いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -10- #ppslgr
空想好きな人間なら、ゴーレムという存在を夢想した事は一度はあるのではないだろうか。
例えば、土、煉瓦、鋼、宝石、そして金のゴーレム。代わりだねならスノーマンやクッキーなんかもありかもしれない。だがしかし、だがしかし、だ。
「いよいよ俺もラリってきやがったか……?」
ジャングルの木々と密集するトウモロコシを踏みつけへし折りながらのっそりと姿を現したソレは、そう、巨大なコーン粒を積み重ねて作ったコーン・ゴーレムだった。ご丁寧に細かな稼働を要するところは小さめのコーン粒、そうでない所は装甲めいて分厚いコーン粒で構成されており、人型ロボットさながらの造形だ。
だが恐ろしい点はそこではない。このトウモロコシ製ゴーレムは先ほどからあの特徴的なタービン音を発していないのだ。
「A・K!スマホは銃に持ちかえるんだ!」
「お、おう!」
先程と同様に録音を放とうとしたA・Kに警告を飛ばすと共に、後方へ飛び退って油断ならないコーン・ゴーレムへの間合いを取る。たまたまか、それとも学習したのかこのコーン・ゴーレムは密集隊形を取る事でそれぞれの粒同士を密着させてコミュニケーションを図っているようだ。
「こいつは出し惜しみできんな……!」
動きこそ緩慢なものの、その威圧的なちゃぶ台サイズのコーンナックルが俺目掛けて振り下ろされる!バックステップ回避から地面を砕いたゴーレムの腕へ飛び乗るとそのまま駆け上がり頭部を構成するコーン粒に二刀流交差斬撃を見舞う!切り裂かれた衝撃で散り散りに飛びちるコーン!
そのままコーン・ゴーレムの肩に立ったまま背から胸に抜けるようにマチェットを振り抜く!一瞬遅れて血糊が噴くかの如くコーンが舞い散る!続いてA・Kと王子による援護射撃!矢と鋼弾がいくたびもコーンの胸部表面を打ち砕く!被弾を避けるために跳躍からの回転着地!
「やったか!?」
「王子それフラグ!」
集中砲火によって上半身が爆散したコーンの巨人だったが、見る間に崩れ落ちた粒は舞い戻り集約すればあっさりと元通りのゴーレムとして復活した。見る限りではダメージを与えた分目減りしているという事もなく、本当に元通りに、だ。
「わーおぅ……」
「力押しではダメだな、コレは」
「さてはて、どうしたものか」
観察した限りでは核となるコーンがある訳ではなさそうだ。となれば形状を維持できなくなるまで子実を破壊するしかないが、果たして何時間かかることやら。周辺のコーンも増援に来れるとするなら無制限にパーツを補給できる可能性さえあり、生身のままでの持久戦はただただこちらが不利という事になる。
「ここはちょっとばっかし新技のお披露目でも……」
「まて、R・V。俺が行こう」
さんざコーンを刻んでなお切れ味を保ったマチェットとククリを構える俺に対し、横に並んだ男が制した。
その男はまるで影で編まれたかのような外観の屈強な男であり、目だけが異様に白く輝いていた。まるで某探偵マンガの犯人の様だが、そのしゃがれたデスボイスには信頼に値する実直さが感じられた。
【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -10-終わり:その-11-へ続く】
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