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かっぱ寿司のサラダ軍艦 長野県民の本音

「長野県民はかっぱ寿司のサラダ軍艦が好き」というのは今や全国区の話題になってしまったのでトリビアでもなんでもないのですが、この話を初めて聞いた時の私の感想は「まあ、そうでしょうね」。冷めているようですが、実際に多くの人が沢山食べていますからね。でも他県ではそれほど人気が高いわけではないと聞いた時には椅子から転げ落ちました。


そもそもかっぱ寿司とは サラダ軍艦とは

かっぱ寿司は長野県で生まれた回転寿司チェーンです。ご存じですよね。
そしてサラダ軍艦はかっぱ寿司独自の「イカゲソ+カニカマ+マヨネーズ」の軍艦巻きです。うまい・まずいは主観なので味のコメントは控えますが、個人的にはよだれが出そう。他の回転寿司屋にもシーフードサラダ的な軍艦がありますが、同じ味のものを食べたことが無いです。よだれは拭きました。


サラダ軍艦が巻き起こす特殊な事象

多くの人が食べることにより、いろいろ事件が起こります。

事象①:格差社会の縮図
レーンの上流の席に陣取ったファミリーが流れてくるサラダ軍艦を片っ端から取ってしまうことで下流の席の客がサラダ軍艦を得られないという事象が発生。上流家庭が潤い下流家庭が泣くという、ある意味社会問題とも言える状況です。

事象②:ガチ勢はすぐバレる
以前、かっぱ寿司ではワサビ入りの寿司とワサビ抜きの寿司で異なる皿が使われていました。ワサビ抜きの皿は魚があしらわれた可愛い絵柄。そのためお子様の食後にはワサビ抜きの皿が積まれていることが多いのですが、サラダ軍艦もワサビ抜きであるために、大人の手元に可愛い皿が積み上がっていたらそういうことなのです。

事象③:自分で作る人が現れる
まあ、これは私なのですが。10年以上前、味の再現を試みてブログに掲載したら忘れたころにメディアから取材依頼が来ました。


なぜ好まれているのか(世間の分析は?)

探すと多くの記事が出てくるところからこの事象の関心の高さが伺えますね。色々見たところこの東洋経済の次の記事が最も深く追及されているようです。なんとカッパ・クリエイトホールディングス本社に直撃取材をしています。心意気が素晴らしいです。

その取材も結果的には「理由不明」とのことですが、その後この方は独自に分析されて、「「生魚はもともと苦手な地域」「サラダが好き」という県民性に関係がありそう」と結論付けています。

しかし、本当にそうなのでしょうか?
(ここから盛り上がります)


浮かび上がる疑問

上記の分析には複数の疑問点があります。

疑問①:カッパ・クリエイトホールディングス本社の「理由不明」はなぜか

大企業です。マーケティング部隊がそのような分析を行い、雑に「不明」を結論として持つことを組織が許しますでしょうか。特定の県のみ特殊な状態であり、その理由の追及は一つの命題となるはずです。よって「理由は分析できているが、オープンにできない(企業秘密含む)」と私は推測します。

疑問②:本当に「生魚はもともと苦手な地域」なのか
次のサイトは日本全国各都市の品目別の食費を集計して比較したサイトです。

「魚介類への支出額・消費量」を見ると、長野県は鮮魚の消費量が「20,558g」で「54都市中31位」となっています。それほど多くありませんが、圧倒的に低いわけではないですよね。でもこれは生魚以外も含みます。では、かっぱ寿司で一番人気のまぐろに絞って見てみると「54都市中16位」です。これは他の都市よりも食べられていると言ってもいいのではないでしょうか?
私もお刺身大好き人間なので、松本から車を飛ばして新潟や静岡で海鮮を食べるのを楽しみにしていたりしました。なのにかっぱ寿司ではサラダ軍艦を食べるんですよ。不思議ですよね。

疑問③:「サラダが好き」だからサラダ軍艦を?
サラダ軍艦はマヨネーズを使っていますが野菜要素はないので、この推測はちょっと苦しい感じです。

長野県民はサラダ軍艦が好き。それはなぜか(結論)

あくまでも個人的な推測になりますし、誤解を招きそうな箇所もありますが、以下ご覧ください。

先ほどの東洋経済の記事の中に重要と思われるポイントがあります。

なぜ、長野県の人はカッパ寿司のサラダ軍艦がそこまで好きなのか。直接聞いてみると、「なんでだろうね。」「美味しいからでしょ」という、曖昧な答えしかない。

曖昧且つストレートな「美味しいからでしょ」。間違いなくサラダ軍艦を食べたくなる衝動はこれですよね。では、ほかの寿司よりも美味しいと思う理由はなぜでしょうか。

随分過去に遡りますが、かっぱ寿司では水の流れるレーンに寿司皿を乗せた桶を流すという方法を採用していました。懐かしいですね。当時は他になかった一皿100円というカジュアルな価格設定もあり、ファミリー層に大ヒット。休日に子供にせがまれ一つのレジャーを兼ねた外食として選択されることになりました。

今でこそ鮮魚の物流技術の進歩によって海から遠い長野県内の安い回転寿司でも美味しい寿司が食べられる時代ではありますが、当時の技術と低価格という制約もあって、味については今ほどのレベルではありませんでした。一つのレジャー目的でしたし、「100円だもんね」とある程度の割り切りが生じていたことは否定できません。決して価格以下の味とは思いませんでしたが、生魚が嫌いというわけでもなかったのです。

その中で、手が伸びたのは「サラダ軍艦」なのです。私もその一人。当時、色々あるメニューの中で一番美味しいかもと思えるものでした。

今では刺身の寿司も本当に美味しいです。美味しくなりました。これはカッパ・クリエイトホールディングスの弛まぬ努力の結晶であり、誇るべき企業の成果です。顧客の様々な声を聴き、改良し、今に至るのではないでしょうか。よって、私の推測が確かならば長野県でサラダ軍艦が人気の理由も把握できていたものと思われます。

刺身の寿司もいいけれど、あの頃についつい摘んでいたあの軍艦。馴染みの味と言ってもいいでしょう。もうね、忘れられないのです。これが今でも食べてしまう理由。

こればかりに手を伸ばしてしまうのには背徳感が伴いますが、やめられない。しかし、このサラダ軍艦の皿を積み上げる行為がオープンになっても特に炎上していないんですよ。むしろウケている。要するに我々は社会的に許されたのです。

行こう、かっぱ寿司へ。

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