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最高に楽しいリトル・ハバナ!【マイアミ】旅の私小説「喜悦旅游」#34

嵐の前の静けさ。ハリケーンが本格上陸する前に、少しでもマイアミの街を楽しみたい。ギャラリーを出た後、わたしたちが向かったのはリトル・ハバナ。キューバ出身の移民が多いエリアだ!

 盛田さんには、長年の夢があった。それは、キューバに行くことだ。

 ラムや葉巻、そしてブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ...彼の憧れが、キューバには詰まっている。マイアミはキューバの対岸とも言える場所で、それゆえに移民が多い。今回の旅で、「せっかく世界一周旅行券ならば、短期間でもキューバに寄れないかな?」と彼は期待していた。

 しかし、この夢は現在、叶うことが難しいと分かった。

 2021年1月12日、アメリカはキューバを「テロ支援国家」として指定し、この日以降にキューバに渡航歴があるものは、ESTA申請ができなくなった。

 現在進行形でアメリカのギャラリーとお付き合いがある以上、この指定が解除されない限り、キューバを訪れることは簡単ではない。

 そこでわたしたちは、マイアミのリトル・ハバナを訪れ、キューバのエナジーを少しでも感じたいと思った。たとえハリケーン直前であっても、今はまだ嘘のように天気が保たれている!ギャラリーを出たその足で、早速向かった。

ドミノパークの入り口。奥まで賑わっている。

 リトル・ハバナは音楽と活気に満ちていた! 
 
 到着早々、年配者が何やら楽しそうにゲームに興じている公園を発見。ドミノ・パークというらしい。料金を払ってドミノゲームを貸してもらい、屋外で楽しんでいる人々。とても微笑ましい光景だ。

ゲームの展開をおじさんに教えてもらう盛田さん。

 次に向かったのはOlds Havana Cuban Bar & Coucina。キューバサンドで有名な店だという。チョリソーのキューバサンドが、とても美味しい!

 旨みがギュッと凝縮されたチョリソーのパティを、サクッと軽くトーストされたバンズで挟む。シンプルかつ豪快な味わいだった。

ガブリと一口!おいしーい!

 盛田さんはモヒートを飲む。カウンターにはずらっとミントの葉を入れたグラスが並んでいて、この店でいかにモヒートが人気なのか、とてもよく分かった。

 食後は、近くのキューバコーヒー専門店、La Colada Gourmetに移動。独特の焙煎法で丁寧に入れられたキューバコーヒーを、特製リキュール入りバージョンでいただく。クリームが浮かんで濃厚な味わいだ!

グラスに入って提供されるが、コーヒーは熱々。


コーヒーの香りとキューバの雰囲気が漂う店内。

 店員のミリーさんはとても気さくで、キューバコーヒーの特徴や器具のことなどを、とても丁寧に教えてくれた。「ハリケーン来てるけど大丈夫ですか?」と聞いたら、「今この瞬間はハリケーンはきてないでしょ?今この瞬間を楽しんで、やりたいなら今決める、それがキューバ流よ!」とのこと。

 コーヒーを満喫した後は、いよいよ盛田さん憧れの、葉巻専門店へ。広い店内は、さながら博物館のようだ!ここでは、各種葉巻や灰皿、カッター(葉巻を吸う前に切る器具)、ライター、さらに雑誌なども販売されている。

重厚な雰囲気の店内
品揃えの豊富さに感動する盛田さん。
箱もとってもオシャレ。みんなゆっくり吟味している。

 盛田さんは「これぞ!」という一本を見つけ、店員さんにカッターで箸を切り落としてもらう。この界隈は路上喫煙が可能だということで、早速店頭で味わっていた。とてもおいしかったそうだ。

 その後は、地元密着型のスーパーをぶらりと見学。
 イートイン・コーナーでは、キューバNo.1だというエナジードリンクが売られていた。

みなぎりを表現する盛田さん。気合が入っている。

 ハリケーン直前だったが、リトル・ハバナの人は「目の前の今」を楽しんでいた。カフェのミリーさんが言った通り、今目の前では、「晴れた現実」がある。それをまずは思い切り楽しむ、ということを、町中の人たちが実践している。

 備えは大事だ。しかし、今を生きるキューバ系の人々の姿勢は、とても素敵だと感じた。

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