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人間関係モノローグ【潮目】

40代後半、独身。はっきり言って「社会不適合者」。大学卒業後、私はずっと「なんとなく」生きてきた。「なんとなく」就職した会社は、すぐに辞めてしまった。スーツを着て満員電車に詰め込まれる毎日、意味のない会議、上司の顔色を伺う日々。どれもこれも、私には耐えられなかった。その後、しばらくはフリーターとして、アルバイトを転々とした。コンビニ、居酒屋、倉庫作業、イベントスタッフ…。どれもこれも、長続きしなかった。周りの友人たちは、着々とキャリアを積み、結婚し、マイホームを手に入れていた。焦りを感じなかったと言えば嘘になる。でも、私にはどうしても「社会人」という生き方が理解できなかった。そんな時、インターネットが普及し始めた。私は、パソコンとインターネットの世界に没頭した。ホームページ制作、ブログ執筆、アフィリエイト…。当時はまだ黎明期で、可能性に満ち溢れていた。運良く、プログラマーの仕事に就くこともできた。短い期間だったが、充実した日々だった。自分の作ったプログラムが、実際に世の中で使われることに喜びを感じた。それも長くは続かなかった。IT業界の進化は速く、私のスキルはすぐに陳腐化してしまった。転職を繰り返す中で、私は自信を失っていった。「自分は何の取り柄もない人間なのではないか」。そんな思いが頭をよぎることもあった。ここ数年、生成AIが台頭してきた。文章作成、画像生成、音楽作曲…。これまで人間にしかできなかったことが、AIによって自動化されつつある。プログラミングも例外ではない。AIがコードを生成する時代が、すぐそこまで来ている。強い危機感を覚えている。「これはもしや、ほんとに何もやることがなくなるかも」。そんな不安が、私を襲う。40代後半、独身、スキルなし。まさに、崖っぷちだ。それでも、私は諦めたくない。何か、私にできることはないだろうか。AIにはできない、人間にしかできないこと。創造性、共感力、コミュニケーション能力、「なんとなく」生きてきた中で培ってきた、多様な経験と知識。これらの能力を活かして、新たな道を切り開いていきたい。具体的に何をするかは、まだ分からない。いずれにしても、AI時代を生き抜くためには、変化を恐れず、常に学び続けなければならないだろう。自分自身の強みを最大限に活かすことが重要だ。これからも「なんとなく」生きていくつもりはない。自分の人生を、自分の手で切り開いていく。それが、潮目の変わり目に立たされた、私の決意だ。

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