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育児コラム☆wing④一緒に夢中にさせてくれて、懐かしい興奮をありがとう。

先日、息子の部活の県大会の応援に行きました。
3年生が引退して、息子たちがメインメンバーとして迎えた県大会。
残念な結果で終ってしまったけれど、
同じ想いを家族と、仲間と、仲間のご家族と共有出来た事、
とても嬉しく感じています。

息子は、幼稚園のころから、団体競技には不向きなタイプで、
且つ性格が真面目と言うか、言われたようにする、と言う感じでして。
幼稚園サッカーでは、ポジションの説明を受けたとおりに動き、
ディフェンスをしてても、
言われたポジション位置を過ぎたら、そこで止まってしまい、
相手はそのままボールを運んで行ってしまう。。。

僕、定時で帰ります状態。。。

真面目かっ!
年齢もあったと思いますが、応用がきかず、
先生の説明通りに動いたと言えば素直と言えるんですが、
競技って違うよね?と思って見てました。
それはそれで、可愛いと思いました。

その後は、ピアノ・スイミング・体操・プログラミングなど、
自分一人で取り組む習い事を好みました。
特に私は、ピアノを弾く姿が大好きで、
その音色が響く日常が本当に好きでした。

発表会前には、親子で励み、時には強い注意をし、
二人で泣きながら練習をした事もあります。
息子が選んでくる曲も、その理由も、息子らしくて、
仕上げた演奏は、ほろりと泣けたものです。

中学に上がる時、部活は音楽系か個人競技を選んでくるかと思ったら、
息子が選んだのは、バレーボールでした。

今まで一度もした事が無いのに、
偶然仲良しのメンバーもいたけれど、それが理由では無く、
部の雰囲気が良かったから、と言っていました。

ピアノは続ける約束で、ピアノの日は部活を休み、
お教室へ通い、家での練習もしていました。
時には嫌々でしたが、でもしっかり仕上げていきました。

夏前。
息子から話がありました。

部活と勉強を頑張りたいから、

ピアノを辞めて、塾も科目を増やして欲しい、と。

私の中で葛藤がありました。
『勉強に意欲を出してくれたのなら、塾の科目を増やそう。
 でも、ピアノを辞めてしまうのか。。
 6年間過ごした、ピアノと向き合う時間、音色が響く日常。
 無くなってしまうのか。』

本当に本当に、息子のピアノの音色と弾く姿が大好きでした。
でもそれは、私の願いであって、息子の望みでは今は無い。
親のエゴで続けさせるわけにはいかない。
そうは思うのに、なかなか切り捨てられないでいました。

そんな時、息子が言いました。

「ピアノ辞めても、ママの為に家で弾くよ。」

その時、猛烈に申し訳なさを感じました。
この子は、私の望みを叶える為に、私の好きなものを奪わないように、
ずっと続けてくれていたんだ、と。

その優しさに甘えていた事に、申し訳なさと感謝が溢れました。
そして、それでも自分がやりたい事が上回り、
意を決して私に話してくれたのだから、
今度は私が応えなければと思いました。

ピアノはいつか本人がやりたくなればまた習えるけれど、
部活と言う日々、学生時代と言う日々は、取り戻せないし、
さらに月日を重ねて、似たような環境を整えても、
それは、その日々とは全く違う、奪えない。

今、息子の部活への取り組み方を見ていると、
ピアノを辞めたい理由に使った訳では無かったと実感しています。
試合に出れなくても、練習も、練習試合も必ず参加し、
部活が無い日は、仲間とボールを使えるネット付きの公園で練習し、
YouTubeなどで、研究し、実践、失敗、練習を繰り返しています。

あの日、話してくれて良かった。
手遅れになる前に、きちんと望んだ環境に整え、
その日々を確実に、自分で築き上げていっている。

これが、成長と言うのでしょうか。
これこそが、日ごろの関係が大きく影響するものなのでしょうか。

またしても息子は、
私が育児について、いつか感じるかもしれない後悔の一片を、
自らの力で排除してくれました。

改めて、日ごろから私たち親子のペースで、
強弱をつけながら、一日1センチづつでも、
良い関係を築いていこうと、思えた出来事です。

あの日から1年と少し時間が経ちました。
迎えた県大会までの道のりの中、
息子と、その仲間たち、保護者の皆さん、
同じように部活に励む他の部所属のお友達にまでも、
気持ちが広がっていき、
人を応援したい想いを、素直に純粋に感じた日々でした。

私の学生時代では手に入れられなかった部活動での絆。

もう、後悔や悲しさ、悔しさ、そんなものすら薄らいで、
無かったかのように自分の中で消し去った思い出にすら、
その中にもきっと、大切なものを手にしたはずだよ、と、
心を撫でてくれたような気持ちになりました。

ピアノを弾く姿が大好きで、その姿をいつまでも見ていたかったけど、
いつの間にか、バレーボールをする姿、夢中に調べる姿、
仲間たちと考えた作戦を話す姿、それが今は一番大好きです。

そっか、何をしているかが大切なんじゃないんだな、
何かに夢中になって、楽しんで、悔やんで、また立ちあがって。
そんな一歩一歩を歩み続ける、それを自分で選んできた事、
それが大切なんだな、子供にも、親にも。

県大会で敗退した時、
生徒の観覧席にはいつものように足を踏み入れられませんでした。

私たちの悔しさなんて、子供たちに比べたら。。。
それを、仲間たちとどう乗り越えて次に繋げていくか。
その日を迎えるのを見守る、それがもう楽しみではないか。

なんだよ、
悔しいはずなのに、この子たちはこの先の楽しみまで与えてくれるのか。

ありがとう、一緒に夢中にさせてくれて。
ありがとう、こんなに興奮する日々をくれて。
ありがとう、私の悔やんでいた過去を上書きしてくれて。

ありがとう、あの日、きちんと話をしてくれて。

きっとこれからも、
どんな姿も、大好きだよ。

おまけ:ピアノを辞めてから、一度も弾いてません(笑)

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