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いつ、どこで、誰と、どんな風に働くか。働き方をもっと「選べる」社会にしたい。
「この前クライアント企業から”男性のみ”という条件の求人をもらったんだよね。理由を聞いたら”勤務先が発展途上国だから”ということだった。」
こんにちは、RD LINKの三浦です。
これは転職エージェントに勤める友人との会話です。久しぶりにこういった話を聞きましたが、昔から転職の求人において少なからずこのような例はあります。令和3年の今も同じ話が出たことに私もビックリし残念に感じました。
見えないけど存在している募集条件の壁
冒頭のケースの場合、勤務地が発展途上国という理由で女性の応募を禁止することはできないため、募集は性別問わず行います。しかし実態としては男性のみを選考フェーズに進めていくことになります。
ちなみに人材ビジネスに従事する立場としてフォローしますが、私の知っている範囲で、人材エージェントはこのような公正ではない選考基準については企業側にも理解いただけるように伝えて募集条件を交渉します。どこまで受け入れてもらえるかは別の話ではありますが・・・
まぁ、法律やルールを度外視して考えると、企業側の気持ちもわからなくはありません。
日本のように衛生環境の整っていない異国の地に女性社員を赴任させて本人が耐えうるかどうか、仕事に支障が出ないか、もし何かあったら申し訳ない。そんなビジネスとは別の面での不安を抱えることになるのは、企業側としては極力避けたいところでしょう。
でも一見配慮にも思えるこの話、冷静に考えてみるとおかしな話であると気付きます。男性であれば多少衛生環境が悪くても、多少治安が悪くても全然オッケーなのでしょうか?そんなことないですよね。
日本であろうが海外であろうが、先進国であろうが発展途上国であろうが、働く環境に適応できるか、どこまでのパフォーマンスを出せるかというのは、性別とは関係なくその人の資質や適性によるものです。
似たような例は他にもあり、年齢制限もその一つです。性別以上にまだある壁かもしれません。もちろん特定の理由を除き、基本的には応募資格に年齢制限を設けることはできません。
とはいえ採用する企業側には「入社後に上司となるメンバーが40代。組織を円滑に回すためその人より年下の人を採用したい」「高齢の方だと健康面での不安がある。すぐに抜けられては困るので、できれば50歳以下を目安で採用したい」など、様々な理由から募集人材への年齢に関する要望が入ります。
これらの要望は決して求人票の応募条件に記載されることはありませんが、選考時の見えない障壁となるわけです。そして残念なことに、そこに本人の適性や意思は全く関係ありません。
価値観の押し付けで優秀な人材を逃しているかも
私も一時は採用側にいたので、採用活動にはコストもマンパワーもかかるため、優秀な人材を極力効率的に採用したいという企業の意向は重々承知しているつもりです。
しかし
「女性だから発展途上国勤務は難しい」
「高齢だと健康面で不安」
「若手じゃないとテクノロジーについていけないだろう」
「外国の方だと日本のカルチャー理解が難しそう」
「年齢的に近々結婚や出産で戦線離脱してしまいそう」
などなど、他にも色々ありますが、
これらの心配、言葉を選ばずに言えば「余計なお世話」かもしれません!
いつ体調を崩すかなんて誰にもわからないですし、ライフイベントがいつどこでやってくるのかも誰にもわかりません。最先端のテクノロジーに興味を持ち最新スマホを使いこなすシニアの方もたくさんいますし、発展途上国でバリバリと働いている女性だってたくさんいます。
私も60代70代のエキスパートの方々とお話しする機会がありますが、みなさん一様に非常に元気です(笑)メールへのレスポンスも早いですし、会話のテンポも良く、颯爽と快活な印象を受けます。今時のシニア層はこんなにお元気なのかと驚きます。
性別や年齢、国籍といった本人の適性や資質とは無関係の部分を尺度としたものの見方は、完全に思い込みであり決めつけなんですよね。そこに本人の意思は全然反映されていない。
組織構成や事業承継の点から、性別や年齢のバランスを考えるのは企業の人事戦略として大切なことなので、一概に目くじらを立てるつもりは全くありません。でも応募以前に勝手に心配されても、「いやいやまずは聞いてよ~」と思うのが人間の常ではないでしょか。
一方的な価値観での採用は企業側にとっても優秀人材を確保できるチャンスロスをしている可能性が高くもあります。選考の土俵に上げていない人材の中に、自社にとって貢献してくれる人材がいるかもしれません。
企業も個人もお互いを選びあえることがハッピー
採用する企業側の一方的な価値観でひとりの人間の活躍する場やチャンスが無くなってしまう。それは個人から働き方の選択肢のひとつを奪ってしまっていることにもなり、とても残念なことです。
確かに女性の方が衛生環境に敏感で、ライフイベントで戦線離脱する可能性も高いでしょうし、高齢の方のほうが体調を崩す可能性は高いかもしれません。外国の方との相互理解は日本人同士より難しいかもしれません。
可能性レベルで言えば企業の懸念は妥当であり、確率論としてそういった懸念事項の少ない層を採用ターゲットにしたいというのも合理的かつ効率的です。
ただ、前段でもお伝えしたように、一方的な価値観での採用は企業側にとっても優秀人材を確保できるチャンスロスをしている可能性の方が高いです。
昔と違って今は多様化の時代です。どのような貢献を期待するのか。企業は働く人に求めることを明示して、そのうえで「できる・できない」「やる・やらない」の選択は働く本人ができることが理想だと感じます。
そして、「できます!」「やります!」と手を挙げた方の中から、企業は自社にとってベストと思われる人材を採用してもらえたら、本当の意味でお互いハッピーにになるのではないでしょうか。
企業にも個人にもそれぞれの思いや目的や理想があります。それをお互いに開示してお互いに選びあう。そんな出会いのチャンスが増えていくと嬉しいなと思います。
もっともっと働き方を「選べる」ようにしたい
女性の社会進出が進み、労働人口は減り、テクノロジーが発展し、定年が延び、学生起業家も増え、大手企業も倒産や買収をされ、ベンチャー企業があっという間に上場するなど、今や労働をめぐる環境は、大きくめまぐるしく変わり、働き方もその価値観も多様化しています。
現代は「24時間は働けません!」と堂々と言える時代になっています(笑)あのCMを見るたびウォー!と奮い立っていた私でさえ、ワークライフバランスやウェルビーイングに思いを馳せるようになりました。同じように自分の人生における仕事の位置づけが変わった方も多いのではないでしょうか。
そういった現代では、自分に合った働き方を柔軟に選びたいと思う方がどんどん増えています。私自身がそうですが、選べる状況になってきて、初めて「選べるっていい!」と気付きました。そして選べる人が増えてくると、選べない人にも「選びたい欲」がムクムクと醸成されます。
別にひとつの企業の中でずっと働いていてもいいんです。24時間働いたっていんです(ダメか(笑))働き方はなんだってよく、それが自分で選んだことなのであれば、そこに満足感や充実感が伴います。
週に3日だけ働く
仕事を取捨選択して働く
夏だけ働く
地域を限定して働く
ひとつの会社で働く
複数の会社で働く
といったように、様々な働き方があります。
多様性の時代の中で、これからの人と仕事の関係に求められるのは、今まで以上に個人が、いつどこで誰とどんな風に働くかを「選べる」ということなのではないかなと思います。
こちらの記事にあるタニタ社の雇用はとても面白いと思いました。
―谷田さん
弊社がやったのは、正社員を個人事業主として扱って業務委託契約にすることです。それによってやりたかったことは「心の健康」を守ることでした。例えば、長時間働いていても精神的にダメージを受ける人と受けない人がいますが、その差はどこにあるのかと考えたときに、仕事を「やらされている」という感覚なのではないかと思いました。個人事業主として「やりたい仕事をやる」というスタンスでやったほうが、心の健康のためにはいいのではないかと考えてやり始めた仕組みです。
ー横石さん
新入社員でも、正社員がいいとか、フリーランスとして業務委託でタニタにコミットしたいとか、セレクトできるようになっているんですか?
―谷田さん
はい。でも、今年は最終的に全員が正社員を選びました。「私、業務委託でやります!」と言ってくれる人が出てきていたら、面白かっただろうなと思うので、来年はもっとアグレッシブに、正社員にならない人を採りたいと思います。
新入社員から働き方を選べるってすごいですよね。全員が正社員を選んだのも面白いですが、それも「正社員しかなかった」のではなく、本人の意思で「正社員を選んだ」ということなので、その後の働く姿勢も一味違ったものになるのではないかなと思っています。
ゆっくり確実に社会の仕組みは変わりつつある
今私たちRD LINKも1年前から理系専門職の複業という新しい分野にチャレンジしていますが、まぁこれがなかなか・・・。色々課題もあるし、うまく進まないことも多々あります(笑)毎日しんどい(笑)
ただ、これまでに無かったものを形にするには労力がいりますし、それを「普通」にするにはさらに時間がかかります。上の記事でもタニタ社の取り組みに、当初は「何言ってんの?」という状態だったというお話があります。
今では普通になった転職も昔はネガティブなイメージがありましたが、時間をかけてそのイメージが払しょくされてきました。
十数年前、海外では既に転職は普通でポジティブなイベントだったので、外資系企業と内資系企業との転職に対する温度差がものすごくあったのを覚えています。
昔は日本では会社を辞める方の理由の多くはネガティブな理由が多かったですし、そうして市場に流出してきた人材を「中途採用をしたことがない」という企業が採用するには相当のチャレンジ精神が必要だったと思います。それがいまや中途採用はひとつの採用方法として確立しました。
今まさに、メンバーシップ型からジョブ型へ、転職で別の企業に移るのではなく複数の企業の仕事を同時進行する、という次の新たな働き方が広がりつつある段階だと思います。
自社の社員ではない人材に大事な仕事を任せる、自社の社員を他の企業に送りだす。またまた企業にも次のチャレンジが求められています。
今はまだ個人の働き方のニーズに対して、仕事(企業)の供給が追いついていない現状ですが、多様性の時代に合わせて様々な働き方を支援する会社があり、複業を認める企業も増えています。
私たちRD LINKは理系専門職の複業という分野にはなりますが、同じように働き方を支援する会社もたくさんありますし、パズルのピースをひとつづつハメるように、誰もがより自由により柔軟に働き方を選べる社会の仕組みを作っていくことができたらいいなと思います!
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