アクリル板越しですら遠いと思うくらいあなたが
夫の休日は、私の休日。
彼が行くところに、私も行きたい。
大好きなご飯を、大好きな彼と共有できたら何よりの幸せ。
春が訪れて、暑い日差しのなか、私たちのお気に入りのレストランに向かう。
お腹をぺこぺこにして、いつかのことを思い出して、期待に胸が躍る。
私たちのお気に入りのお店は、ポテトサラダが絶品だ。
プチトマトもうんと甘い。
無愛想に見えるけど喋ると可愛らしい一面のあるシェフが作ってくれたのだと思うと、もっともっと美味しく感じる。
神戸牛の入ったビーフハンバーグは、ランチタイムの看板料理。
夫も私も、次は別のメニューを頼もうねと言いつつ、ついつい頼んでしまうのだ。
他のお店でハンバーグを食べても、忘れられない。
シンプルで飾り気のないこの定食が、私は大好きなのだ。
「デザートも食べていい?」と夫にねだって、夫が「駄目だよ」と言ったことはない。
だけど、私は食事の度、彼に尋ねている。
「食べーや」と笑顔でにこにこしながら頷く彼の顔が大好きだからだ。
アクリル板は、できればすべてのお店で撤去してくれたら良いのに。
私と彼を隔てる壁などいらないのだ。
テーブル席から見える窓1枚を隔てて、車の行き交う世界とこちら側ではまるで時の流れが違う。
ぶうんぶうんと遠くのスピーカーから聞こえてくるようなエンジン音は、私にとって無料のリラックスサウンド。
アイスコーヒーのグラスの氷がからりと揺れる音も、これからの季節の風物詩。
海も山もなくたって、ここは私たちのオアシスなのだ。
「過剰な接客はしません。味で勝負」といった気概を感じるシンプルなメニュー構成のレストラン。「ごちそうさまでした!美味しかったです」と言うとにこっと笑ってくれるシェフが好き。