コロナウイルスにおける鍼灸治療
こんにちは。ゆずの木治療院院長の高山です。
今回は新型コロナウイルス(COVID-19)における鍼灸治療について書いていこうと思います。
新型コロナウイルス(COVID-19)は急性呼吸器感染症であり、感染力が強く、広く感染しやすく、人々の生命と健康に重大な脅威をもたらすものです。COVID-19は、中医学における「疫病」のカテゴリーに属しております。何千年もの間、中医学は疫病と闘う医療の実践において、長期にわたり豊富な経験を蓄積してます。中医学の重要な部分として、鍼灸は独自の特徴と利点を持っており、医療の歴史の中で重要な貢献をしてきているのではないかと思います。中医学の古典には、疫病予防と治療のための鍼灸の関連記録があり鍼灸が伝染病を予防し、治療できることを記録してます。
現代の臨床研究や実験研究では、鍼灸がヒトの免疫機能を調整し、抗炎症作用や抗感染作用を発揮することが示されており鍼灸は伝染病の予防と治療に積極的な役割を果たしている。
鍼灸治療の本場中国でもCOVID-19に対して鍼灸介入ガイドライン(第2版)を作成し鍼灸治療の有効性を認めております。
[鍼灸介入ガイドライン(第2版)]
http://en.wfas.org.cn/news/detail.html?nid=5373&cid=25
今回はそこに記載されているCOVID-19に対して有効と考えられる鍼灸介入の方法、経穴を紹介します。
ⅰ.医学観察期の鍼灸介入(疑い例)
【目的】
正気および肺と脾の機能を刺激し、疫病の邪気を打ちのめして分離し、取り除き、臓器の邪気に対する抵抗力を増強する。
【主穴】
(1) 風門(BL12)、肺兪(BL13)、脾兪(BL20)
(2) 合谷(LI4)、曲池(LI11)、尺沢(LU5)、魚際(LU10)
(3) 気海(CV6)、足三里(ST36)、三陰交(SP6)
【配穴】
●発熱、喉の乾き、乾性咳が組み合わさった症状は、大椎(GV14)、天突(CV22)、孔最(LU6)。
●悪心嘔吐、軟便、舌の胖大と膩苔、濡脈が組み合わさった症状は、中脘(CV12)、天枢(ST25)、豊隆(ST40)。
●疲労感、脱力感、食欲不振が組み合わさった症状は、中脘(CV12)、臍の周りの4穴(臍から上下左右に1寸離れた場所)、脾兪(BL20)。
●透明な鼻水、肩と背部の痛み、淡舌と白苔、緩脈が組み合わさった症状は、天柱(BL10)、風門(BL12)、大椎(GV14)。
ⅱ.臨床治療期の鍼灸介入(確定例)
【目的】
肺と脾の正気を刺激し、臓器を保護し、損傷を減らし、病原の邪気を駆除し、「土を培い、金を生む(訳注:脾と肺を補益する)」。疾患の勢いを停め、気分を軽くし、病邪に打ち勝つ確信を強くする。
【主穴】
(1) 合谷(LI4)、太衝(LR3)、天突(CV22)、尺沢(LU5)、孔最(LU6)、足三里(ST36)、三陰交(SP6)
(2) 大杼(BL11)、風門(BL12)、肺兪(BL13)、心兪(BL15)、膈兪(BL17)
(3) 中府(LU1)、膻中(CV17)、気海(CV6)、関元(CV4)、中脘(CV12)
軽症例と一般症例の治療には、その都度、(1)と(2)の群から2~3の主穴を選択し、重症例の治療には(3)の群から2~3の主穴を選択する。
【配穴】
●長時間の発熱を伴う症状は、大椎(GV14)、曲池(LI11)、または(訳注:奇穴の)十宣(訳注:Ex-UE11)と耳尖(訳注:Ex-HN6)からの瀉血。
●胸部絞扼感、息切れを伴う症状は、内関(PC6)、列欠(LU7)、または巨闕(CV14)、期門(LR14)、照海(KI6)。
●痰を伴う咳の症状は、列欠(LU7)、豊隆(ST40)、定喘(Ex-B1)。
●下痢、軟便を伴う症状は、天枢(ST25)、上巨虚(ST37)。
●粘り気のある痰や黄色の痰、便秘を伴う咳の症状は、天突(CV22)、支溝(TE6)、天枢(ST25)、豊隆(ST40)。
●微熱、気づかない熱、または平熱、嘔吐、軟便、紅舌または淡紅舌、白苔または白膩苔が組み合わさった症状は、肺兪(BL13)、天枢(ST25)、腹結(SP14)、内関(PC6)。
ⅲ.回復期の鍼灸介入
【目的】
残留ウイルスを除去し、生命力を回復し、臓器の修復を促進し、肺と脾の機能を回復させる。
【主穴】
内関(PC6)、足三里(ST36)、中脘(CV12)、天枢(ST25)、気海(CV6)。
Ⅲ.医師の指導の下に行う在宅の鍼灸介入
COVID-19の流行を予防・制御するために、外出を減らし、交差感染を回避し、感染源を遮断し、安全性を確保するとともに、自宅隔離の患者や退院した患者には、専門家の指導の下、オンライン診療・指導、科学の普及・教育により鍼灸介入を行うことができる。
灸治療
足三里(ST36)、内関(PC6)、合谷(LI4)、気海(CV6)、関元(CV4)、三陰交(SP6)への患者自らの灸。1穴の灸の所要時間は約10分。
経絡マッサージ
上肢の肺経と心経、膝下の脾経と胃経のツボに対して、点法(指圧)・揉法・按法(圧迫)あるいは揉按法・拍打法・叩打法を用いる。1回の施術時間は15~20分。施術部位に腫れぼったい感覚があるのが適切となる。
以上が鍼灸介入ガイドライン(第2版)で紹介されている鍼灸介入について記載されているものです。
今は便利ですよね。インターネットで調べれば経絡経穴もすぐに出てきます。
コロナウイルスはまだまだ収束が見えません。1日も早い収束を願うばかりです。
高山
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?