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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -4- #ppslgr
木々の葉が日光を遮り、樹海の中は一見穏やかな空間が続いているように認識できる。大型の猛獣も今の所先ほどのマッスルコアラ以外には遭遇していない。しかし……
「木、草、いずれも既存の植物のデータに照合しないか」
スマホのアプリケーションによる簡易的なチェックだが、この場にある植物どれ一つとして現在の地球上にある植物と合致しない。もちろん本来この地にあるべき植生のデータを元に検索しているので、少なくともこの大陸には存在しないはずの植物で今ここは支配されているという事だ。
「そしてこのトウモロコシの群生、いや、正確にはこれもトウモロコシではないか……」
樹海にはところどころトウモロコシを思わせる植物が群生し、木々に日光を遮られているというのにまるで畑の様に密集している。これらも先ほどの言の通り、地球上のトウモロコシに酷似した全く別の種だ。トウモロコシ・モドキとでも呼ぶべきか。
「なー、R・V、ここの植物ってそんなにおかしいのか?」
「データ照合を行ったが、未知の植物の可能性が高い。もちろん食べない方がいい。さっきのコアラの異常成長とも無関係とは言い難いしな」
「ワオ、事件が解決したら持って帰ってプロテインにしてもらおうぜ」
「きっと税関で引っかかるな」
A・Kのジョークに苦笑しながらも、現地政府に提出する植物のサンプルを慎重に採取する。無害そうに見えても未知の植物だ、無暗やたらな扱いは避けた方がいいと判断した。
「しかしこの広さだから当然だが、先行調査隊は影も形も見当たらないな」
「通信機壊しただけで案外もう帰ってたりするんじゃねーの?」
「ならまだいいんだが」
今の所カナリア替わりのピンポン玉サイズドローンによるアラートもない。大気成分に関しては毒性の物質はないはずだが、こうも常識が通用しないとそれも少々疑ってかかる必要がある。
「二人とも、ちょっとおかしな物を見つけたぞ!」
その高い知覚能力を活かして見張りをしてくれていた王子より呼び出しがかかる。彼が枝葉を飛び移って降り来った木へと集合すると、確かに不自然な銀の物体が幹からぶら下がっていた。
「コレは君達が呼ぶところの、識別票という物ではないか?」
「おう、正解だぜおうじ」
彼が見つけた識別票はそのチェーンを木の幹に呑み込まれるようにしてぶら下がっており、票その物には赤い血糊がべったりと塗布されている。血がついている事自体は交戦があったとすればそこまで異常ではないが、気がかりなのはこのチェーンの飲み込まれ方だ。
「二人とも、少し離れてくれ」
俺の懸念に気づいたのか、二人は両サイド後方に離れるとお互いに得物を構える。俺自身はというと藪こぎ用に持ち込んだマチェットを握りしめ(マチェットは本来藪こぎ用でヒトを斬る刃物ではない)不自然な幹に向けて認識票が食い込んでいる部位を切り取る様に振るう。
ガコッと幹が引き抜かれた積み木の様に大地に落ちると、現れた者を見て息をのむ。
「おい!こいつはもしかして」
「……調査隊の一人だな」
まるで寝袋にでも詰まったかの如く、調査隊の男は木の幹の中に詰め込まれていた。呼吸、反応共になくこと切れている事はすぐに分かった。認識票は、この男の首からぶら下がって幹の外へと露出していたのだ。
【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -4-:終わり:その-5-へ続く】
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