうみだされ、
世界は天と地と海にわかれます。
やがてガイアとウラノスは結婚し、ウラノスが世界をおさめることになります。
また、二人の子供は18人生まれます。個性豊かな子供たちーー目が1つだったり、巨大だったり、腕が100あったりーーと多種多様な子供たちを、ウラノスは嫌い、閉じ込めてしまいます。まあそこから色々と復讐劇が始まります。
<北欧神話に見る世界の成り立ち>
昔世界には何もなくて、ただがらんどうが広がっていました。
そのがらんどうの、南には真っ赤な火が、北には冷たい氷がありました。
やがて、氷は火によって溶け出し、
そのひとしずくの中に巨人の命が宿ります。
もうひとしずくの中には雌牛が。
巨人は雌牛の乳を飲みながら巨人族をつくり、
雌牛はブーリと呼ばれると呼ばれる神族の最初の神様を産みます。
やがて神々は乱暴になった巨人族を倒し、その死体をバラバラにして世界を作ります。
巨人の肉で大地を、流れ出た血で海や川を。
大きな骨で山や岩を、小さな骨は石に、髪の毛で木や草を。
頭蓋骨を大地にかぶせて空を、脳みそで雲を。
また、南から飛んでくる火花を月と太陽、星にして、昼と夜ができました。。
<日本の神話に見る世界の成り立ち>
あなたが日本に生まれ育ったのでしたら、一度は聞いたことがあるかもしれません。
日本で神様は「柱」という単位で数えられます。
三柱の神様が、世界の全てのものの元になります。
世界がだんだん明るくなって、海の水にクラゲみたいに漂うものが少しずつ固まって、
そこからあれよあれよと十二柱の神様が誕生します。
十一番目に誕生したのがイザナギノミコト(男の神様)。
十二番目がイザナミノミコト(女の神様)。
神様にも性別があったんだね。
で、世界はまだふわふわと混沌とした状態で、この二柱の神様に命令が下されます。
「イザナギと、イザナミよ。あのふわふわした世界をしっかりと固めて立派な国を作りなさい」
そして二柱は、天から下の世界にかかっている橋「天浮橋:アメノウキアシ」から海へ向かって矛をさしおろし、くるくるかき混ぜて島を作ります。二柱はその島へおりて行き、立派な御殿を建て、大きな柱を、イザナギは右から、イザナミは左から回って、出会う。
色々経て二柱は子供をうみ、それが今の淡路島、伊予の島(四国)、隠岐の島、筑紫の島(九州)、伊伎の島(壱岐島)、津島(対馬)、佐渡の島、大倭豊秋津島(本州)という8つの島になったということです。
ちなみに、画像はイザナキとイザナミが、矛をくるくるして、国を作っているところ(国生みのシーン)。
さて、今回は神話から世界の始まりを振り返りましたが、いかがでしたでしょうか?
それぞれ、何もないところから始まる所しか共通点がないような気もしますが、特徴的な世界の始まりが語られています。読み進めていくと、時々、リンクしているところが出てくるのですが。
どの神話でも、非常に個性豊かな神々が出てきます。今回取り上げたのは初めだけでしたが、神話に触れれば触れるほど、読者の方も知らないいうちに映画や本の中で見聞きしていることに気づくと思います。
今後、こういった紹介もしていきたいなあ。たぶんこういうところを知っているかどうかだと思うんですよね。