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レイと私


私には6歳の息子がいる。
名前はレイ。

レイは今日「レイのほん」という名の、自己紹介ブックのようなものを手書きで作っていた。その内容は全て「レイ(自分)」について。自分の誕生日や、自分の好きな場所。彼の好きな歌や、好きな色なんかが描かれていて子供心の詰まった「レイのほん」だった。彼はそれを書いている間、ぶつぶつ言いながら無我夢中でもくもくと1時間ほど机に向かっていた。覚えたてのひらがなは所々間違っていたりテキトーな殴り書きであったが、本人はまるで漫画家のようにペンを走らせていた。そうして小一時間かけて書きあげた「レイのほん」。完成品を両手で持ち上げ、「できた〜!ママ〜!!!!」と私を呼び出し、目の前に座らせ全ページを発表してきた。

「れいの好きな色は〜、
れいの好きなお店は〜、」

と読みおわり、
最後の締めページで私は吹いた。


「れい!
さいこう。
えらい。
ものしり。
だいとうりょう!!


おわり。」




あまりにも自己肯定感が爆発した終わり方に母は「?!」言葉が詰まり、流石の私もニヤけてしまった。それから「いいねー」と拍手をして発表を褒めた。


このページを後から眺めていて、6歳児への
心配や面白さが交互にやってきたのだが
結局のところ私は思う。
これから息子が大人になっていく間に、彼がどうなっていくのかはわからない。勉強はできないかもしれないし,友達と喧嘩をするかもしれない、恋人に振られるかもしれないし第一志望の学校には落ちるかもしれない。けど今日の彼のようにいつでも「自分は最高だ」って信じて疑わないでほしいと。「誰かと比べてどうだ」とか、「誰かに批判されたから自分はダメだ」とか。そうしてこの世界には辛いことがうんとある。けどその度に泣いても死にたくなっても最後はちゃんと「自分は最高だ」って信じて疑わないでほしい。「レイのほん」を読んで母そんなことを思った。

この時代を生きていくのは難しい。けど自分のことを嫌うことは何より体に悪い。魂は嘆くばかりさ。心はいつもヘルシーで、反省と同じくらい希望を忘れないで、どうかその調子でお気楽に生きてほしい。なんてね。今夜はそんな感じです。

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