頸部とリハビリ、時々バランス
交通事故やスポーツ中の脳震盪後では吐き気やバランス感覚の不良を訴える人が少なからずいる。反対に訴えはなくても、細かくみていくと何かしら気になることが出てくる。
この記事では今まで書いた視覚・前庭に続いて、バランスをコントロールする3要素のうちの1つ、体性感覚を頸部から考えていきます✨
頸部からの感覚
頸部に異常があると、眼球運動障害・バランス能力の低下・固有受容器からの情報にエラーが起こりやすい。
なぜ、頸部に問題があると上記のような問題が生じやすいのか。それは、頸部・前庭・視覚の神経がそれぞれ独立したものではなくて、繋がっているから。
例えば、前庭神経核には視覚系・固有覚系・平衡覚系の全ての情報が送られて、前庭神経核は小脳とも繋がりがあって
頸部の求心性神経は、脊髄視床路・脊髄小脳路を興奮させるんですね。
ハァ〜〜〜、難しやw
図で表すとこんな具合。。。
ただ、知識として分かっていてとしても問題もある。問題っていうのが、視覚・前庭覚・体性感覚どこが1番の問題になっているか判断しづらいということ。
例えば、頭部と目の分離運動ができないなら
目の問題なのか。
あるいは、前庭機能の低下があって問題が出ているのか。
はたまた、頸部機能の低下があって問題が出ているのか。
ここでは頸部に原因があるかを判断するテストを紹介します。
頭部と体幹を中間位でテストした場合と、捻転させた状態でのテストでは前庭受容器はそのままで頸部受容器の刺激を変えることができるので、このテストで違いが出れば前庭よりも頸部が問題となっている可能性が高い。
頸部のリハビリ
はい。頸部のリハビリは大きく3つに分けることができます。
❶頸椎モビリティーの機能障害に対して
❷神経筋コントロールに対して
❸筋力の強化
頸部と聞くとその言葉だけで難しい印象やとっつきにくい印象を持ってしまいがちだけど、リハビリの要素を考えると膝や肩、股関節と違いはナシ
ただただ、普段みる機会が多いか少ないかだけなんですね。
人には知らないこと=怖いっていう感じに、知らないことをマイナスの感情と結びつけやすい特徴があります。
例えばオンラインサロン・仮想通貨・クラウドファンディングとか。でも知れば怖くない。
頸部も同じですね!
頸部と可動性
頸椎は上位頸椎と下位頸椎に分けて考えます
上位頸椎 👉 可動性関節
下位頸椎 👉 安定性関節
屈曲伸展や回旋の動きに大きく貢献してるのは、可動性関節である上位頸椎。可動性の低下ってやっぱり身体に良い影響を及ぼすことは少なくて、当然上位頸椎が下位頸椎に比べて問題になりやすい。
それは僕が思うには
・筋紡錘が後頭下筋群にめちゃくちゃ多いから
・後頭下筋群は硬膜と間接的に連結してるから
・そもそもForward Head Postureで筋バランスが崩れてる人が多いから
筋紡錘の違いには驚き。。。全然違いますやん。。。
これだけ受容器があれば、首の痛み・頭痛・可動域の低下・姿勢制御の変化に影響が出るのも納得。
気をつけておきたいことは、頸椎だけでなくて胸椎の可動性も評価しておくこと。
本来であれば
胸椎=可動性、下位頸椎=安定性、上位頸椎=可動性
なんだけど、実際のところ
胸椎=可動性低下、下位頸椎=過可動性、上位頸椎=可動性低下
になっていることが多い。
だから、胸椎可動性を上げて、下位頸椎の安定性を出して、上位頸椎の可動性をあげるように徒手・運動療法を行なっていく。
頸部の運動時痛があるときには、胸椎伸展や屈曲に修正したらどのように変化するかみてみるとリハビリの方向が分かりやすくなる。
神経筋コントロール
衝撃によって頭の急加速・急減速が起こると、後頭下筋群だったり、頭長筋や頸長筋など頸部深層の屈筋群にある受容器に変化が起こる。
例えばフィードバックにズレが出て、頭のポジションに変化がでたりとか。
もちろん痛みも関係してるけど、回旋動作の指示に対して顎を突き出すような代償動作をしていたり、斜め上や斜め下を向く動作で回旋動作が出ずに上位頸椎の側屈+眼球運動で代償しているケースが多い。
他にも、眼球運動の制御障害・バランス能力の低下が起こるっていう報告もある。
運動を進めていく前提は痛みがないこと!痛みがあれば代償が働くし、どの関節でも好ましくない。
痛みがあるなら徒手あるいは、難易度を患者さんに合わせて下げて行うのがベスト。
評価兼エクササイズとして使えるよー。
難点はこの評価で問題が出たときに、頸部・視覚・前庭のどれに問題があるのかが分からないことと、難易度が少し高いこと。
だから、使うとすればリハビリの後期か、初期に問題がなさそうな人に対して本当に問題がないのか確認したいとき。
筋力強化
頸部と肩甲骨周囲筋の強化。合わせて、後頭下筋群と胸筋のタイトネスも合わせて改善したい。
徒手的にもするし、痛みがないならちょっとずつ運動療法も合わせて行なっていく。
頸部深層屈筋群に対しての評価兼エクササイズ。
頸部深層屈筋群の抑制と頸部痛には関係が合って、頸部痛を持っている人は持っていない人に対して有意に保持時間が短い。
まぁ、頸椎の生理的前弯をつくる筋が弱っていたらダメだよね。。。
結果的に胸鎖乳突筋や斜角筋の過剰使用につながって、FHPが進む一方。頸部周囲筋の易疲労性、筋力・持久力の低下も。
男性なら39秒、女性なら29秒を目標にやってみよう。
特別な道具もいらないし、簡単だからホームエクササイズとしても有効✨
他にはこちら。
まとめ
・頸部の問題の有無はsmooth-pursuit neck torsion testでチェック!
・深層屈筋群の機能はDeep Neck Flexor Endurance Testでチェック!
・頸部のリハビリは可動域・神経筋コントロール・強化の3パート+胸椎の可動性と胸椎と頸椎の関係性をみる
参考
・カラー基本生理学
・PTOTSTのための解剖学
・脳卒中理学療法の理論と技術
・カールソン神経科学テキスト 脳と行動
・プロメテウス解剖学コアアトラス
・頸部障害の理学療法マネージメント
・Eye movement in patients with Whiplash Associated Disorders:a systematic review
・A CONCEPTUAL MODEL FOR PHYSICAL THERAPISTS TREATING ATHLETES WITH PROTRACTED RECOVERY FOLLOWING A CONCUSSION
ライタープロフィール
運動器リハの中でも下肢疾患が大好き。今は上肢の魅力にも取り憑かれ、日々勉強中!
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