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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -8- #ppslgr
植生が、日本の山林のそれからまるで熱帯の密林の様に変化したのは俺達が探索を再開して間もなくのことだった。歩みを進めるほどにあたかもグラデーションめいて徐々に全く異なる環境の植生へと移り変わる様は、まじまじと観察するほどにこちらの現実感が損なわれる感覚であった。
「これ、もしかしてジャングルになってるヤツ?」
「その通りだな」
如何にもジャングル、といった印象を与える植生の中に自分達こそがこの環境のあるじだと言わんばかりに勢力を増しているのがやはり、トウモロコシの群生だ。
黄色、白、あるいは種子がランダムのカラーパターンになった奇異な種に、紫やあろうことか水色なんてトウモロコシもいる。ジャングルの中にそんな胡乱なトウモロコシが溢れているのだ。名状しがたい悪鬼邪神とは違う意味で正気値が削れていく環境ではある。
「私には中々新鮮な環境だ、こういう野趣溢れる草花達の密度が高くて密集している所はね」
「そりゃーエルフの王子はジャングルあんまり見ないでしょうよ。俺っちの住んでるとこともまたちげーしな」
こんな状況でもややずれた爽やかさで環境を論評するエルフの王子にA・Kはやさぐれた様子で切り返す。もっとも、この彼のマイペースっぷりは正気を揺さぶってくるこのシチュエーションでは救いでもあるか。
軽口を叩きあう彼らを他所に、立ちはだかる俺よりもさらに背の高いひまわりのようなサイズのトウモロコシ・モドキをマチェットでもって斬り捌いて道を開いていく。しかし切っても切っても際限なくトウモロコシが道を阻む。
探索行の目的がこの奇妙な樹海の調査でなく破壊であれば、とっくの昔にソウルアバターを起動している所だ。自然破壊は通常であれば積極的にやりたい行いではない。だが、これらは自然と言うよりも不自然極まりない代物であり、放置している方が脅威と俺の直感が告げていた。
「まて、二人とも。何かが近づいてくる……何だこれは?」
俺達を制したエルフの王子が端正な眉を吊り上げ怪訝な顔を見せる。足音は無し、だがあのコーン・ケルベロスの機械的鳴き声と同様の唸りが徐々に近づいてくる。
「来いよコーン野郎!もう何が出て来てもおどろかな……」
自身にはっぱをかけて近づいてくる敵を迎え撃とうとしたA・Kはショットガンを構えたまま唖然としていた。
密集する密林の合間を縫って飛来したのはコーンの子実、あの可食部の粒だ。こぶし大のコーン粒があろうことか鶏の群れの様に飛び交っては球形陣形を取りまるで古代遺跡のオーパーツめいた幾何学的運動を見せている。
「R・V、君達の世界ではコーン粒が飛ぶのかな?」
「まっさか、見た事も聞いたこともないね」
多分、敵?を前にしてエルフの王子の疑問に肩をすくめて答えてみせる。もはやこうなったら徹底抗戦である、だが、ヤケはダメだ。あくまでも冷静に戦う必要がある。
「rrrrrrrrffffffff……」
鳴き声とは言い難い音を上げて、コーン・スウォームは次々と俺達に飛び掛かってきた!
【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -8-:終わり:その-9-へ続く】
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