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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -16- #ppslgr
「中はどうだ?」
「問題ない、コーンも岩山の中までは興味がないようだ」
王子の言葉通り、洞窟の暗がりに光を投げかけると照らし出されたのは何の変哲もない岩肌ばかりだ。この洞窟自体が一枚岩をくり抜いたような作りになっており、植物が根を張る余地はない。
「よし、ここで今日の所はキャンプだな」
「ふぃ~……ようやく休めるぜ」
どっかりと腰を下ろして一歩も歩けないアピールするA・Kを他所に自分も荷物を下ろすとキャンプ向けコンロをスマホのアプリケーションから選択して物質転換を行う。洞窟内の開けた空間の一角にコンロを設置し火をともすと、暗闇の中におぼろげながらあかりが灯った。
続いてナベを火にかけると、リュックから取り出したレーションを齧り始める。ボソボソとした食感だが、味はそれなりに美味い。少なくともこの得体の知れなくなった森のモノを口にするよりかは上等だろう。
「まともな森だったらまた別だったんだろうがな……」
環境次第では森の中で取れる可食物を探るのも一つの楽しみに出来たかもしれないが、あの状態ではどれ一つとっても体調を崩す結末しか考えられない。百歩譲って実はおいしく食べられるとしても、入念な事前検査が必要だろう。
こちらが一息ついていると、ようやく人心地ついたA・Kもこちらに寄ってきては荷を下ろしてジャーキーを齧り始める。かと思えばかじるのをやめてため息。
「ジャーキーだけじゃ味気ねぇな……」
「まってろ、今準備してる」
「おっと、サンキュー。それじゃこっちは米用意するわ」
いそいそと準備を始める彼を他所に目の前の鍋に集中する。残念ながら余りこった事は出来ないのでオリーブオイルを鍋に引くとニンニクを潰して香りづけし、ブタ肉を始めとする食材を順に投入して炒め、火が通ったら水とトマトピューレを入れてひと煮立ち。
灰汁をお玉で掬いつつナベから取り除くとカレールーを入れて溶かしこみながらゆっくりと煮込んでいく。途中いくらかスパイスを入れて味を刺激的にしつつ、食材に味が染みわたるまで焦げ付かせないように丹念にかき混ぜる。
「今まであれほど猛攻を受けたのにここには何も来ないな」
だからこそここを選んだのではあるが、やはりコーン達は自分達の領域に侵入した生物を対象に捕食活動を行っているのだろうか。だとしても支配領域自体が拡大していっている現状では、遅かれ早かれ人間の居住地を侵食し人間を食い始めるだろう。
「R・V、そろそろ良くね?」
「おっと、そうだな」
既に皿に山盛りのご飯を持ったA・Kに対して、こちらで用意したカレーをかけてやる。キャンプと言えば色々選択肢はあるが、まあそこは俺がなにかというとカレーにする男であるがゆえにカレーである。続いてこちらの分も盛りつけると壁際に腰を落ち着けた。
「いただきます、と」
二人並んでカレーを拝むと粛々と口に運び始める。キッチンで作る手の込んだカレーとは違い少々野趣あふれる出来だが、自然で食べるのはまた違った趣があるという物だ。
【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -16-終わり:その-17-へ続く】
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