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手料理じゃなくても愛はある

どこかの誰かが「子どもに手料理を食べさせる事が愛情」「手作りすべき」と言うたび、多くの母親は怒り反論している。

これはTwitterを放浪していればすぐにそういうツイートを見つける事ができるほど、日夜議論が行われている話です。
「手作りすべき」と言う人は料理の大変さを分かっていないか、逆に料理がとても好きで手間をかける事が苦じゃないのだろうなと思います。

私が疑問を持ったのはそちらではなくもう一つの方。

「子どもに手料理を食べさせる事が愛情」という意見。

結論から述べるとタイトルにも書いた通り「手料理じゃなくても愛はある」と私は思います。
ただ少し他と論点が違って母親以外の愛の話が混じってくるのですが、おそらく意識してる人は少ないんだろうなぁと思ったのでここに書いてみます。

目の前に料理が出てくるまで

小学校で習う簡単な事を今から話すので、退屈な人もいると思います。
私たちの目の前に料理が出てくるまでに関わった人の人数は、ぱっとは把握できないほど多いです。

食材を育てる人
食材の品質を確認する人
基準をクリアしたものを運送する人
自分の店で売れる食材を見極める人
店頭に品出ししたりレジをする人
食材を買って加工する人……

単純に食材だけでもかなりの数の人がいます。

レストランやコンビニ、食品会社が関わった料理ならもっと多くの人が関わることになります。

もちろん、中にはお金の為にやっているだけで特別な感情など無い人もいるでしょう。
学生のバイトだったらそれが普通とも言えます。

でも農家や酪農家はどうでしょう。
基準をクリアするほど良い品質のものを一から育てているのだから愛情を持っている人は多いはずです。
実際、自分の子の様に思って育てている方は多いです。
そういったシーンがメディアに取り上げられている事も少なくありません。

食品会社やコンビニの商品開発者たちはどうでしょう。
店頭に並ぶのは開発者達が考えた物のなかでもひと握りだけで、売れると思ったものもさらに何度も改良研究しています。
自分の考えた商品が採用される事が夢で、睡眠時間を削ってでも開発に勤しむ方もいます。

レストランはどうでしょう。
自分のお店に合ったもの、旬の食材を厳選した上で食材を活かした調理法を研究している店は多いです。
高級レストランなら、その日のお客様の体調や好みに合わせて調節するところもあります。

食べ物と言うものは、そもそもお店に並んでいる時点で愛情も手間もかかっているんです。


母親の愛と食

母親が愛情を与える為に手料理をする、というのは間違ってはいないけど正解でもないだろうと私は考えます。

そもそも何を食卓に並べたかはさほど重要じゃない様にも思います。

先に書いた様に、食というものはそれだけで愛に溢れていて手間がかかったものなので『冷凍食品や出来合いのもの=手抜き』なんて酷い考え方ではないでしょうか?

母親の与えるべき愛は、何を与えるかではなく“一緒に食事を楽しんで残さず食べること”だと個人的には思います。

できるのであれば、生産者や商品開発者への感謝を忘れない様に教えることも大事です。
それさえ理解していれば、出された料理に対して「手抜きだ」なんて言わない大人になれるはずです。

割り引かれたものとお惣菜


もしこれを読んでくれている誰かのお母様が決して裕福とは言えない環境にいるのならば理解してもらえると思うことです。

割り引かれた安いものを買ったり、時間がないから惣菜を買ったりするのはむしろ深い愛だと言えると思います。

食費を減らすのは子どもの学費の為だったり、『時間がないから惣菜を買う』のは子どもの送り迎えやPTAで時間がなくなったからではないでしょうか。

行き着く先が子どもの為であるならやはり、それは“手抜き料理”ではないのだと思います。

皿選び

『買ってきたお惣菜をお皿に移すだけで料理』という意見を言っている方がいたのですが私も同感です。

同じお米でもお茶碗によって味の感じ方が変わる、という話を知っていますでしょうか。

実は人間は味覚だけでなく五感全てで味を感じています。
見た目や、触り心地など器の情報も脳は味の一部として受け取るのです。

子どもの為にお気に入りのお皿や普段使っているお皿に移してあげれば、きっと買ってきたパックのままより安心感や美味しさを感じて貰えるはずです。

さいごに

こう言われてまだ何か反論を考える人は恐らく添加物に関することを言ってくるでしょう。
昼ごはんをコンビニで済ませる人に対して指摘しているのを見たことがあります。

ですがセブン-イレブンをはじめ、添加物や身体に悪い保存料などはなるべく使わない様に努力している企業も増えています。
冷凍食品も、冷凍技術の進歩や企業努力で年々クオリティが上がってきています。
もう今は昔ほど化学っぽい味のする商品は多くないです。

それは全部、どこかに努力してくれている人達がいるから。

愛情を持って食材を育ててくれている生産者がいるから。

手抜きだ、適当だ、ってマイナスイメージで食べるのはもったいないと思います。
感謝の気持ちで食べれば、かなり感じる味も幸福感も全然違うでしょう。


手料理でなくとも、その一口一口が愛に満ちています。


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