DQB2が全ドラクエファン必プレイの名作だった
【Roadroller Sound Studio】(@RBYYYYYYYYYYYYY)です。
■はじめに
2018年12月20日に発売された「ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(以下、DQB2)」。
幼い頃から生粋のドラクエファンでありながら、初代「ドラゴンクエストビルダーズ(以下、DQB1)」を含め、私はこれらの作品をどこか敬遠していた。
なぜなら、スピンオフが本家を超えることはないと途中で気付いてしまったからである。
過去ドラクエシリーズにおけるスピンオフと言えば「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」や「トルネコの大冒険」を思い浮かべる人が多いだろう。
特に「テリーのワンダーランド」に関しては、私もゲームボーイの単三電池を何本消費したかわからないほど遊んだものだ。
ただ、どれだけ楽しく遊んだ作品であっても、物語(ストーリー)が本家を上回ることはなかった。
子どもながらに何となくそれに気づき、それでも今に至るまで色んな作品をプレイしてきたが、歳を取るにつれて心の底から楽しめるスピンオフもどんどん少なくなっていった。
ドラクエシリーズで最後に遊んだスピンオフは「ドラゴンクエストヒーローズ」
いわゆる "ドラクエ無双" である。
この作品は1・2ともにプレイ済みで、自由に歩き回れるようになった2の美しいフィールド、動き回る魔物たちを観ただけで感動したことは今でも憶えている(ナンバリングの「Ⅷ」とはまた違う感動があった)
しかし、先にも述べたようにスピンオフの物語が本家を超えることはない。
それはヒーローズでも変わらなかった。
ではなぜ、そんな私がDQB2をプレイすることになったのか。
連日、妻が泣きながらこの作品をプレイしていたからである。
妻は「ドラクエⅪ」のSwitch版が出ると決まった際も、公式サイトのご意見箱に長文のお便りを送るほど、幼い頃からドラクエシリーズを愛しており、その愛ゆえに時折厳しい評価も下す。
そんな妻が泣きながらプレイするDQB2という作品がいかなるモノか。
再び私は "たびのとびら" を開けることにした。
(※ 以下、各項目に分けて感想を置いていくことにする)
■熱中度
破壊神の名は伊達じゃない。
この作品をプレイしていると時計が壊れたのかと錯覚するほど自分の生活が破壊される。
自分でも引くほど熱中してしまうので自制する強い意志が必要。
■仕様
「マインクラフト」「DQB1」ともにプレイしていないため「ブロックメイクRPG」は今作が初であるが、こんなにも "自由" であることが楽しいと思えるゲームは久しぶりだった。
また、"ストーリー全てがチュートリアル" と言っても良い、その斬新な仕様も評価したい。
エンディングを迎え、何もかも自由になってから、このゲームは本当の意味でスタートするのだ。
子どもの頃にレゴブロックで遊んでいた読者の方は絶対にハマると思う。
それでいて「ドラクエが好き、ドラクエⅡが好き」という方であればなおのこと。
また、同タイプの自由なゲーム「あつ森」はスローライフを楽しむ作品のため、比較して良いものか微妙なところではあるが、DQB2をプレイしてから「あつ森」をプレイすると、結構なストレスがかかる。
それほど本作の建造はサクサク進むし、圧倒的に効率を重視した作りとなっている。
■グラフィック
広大なマップは圧巻。
また、大人も子どももキャラクターがみんな小さいという点が功を奏し、マップの広さ、建造物の大きさを、より強く感じさせてくれる。
■キャラクター
まず、一部の声を除き、声優感を排除してくれた点を評価したい。
この作品では主に「喜怒哀楽」を表現する短い言葉のみが実装されており、これまでのナンバリングシリーズ同様に、セリフの字を読むことで世界観に没入させてくれる。
これこそがプレイヤーに感情移入させやすくする仕組みであり、ドラクエシリーズの特徴でもある。
また、キャラクターの動きが本当に愛らしい。
これも「あつ森」と比較する形になってしまうが、ゲーム内に置くアイテムや施設に準じて、キャラクターがそれぞれ独自に動いてくれるのが、このゲーム最大の魅力と言っても良いくらいだ。
「あつ森」も一部のアイテムには反応してくれるが、ほとんどは動物が各自で島を動き回り、特定の行動しかしないというのが現状である(それだけでも可愛いけど)
逆にスマホアプリの「ポケットキャンプ」では置いた家具に動物が反応し、そのループ映像が繰り返されるだけではあったが、プールを置けば泳いでくれたり、お店を置けば店番をしてくれたりなど、プレイヤーの行動に何らかのレスポンスを返してくれた。
そういう意味ではDQB2のキャラクター達はみんな優しく、グッとくる瞬間が何度もあった。
モノを作るたびに褒めてくれるし、施設を作ればそれを心から堪能してくれる。
朝起きれば、朝ごはんを食べてトイレに行き、仕事をしたらお昼ごはんを食べてトイレに行き、仕事が終わったら晩御飯を食べてトイレに行き、シャワーを浴びたら大人は夜まで遊んで、子どもは早々に眠りにつく。
全然働かないヤツもいれば、魔物なのに人間よりも働いてくれる子達もいる。
この多彩なキャラクター達と暮らす時間が何より愛しかった。
■サウンド
新規描き下ろし曲はなし、過去作品の楽曲が使用される。
一部では「ドラクエⅡ」が題材であるのに、Ⅱの曲が少ないという不満点も見受けられたが、個人的にはそこまで気にならなかった。
それどころか、私はサウンドを担当された方を心から賞賛したい。
これはただの推測になってしまうが「過去作品の○○の場面でこの曲が使われていたから、似た場面でこの曲を使いましょう」という安易な発想ではなく、メロディーがそのシーンに相応しいか否かで選曲しているように感じたのだ。
もちろん過去作を全てプレイしていなければ、それも理解できない境地ではあるが、単なる作品愛だけなく、すぎやまこういち先生に対する音楽愛も感じることができたのである。
特定のシーンでは鳥肌が立つほどの選曲っぷりで、サウンドを担当された方はドラクエのことを本当によく分かっていらっしゃる方だと思う。
■ストーリー
「ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々」クリア後の世界。
ハーゴン教団に破壊された世界を再建するため、ビルダーが各地で活躍するようになっていた。
しかし、時は流れ、倒されたはずのハーゴン教団の残党が活動を再開していた。
ハーゴン教団はモノ作りを禁止し、人々に破壊の教えを説いて回っていたのである。
教団は世界を再建しようとするビルダーを目の敵にし、さらっていた。
ビルダー見習いの主人公もまた教団にさらわれるが、その船から嵐で投げ出され、無人島に漂着する。
(今思えば、ドラクエシリーズでナンバリング作品の後日譚を描くスピンオフというのはビルダーズが初めてなのではないだろうか)
ビルダーという "創造" を象徴する主人公。
ドラクエⅡのラスボスであり、"破壊" を象徴するシドー。
そして、その破壊神シドーと同じ名を名乗る少年シドーとは何者なのか。
「創造と破壊」
これが今作のテーマなのだが、実はもうひとつ大きなテーマがある。
それは「生と死」についてだ。
少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、人として学ばなければならない事柄が、その想いが、いくつもこの作品の中に込められている。
もし、もし自分に子どもが産まれたら、必ずこの作品をプレイさせるだろう。
■おわりに
はじめに "スピンオフが本家を超えることはない" と話したが、この作品に出会えたおかげで、"スピンオフが本家を超える必要はない" という、今思えば当たり前の答えを提示してもらった気がする。
そもそも「ドラクエⅡ」がなければ、この作品が生まれることはなかったのだ。
「ドラクエⅡ」という "破壊" を象徴する作品が昔からそこにあって、
「ドラゴンクエストビルダーズ」という "創造" のゲームが誕生した。
この2つのテーマがどれほど深く結び付いていることか。
この作品は「生まれるべくして生まれてきたスピンオフ作品」だったと、そう言い切ってしまっても良いのかも知れない。
これから各ナンバリング作品を題材とした「DQBⅢ~Ⅺ」が出たとしても、今作ほど運命を感じる組み合わせは今のところ想像することができない。
いや、私のこの陳腐な想像をこそ破壊し、また今作のように素晴らしい作品を創造して欲しいと願うばかりだ。