脳が先か身体が先か
身体の運動を司っているのは脳である。
だから、脳ができることは身体もできると思ってた。
でも、池谷先生の『進化しすぎた脳』という本では、身体には限界があって、脳は身体の能力以上に進化しているといった。
今日は池谷裕二の『進化しすぎた脳』(朝日出版社、2004)の第1章「人間は脳を使いこなせていない」を読んで思ったことを書こうと思う。
人間には声の音域が広くて多様な声を出せるから言語がこんなに発達したっていう人がいる。でも、その考え方は間違っていて、もし人間がこんなに多様な音を出せなくても、脳はその能力を持っていたら、たとえば手の形とかを使って、手話みたいにして、その能力を発揮することができる。身体の能力基準で考えるのではなくて、脳を基準にして考えなくちゃダメ。
なんかの本にこう書いていた。でも池谷先生の話を読むと、脳は使っている以上に能力があって、体がそれを制限している、というのだ。つまり、本当はもっと複雑な言語体系を作れるけど、舌など身体の限界でこの程度に収まってしまっている、ということだ。
イルカの脳を見ると、人間よりもシワの数が多い、すなわち脳のポテンシャルとしてはイルカのほうが人間よりも高いことになる。それにもかかわらず、イルカが人間よりも賢くならなかったのは、手を動かしたり多様な音を出す器官がないからだという。
さらに、脳が10%しかないという障害を持って生まれてきた子供は、なんの問題なくすくすく成長したそうだ。つまり、普通に生活するのには、脳はここまで必要ではない、ということだ。
なんてこった。私がずっと信じてきた説は間違っていたということなのか。きっと脳はもっと複雑な言語体系を操れる能力は持っているのだけれど、身体の構造が制限して、今の言語体系に収まっている、ということなのか。
ちょっと私がまだ理解しきれていないことが、遺伝情報としての脳機能と後天的に発達する脳機能の違いである。生まれたばかりはシワの数がまだ少なくて難しいことは考えられらい。それから成長するうちにどんどんシワの数が増えてきて賢くなっていく。でも、「見る」とか「聞く」って生まれてすぐできるじゃないですか。ていうことは遺伝情報に組み込まれているってことじゃないですか。同じように言語も遺伝情報に組み込まれていたら、その遺伝情報がうまく赤ちゃんに伝わらなかったら、どんなに頑張ってもことばは獲得できないっていうことですよね。っていうことは、イルカはことばの遺伝子を持っていないから声が出せるようになっても、どんな器官ができても、ことばを喋るようにはならないっていうことですよね。
まず言語が遺伝情報に組み込まれているかもまだわからないので、なんとも言えないんですけどね。まだ正確に今わかっている情報とまだわかっていない情報を整理できていないです。まだまだ勉強しなくちゃ。
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