アメリカ大統領選について「日本のメディアが全く伝えようとしない」こと
2024年のアメリカ大統領選のニュースを関心を持ってフォローしてきました。ここ数年で、私は日米の主流メディアに対する信頼をすっかり失ってしまったので、ひとりのウォッチャーとして、YouTubeやXなどのSNSで活動している”市民ジャーナリスト”の発信する情報を、主流メディアが流す情報と対比させながら、大統領選の行方を見守っています。
そして、強く感じるのは、日米の主流メディアが流す情報と市民ジャーナリストが発信する情報との間に大きな乖離があるということです。日本の主流メディアは、カマラ・ハリスよりトランプが若干優勢、または激しく拮抗しているというニュアンスで大統領選を報じていますが、それは私がこれまでYouTubeやXの投稿から得た感触とはだいぶ違います。
まず、日本ではほとんど報道されない、現地メディアのインタビューをご覧ください。日本のメディアの情報から見えるものとはかなり違う景色が見えてくると思います。
動画の下に簡単な説明と私が観察したことを記載しています。私の主観が入っていますので、その点はご了承ください。
CBSの60ミニッツは人気が高いインタビュー番組で、その名の通り60分のインタビューが行われます。カマラ・ハリスのインタビューも60分行われましたが、CBSは20分と3分の1の長さに編集してサイトに掲載しています。残りの40分では一体何が語られたのでしょうか。気になります。
CBSは民主党寄りのメディアですが、この60ミニッツのインタビュアーは下記のようなかなり突っ込んだ質問をしています。ところが、どの質問にもハリスは明確な答えをしていないか、議会やトランプのせいにしています。
8:19 最近、バイデンの方針に従って国境警備を厳しくしたら不法移民の数が激減した。それが正しい判断なら、どうして2021年にそうしなかったのか。
9:45 国境政策を緩めたのは間違いではなかったのか。
10:10 私が聞いているのは、不法移民を国内に入れてしまったのは間違いではなかったのか、ということなのだが。
10:45 あなたはトランプを人種差別主義者だと非難しているが、トランプには何百万人もの支持者がいる。このことをどう説明するのか(トランプが差別主義者で国の分断を図っているなら、なぜこれほど多くの国民が彼を支持しているのか)。
このインタビューには44600以上ものコメントがつきました。その多くが下記のように、インタビューを短く編集したことに対する抗議です。
If you want to call your program 60 Minutes, then show the whole 60 minutes of this interview, UNEDITED.
番組を『60ミニッツ』と呼びたいのなら、このインタビューを60分まるごと、編集なしで見せてほしい。
No political interview should ever be edited
政治に関するインタビューは編集するべきではない。
I don't think the race is as close as the media says....
メディアが言うほど接戦だとは思わないが......。
They gave her the questions in advance and still so may issues with her answers . Release the unedited interview to the public. You owe it to the public.
彼らは事前に彼女に質問を与えたのに、それでもまだ彼女の答えにかなりの問題がある。未編集のインタビューを公開してください。国民に対する義務だ。
CNNは民主党寄りのメディアで、この男性司会者、アンダーソン・クーパーは共和党やトランプに対してかなり批判的な人物ですが、意外にもこのインタビューではハリスに対して手厳しい質問をしています。ですが、この動画もかなり編集されて短くなっています。
最初に若い男性が不法移民問題について質問しています。政府は不法移民に対して莫大なお金を使っていますが、それは国民の税金から支出されています。この支出をいつまで続けるのか、それにいったいいくら予算を割くつもりなのかと、とてもいい質問をしていますが、ハリスは答えられないので、時間稼ぎに質問と関係ない話を長々としたり、不法移民問題をトランプのせいにしようとしたりして、質問をはぐらかそうとしています。
ここで、CNNの司会者も、60ミニッツのインタビュアーと同じ質問をしています。
2:38 大統領候補者討論会の前にエグゼクティブ・アクションを行使して国境をシャットダウンしたら不法移民の流入が激減した。どうしてそれを2020年から2023年までやらなかったのか。
ハリスの答えは答えになっておらず、私にも彼女が何を言いたいのかわかりません。わかるのは、ハリスが必死に言い訳を探しているということだけです。そこで、また司会者は同じ質問を繰り返します。
5:25 トランプ政権の時、あなたはトランプが作った国境の壁を非難した。50回以上も「馬鹿馬鹿しい」とか「役に立たない」、「中世の遺物だ」などと言ったが、国境の壁は馬鹿げているのか?
これに対してハリスは、トランプを引き合いに出してばかにします。この時彼女のトランプをばかにする発言や表情がとても印象的です。
で、結局ハリスは質問者の質問に答えたでしょうか。私にはハリスの答えが具体性を欠いていて、何を言いたいのか全くわかりませんでした。わかったのは、ハリスが質問に答えられないか、答えるとまずいからはぐらかそうとしているということです。皆様はどのように感じましたか。
CNNは民主党の応援団のはずですが、CNNの司会者も視聴者もハリスが何もまともに答えられず、挙げ句の果てにトランプに責任を押し付けることに呆れ、匙を投げたという印象です。概要欄にあった代表的なコメントは下記のとおりです。
She didn’t answer the young man’s question at all.
彼女は若者の質問に全く答えていない。
CNN actually aired this interview? This doesn't help Harris.
CNNは本当にこのインタビューを放送したの?全くハリスの応援になってないけど。
Big thanks to Mr. Anderson Cooper . Now my entire family have decided to vote for Mr. Trump based on this interview. This woman provided no clear answers to all the questions asked. All problem cannot be about Trump. People need to wake up and wake up quick.
アンダーソン・クーパー氏に大感謝だ。今、私の家族全員が、このインタビューに基づいてトランプ氏に投票することを決めた。この女性は、すべての質問に対して明確な回答をしなかった。すべての問題がトランプ氏の問題であるはずがない。人々は早く目を覚ます必要がある。
オプラ・ウィンフリーはアメリカで絶大な人気を誇る司会者で大富豪でもあります。オプラは自分の番組にハリスを招いてインタビューを行いました。その様子をSky News Australia(オーストラリアの保守系メディア)が取り上げています。時々挟まれるコメンテーターのコメントの小馬鹿にしたようなコメントがちょっとうるさいですが、オリジナル動画が見つからなかったので。
3:25 物価をどうやって下げるのかその政策について聞きたいという一般市民の質問に対して、ハリスは全く何も答えられていません。
4:00 抽象的なことばかり言うハリスに対して、がっかりした質問者の表情がこわばっていくのがわかります。結局ここでハリスが言ったことは、「私たちがその問題を解決しなければなりません」だけでした。
5:08 ボーダーセキュリティに関する質問は、これまで何度も聞かれている質問ですが、ここでもハリスは答えられず、聞かれてもいない自分のキャリアについて話しています。
8:13 投票日まで47日になった今、あなたは何を考えているのか、というオプラの質問に対して、ハリスはまるでポエムのようなわけのわからない答えをしています。オプラがどう反応しているか、彼女の表情をご覧ください。
9:24 ハリスが引き続きポエムのようなよくわからない話をしています。オプラの憮然とした表情は、視聴者の気持ちを代弁しているようです。
動画に寄せられたコメントです。私が見る限り、好意的なコメントは皆無でした。
Thank you Sky News for calling out this fraud…
この詐欺を告発してくれたスカイニュースに感謝する。
The cringiest presidential campaign I have ever witnessed.
私がこれまで目撃した中で最も卑劣な大統領選挙。
Oprah should be ashamed of of herself for supporting Kamala
カマラ氏を支持したオプラは恥を知るべきだ
最後にこちらの動画です。ここには表示できなかったので、下記のサイトをコピペして、ぜひぜひ、ご覧ください。
https://www.youtube.com/shorts/_shHtjxcsvI
エリザベス・ウォーレンは過去に民主党の大統領候補の予備選に出馬したことのある、民主党のベテラン議員です。彼女に対してハリスは、このように言って抗議しています。
「あなたが私に同意しなかったことに驚いています。ビッグテックに対するコーポレートルールに関してです。私はTwitterに電話して、トランプのアカウントを閉じるように言った。あなたは私に同意しなかったけれど、同意するように促したい。トランプにはTwitter上に6500万人のフォロワーがいる。彼はそれをアメリカ大統領として使っている。」
これが、自由や民主主義、表現の自由を標榜する民主党の大統領候補が語ることでしょうか。でも、これが彼女の本音です。
ハリスとトランプ、どちらが民主主義の脅威でしょうか。
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このほかにもハリスが出ているインタビューや大統領選のハリスのスピーチをいくつも聞きましたが、どこでも具体的なことには言及せず、ワードサラダと揶揄されるような抽象的で支離滅裂な言葉の羅列に終始しています。これらを見る限り、ハリスに投票しようと思っている人はハリスのインタビューやスピーチを全く見ていないか、主流メディアのハリス賛美の偏向報道を信じきっているか、トランプを忌避しているかのどれかだとしか思えません。
ハリスに対しては好意的なはずのメディアがここに来てハリスに手厳しい質問を行なっていることや、動画の下のコメントにハリスに対して厳しいコメントが並んでいることからも、日本の主流メディアの報道とは随分異なる印象を受けるのではないでしょうか。
上記で述べた以外に、私がカマラ・ハリスが大統領に相応しくないと思う理由は、彼女が全く努力をしない点です。高校生だって来週試験があると言われればそれに備えて勉強するでしょう。インタビューで聞かれる質問は決まっています。物価高、インフレ、不法移民に関する質問がトップ3です。なのに、毎回、彼女は何の準備もせず、その場しのぎのスタンドプレーでかわそうとしています。国民を舐めていなければこんなことはできません。最初のインタビューで失敗したら、次はちゃんと答えようと周到に準備をするのがまともな感覚だと思います。
私には、カマラ・ハリスを支持する人の気持ちが理解できません。
らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。
らうす・こんぶのnote:
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