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まず、マーケターやサラリーマンは当事者になる
本日の午前中、私が3年前から始めた神谷町にある肉バルTrimの内装と外装やロゴのプチリニューアル会議があるので、会議前にここ最近のお店の業績や施策やその他諸々を軽く振り返っていました。流れでnote書いてみました、後半流れが発散します(笑
*ちなみに、Trimは基本的に休日にこの手の会議はあまりというかほぼやってません。
ドドン、ちなみに、いきなりTrimのジャーナル(店舗の売上データが確認できるもの)です 笑。
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とある日のジャーナルです。この日の売上は損益分岐点超えており、店長のヤッシーが毎日このように店を締めた後にLINEで報告してくれます。店長は毎日、調理やサービス提供、アルバイトのシフト管理などの店舗実務に加えて、オーナーである私と一緒に損益分岐点も意識しています。締め作業忙しいのに、毎日報告してくれて本当に助かってます。実際にもっと全体像や他経費見る際はfreeeなどで確認してます。
ドドン、その②。Trimという小さな飲食店が今年9月に初めてMeta(FacebookとInstagram)に広告出稿したときの掲載報告レポート(Meta Business Suiteの管理画面)です。
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詳細レポートは管理画面からもっと詳しく見れます。
$60(7,289円)の費用というのは小さな飲食店からすると、けして小さなお金ではありません。うちの店だとアルバイトの時給1,200円なので、アルバイトのメンバーが6時間(だいたい1日のシフト)働いてくれるくらいのお金です。
広告出稿していた6日間は毎日Metaの管理画面をちょこちょこ見ていて、反応を見てました。新規の方がいいねしてくれたかな、とか、予約入ったかな、とか。
ちなみに、ここからは広告業界のちょっとした違和感のお話し。
私はインターネット広告やらデジタルマーケティングやらに15年以上何某かの形で関わってきました。
サイバーエージェント(インターネット広告代理店)→グーグル(広告プラットフォーム)→デートラマ(マーケティングインテリジェンス、統合的広告レポート)→セールスフォース(CRM×広告)→今はパイオニア(広告主)&肉バルTrim(極小広告主)で、仕事をしてきました。
上記太字を見ていただくと、広告ビジネスに関わるそれぞれの立場の業務やビジネスモデルはそれなりに理解はしているかと思ってます。
それが故に違和感を感じること、ひいては言い訳っぽく聞こえてしまうことが多々あります。
広告主からよく聞くお話
広告レポートを代理店さんからもらう頃にはキャンペーンが終わっている
代理店さんの事情で広告の管理画面が見れない
GoogleやMetaなど広告投資の大きいインターネット広告の管理画面を見たことが無い
デジタルマーケターが社内にいない(デジタルマーケター、という言葉は一旦置いといて)
代理店さんにダッシュボード化をお願いしたら、ダッシュボード構築見積もりが高かったので、引き続きExcelで作成してもらってる
ダッシュボード化したりシステムを組む予算を確保していない
1番予算を投資しているTVCMやオフライン広告のレポートはデジタル化して見れない。かつレポート見るのがけっこう遅い。ましてやPDCAをあまりできていない
広告代理店の提案が満足できない
広告主にはこう問いたくなる、
「自分のお金だったらそんなことしますか?」
上記の広告主からよく聞く話は、ちょっぴり仕事の言い訳のように聞こえてしまうのですが、以下のように、もう少し問いたくなる。
(全ての広告主に対してというわけではありません)
GoogleやMetaの管理画面は自分でアカウントも開設できるので、管理画面を見たこともないものにたくさんの費用を使って、代理店の業務や作業の実態を知らなくて大丈夫でしょうか
Trimは広告費用7,289円でも毎日見ていてそれなりに必死ですが、大手広告主は数百万円や数千万円も使っているのに、大きい会社だと数百億円、そんなに費用に対しての意識だったりプロモーション活動に執念がなくて大丈夫でしょうか
管理画面を見たり実務の実態を把握する機会は灯台下暗しで、行きつけの店舗(飲食店、歯医者、ラーメン屋、なんでもOK)の集客の手伝いを実際に手を動かしてやると色々良いんではないでしょうか。Trimのような集客をどうにかしたいお店は山ほどあります。マーケティング担当として手触り感を持てるし、集客に困っている店舗がマーケターに手伝ってもらえる、WIN-WINが起きます。
管理画面が見れないというのは、代理店マージンや代理店との関係に忖度して、双方にとってフェアで発展的な交渉をしていないのではないでしょうか
代理店にExcelを作らせるというのは人件費(販売管理費)を無意識のうちに代理店に対して使わせていることを気づいていないのではないでしょうか
広告部門の予算の勘定項目に「広告宣伝費用」だけではなく「コンピューター費用」や「業務委託費用」などの”広告オペレーション業務の費用”も踏まえたP/Lを考えた方が良いのではないでしょうか。経営指針次第では、ものによってはフローな広告費よりもソフトウェアの減価償却費としてEBITDAの貢献につながるかもしれません。
1番お金を使っているTVCMのPDCAが1番遅くて良いでしょうか
広告代理店からよく聞くお話
夜遅くまで広告配信報告のためのExcelレポートを作っている
頑張って作ったExcelの広告配信レポートを報告したら、計算ミスがあり、広告主に怒られた。何回もやらかして代理店をリプレイスをされた(代理店リプレイス理由のTOP 5に入りそうな気がします)
APIが無い媒体はダッシュボード化できない
アウトソーシングしてお金をかけて広告レポート体制を作っている。レポート作成のシステムや人件費で販売管理費が逼迫する
人材の育成が追いついていない。広告知識しかなく、マーケティング前半や事業の課題解決の提案ができる人材が育成が追いついていない(もう私が新卒の頃から同じようなことを言われていて、なかなか進歩しきれていない会社も多いようです)
広告代理店にはこう問いたくなる、
「人(広告主)のお金なのに、それでいいのですか?」
(全ての広告代理店に対してというわけではありません)
上記の広告代理店からよく聞く話は、ちょっぴり仕事の言い訳のように聞こえてしまうのですが、以下のように、もう少し問いたくなる。
夜遅くまで、Excelレポート作って生産性の悪い時間を使っているのであれば、早くダッシュボード化して、その空いた時間に広告主の顧客のことをもっと知ったり、広告プロモーションのことだけではなくて、もっと広いビジネス課題を考える時間に当てた方が良いのではないでしょうか
なんなら家族や友人や趣味、外部との交流、自己投資などの時間にあてた方が充実した生活やスキルアップ•キャリアアップになるのではないでしょうか
広告プラットフォーム側も無意識だとは思いますが、少し罪だと思います
最近は減りましたが、新しいくできたメディアはAPIが無いケースが多い(開発工数や費用が避けていない)
故に、広告代理店が人海戦術やRPAなど、時間とお金を使って各種メディアのcsvファイルを整理・統合し、レポート作成なければいけない
各媒体の項目表記(Data Model)がバラバラ(例: ImpressionとIMP、とか、CVとConversionとか)
故に、広告代理店がマスタ管理など、時間とお金を使ってレポート作成のための整理・統合しなければいけない
新しい指標はレポートで出せない、APIが無い
新しい指標は広告効果を上げる意味では、素晴らしいですが、広告代理店のExcelレポート作業を更に増やしている理由の1つでもあります
プラットフォーマーや媒体社は総じて利益率が高く、広告代理店は利益率が低い。これからどんどん新しい媒体やソリューションが生まれてきたら、広告代理店の利益率がもっと悪化してしまう懸念を感じています。そうなると広告代理店に良い人材が確保しづらくなり、良い提案もしづらくなる、悪循環さえ発生します。
広告主が広告代理店の実務の把握が浅く、緊急依頼や人海戦術作業を広告代理店に無意識のうちに依頼してることも広告代理店の販管費や人材資源・時間の圧迫に起因しており、それが故にブーメランで担当営業やプランナーが納得いく品質でなかったり、満足のいかない提案になっているかもしれません。
大手広告プラットフォーマーとか業界団体が以下のようなルールメイキングをそろそろする時機かもしれない
新しい広告媒体を作る際は、APIは必須でプリセットする。あるいはオープンソースな広告用(広告だけではなくもっとありますが)の共通APIを公開する
項目表記やData Modelはある一定は統一してしまえば良いのではないか
色々と”正論(べき論)”っぽいことをつらつらを長々書いてしまいましたが、私も実際はサイバーエージェント時代、夜なべしてExcelで広告レポート作って、計算ミスして広告主に怒られたり、”CTR上がりました”なんて薄っぺらい考察言って、呆れられたり(笑)。パイオニアでも広告レポートがダッシュボード化されていないものもたくさんあります。Trimでも頻繁に確認できていない施策もあります。
本事情は、色々前提があったり、資源(ヒト・モノ・カネ)に限りや優先度があり、仕事自体にも強弱も必要でしょうし、大人のしがらみがある等、それなりに事情は理解はしているので、”正論(べき論)”だけでは解決しないと思います。とはいえそれなりにけっこう重要な論点や課題だと思ってます。
ひとまず、マーケターと言われている人は、身近な店舗やサービスのマーケティング支援をすると色々良い気がしています(笑)
(笑)、ではなくちょっと本気です。
よく”当事者意識”が大事と聞きますが、そもそも”意識”って時点でまずいかな、と思ってます。”当事者”になってしまえば早い話だと思ってます。
当事者になると何が良いって、たくさん決断の機会が作れます。決めれないと進められない。決断経験値がつくことが大きいです。
行きつけの飲食店でも、歯医者さんでも、地元の特産物でも、興味が持てればなんでもOKかと。まずはInstagramかGoogle ビジネスか公式LINEの運用からでも手伝ってあげるのはいかがでしょうか。公式アカウントなら”ぜひ!”となるかと思いますが、広告配信とかする場合、数万円とかでも決裁取るのすごい大変だと思います。
これ、けっこう逆ですよね。大手広告主や広告代理店は広告(Paid media)の方に時間とお金を使っていて、公式アカウントなどのOwned mediaとEarned mediaの優先度が低い会社の方が多いですよね。
それは、広告を使った方がビジネスが早く伸びるからなのか?広告代理店のビジネスは基本広告の収益がメインだからか?広告主のマーケティング部門の役割が広告施策のみだからか?
P/Lや長期的な顧客とのつながりを考えると、Owned Mediaと公式アカウントであれば工数以外は基本無料のEarned Mediaからプランニングして、それを加速する意味でPaid Mediaをプランニングした方が会社にとって色々良いとは思いますが、どうしてでしょうかね。
祖母や友人が作る趣味の手芸をBaseとかShopifyなど、ECで売るとかも良いかもしれません。集客も大事ですが、収益を作ることに触れられるので、インターネットで販売して、小さくても良いので手応えのある結果を出してみる。まずは、10個売ってみる、とか。
EC人材やD2C人材を探している会社が多いですが、自分で身近なものを本気でECで売ってみるとそこそこスキル(スキルと言う名の本当はもっと大事なマインド)つくと思います。
実作業を知れて、顧客に関しても、より手触り感持って理解できるようになりますし、お金や時間の意識、成果を出す意識も高まると思います。必然的にいくつかツール使うので、ここ数年日本に少ない少ないと各所と言われているデジタル人材に最短距離で近づくかもしれません。国策の1兆円リスキリング支援策より、こっちの方がROI良く(国策のような税金はかからないので)、いろいろな効果(経済効果からリスキリング効果まで)あると私は思ってます。その1兆円はもっと他に使い道あるはずです。
先日こんなnote書きました。
私が飲食店をやっているので、飲食店集客や小規模店舗のマーケティング支援的な贔屓目なnoteになっているようですが、贔屓というより、飲食店や店舗や何か事業をやっていると、なかなか集客とかマーケティングになかなか時間も割けないし、知見もなかったりします。
一方、大きな会社でマーケティングやプロモーションしている人はそれなりに知見がありますが、先述のつらつら書いたような違和感(言い訳群)があります。
こんなまとめになってしまいましたが(笑)、マーケターと言われている人は少しの時間でいいので、身近な店舗やサービスの集客や売上アップの貢献や支援や副業でも良いので、手触り感持ってやることでWIN-WINになるんじゃないかな、と思ってます。
デジタル人材確保とかDXと言っている会社は、会社で働くサラリーマンにこういった類の副業を推奨してしまうのも手かもしれません。早いのは、言っている経営陣がやるのが効果的だとは思いますが。
学生でマーケティング系のお仕事や経営者目指していたら、身近な店舗やサービスの手伝いをするのも当事者になる社会勉強になると思います。
なんなら何店舗かやると、ものすごい気づきも得られ、スキルアップすると思います。たぶん、社内だけで仕事してるよりためになるんじゃないかと思います。
商売やって個人でも法人でも納税してる身からすると、以下の方が経済効果もリスキリング効果もあるように思えます。
1兆円のリスキリング支援策 < 総サラリーマン当事者施策
あるいは、国が決めてお金を使ってくれるのであれば、どっちが良い悪いは無いので、掛け算でもっと経済が活発化すれば良いな、と。
1兆円のリスキリング支援策 × 総サラリーマン当事者施策
長文•駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
偉そうなことたくさん書いてしまったので、私もちゃんと私のやれること、頑張ります。
追加: Trimの集客やマーケティング、お手伝いいただける方募集してます🤓ただし、普段店長と私が手弁当でやってるので、ろくに時給とかは支払えませんが、ランチやディナーなどの特別対応は可能です!