フリースタンダードが事業ドメインに「リコマース」を選んだ理由
こんにちは。フリースタンダード CEOの張本です。私たちは、ブランド自らが2次流通を提供可能にする「Retailor(リテーラー)」を展開しております。この「ブランド公式で2次流通を主導するリコマース」の文化を日本に定着させるべく日々奮闘しています。
7月7日の今日、おかげさまで「リテーラー」は1周年を迎えました。この記念すべき節目に、これまでの振り返りとこれからについて、そしてこれまで語ってこなかったこと、ふとした気付きなどを少しずつ発信していきたいと考えています。
初回のテーマは、なぜ「ファストファッションモール」の次が「リコマース」だったのかについてです。
学生時代の「原体験」
私は事業づくりにおいて「自分自身の家族が普通に使ってくれるものか」という視点をとても大事にしています。「リテーラー」もそうですし、前職で立ち上げた「SHOPLIST」もそうです。そこには自分の原体験が強く関係しています。
実は私、結婚したのが大学2年生と早く、21歳のときに子どもが生まれました。アルバイトで生計を立てていたので当然たいした収入もなく、洋服は昔から好きでしたが、ブランドの洋服を着たくても現実的には買えるわけがありません。当時は本当にユニクロさんに助けられました。そういうこともあって、ファストファッションは自分の中で大きな価値を持つ存在です。
大きく拡大する事業って何らかの「制限」を開放するものだと思っています。ファストファッションは「所得の制限」を開放したからこそたくさんの人々に受け入れられ、急拡大したんだと自分の経験からも強く実感します。
自分にとっても思い入れが深く、市場も大きくなっていたファストファッションですが、当時はそれを横断して購入できるようなECサイトはなかったんですよね。ないなら自分たちで作ろうということで、SHOPLISTを立ち上げました。時代ともタイミングが合って多くのユーザーに受け入れられ、事業は急成長していきました。
ただ、事業が成長していく中で、心の中に何かモヤモヤとしたものが生まれてきました。
売上の魔力に侵された時代
売上には「いい魔力」と「悪い魔力」があります。売上が上がるとモチベーションにも繋がりますし、自信にも繋がるので基本的にポジティブなんですが、その反面、「落とし物」をしがちなんですよね。私も悪い魔力に引っ張られて、「どのブランドが売れてるか」「どこまで売上が伸ばせるか」ばかりが気になるようになり、顧客の声だったり、本質的な価値のズレに気が付かなくなっており、売上成長に関わることだけに焦点を当て、追いかけ続けるようになっていました。
ユーザー目線で見るとお得に買えた方が当然いいので、売上を伸ばすためには多くの商品を安く売る必要があります。ただ、そのためにブランド側はセールを常習化しなければなりません。気づいたときには売上のためにセールする構造ができあがってしまっていました。
サービスとしてもGMV(流通取引総額)が上がって利益も出る。ユーザーもお得に洋服が買えて満足している。ただその一方で、利益が出るとは言え、少し悲しい思いをする人たちが現実にいる。在庫の問題、セールの問題、消費構造の変化などの課題を見据えて、ブランド側の立場でゲームチェンジができるような新しい事業ができないか。そういう思いが次第に膨らんできました。
メルカリさんのおかげでセカンダリーマーケットが民主化し、より賢く消費をする時代です。ものを売るためにセールを行い、売上を伸ばすために在庫を作るという負の循環はすでに限界に来ています。
この消費構造に大きな変化を加えないと、ブランドはこのまま衰退してしまうのではないか。そう感じていたところ、追い打ちをかけるようにコロナ禍が訪れました。
緊急事態宣言で人々が出歩かなくなり、消費が一気に冷え込んだ世界。これはもう待ったなしの事態であり、ブランドを救うためにも今ここで消費を進化させるしかない。そしてそれは自分がやるしかない。そう思うと居ても立ってもいられず、新たな消費を創造するために、起業することを決断しました。
ブランドの持続的な成長のために
私は良いものづくりを続けることこそが、ブランドの持続的な成長につながると真剣に思っています。ファストファッションの流行に伴って、各ブランドからもリーズナブルなセカンドラインが数多く登場しましたが、モノあまりの時代、これが長く続くとも思えません。
とは言え、良いものづくりにはお金がかかります。結果としてどうしても価格が上がってしまうため多くの人には利用いただけない制限がある。なんとかしてこの制限を開放できないか。そう思ってリコマースを事業ドメインにしました。起業からもうすぐ丸3年経ちます。おかげさまでブランドのみなさんからの賛同も少しずついただけるようになってきました。
商品の型数を増やして、在庫量を増やすのが商売の王道ですが、リコマースはその真逆。在庫が限られる2次流通の商品は、1つ売れても次を売ることができない場合もあります。この生産性の課題を解決することは大きなチャレンジですが、ここを変革できたら産業をゲームチェンジできる。そう思うと非常に面白い領域ですし、私自身もこのチャレンジを楽しんでいます。
次の3年に向けて
最近「次はどういう3年にしたいか」と質問され、次の3年について考える機会がありました。6年目ってまだまだ未熟ですし、余裕もなく走り続けている気がします。そう思うと本質的な価値を見誤らないよう、いい意味で急がない3年にしたい。売り上げの悪い魔力に惑わされず、本質的な価値にしっかりとセンターピンを刺して、いい魔力でもって「リテーラー」を磨いていきたいと考えています。
■Free Standardについて
Free Standardは、ブランド、メーカーが自社リコマースを立ち上げることを支援するサービス『Retailor(リテーラー)』を提供しています。リコマースを本格的に立ち上げる上で必要なスキームの設計からオペレーションの運営に至るまで、シンプルでローリスクな形で実現可能です。
事例も豊富にございますので、お気軽にお問い合わせください。
https://freestandard.co.jp/retailor