寒い家をどうするか?!関東の田舎家での寒さ、冬超え、初年度編 「田舎暮らしラプソディ その1」
思いもよらない展開で東京→茨城の山奥へと引っ越すことになった今から30年前の人生備忘録。
「田舎暮らしラプソディー」は1992年の暮れから1996年に体験した30代前半の時の田舎暮らし経験を、2001年にあるミニコミ誌からインタビューを受けて記事になったものに追記して書いたものです。
田舎暮らしに夢や憧れがあったわけでもなんでもなく、当時のパートナーのしつこい願いで、引きずられるようにはじまったのが今からもう30年ほども前(なんかあっという間)。
約5年ほど、茨城県の山奥の、おなじ県民でさえ村名を知らない鄙びた村で過ごしたことが、今となってはどんなことに対しても生きていけるという揺るぎない自信になっている。
若いがゆえに無謀にもできたことがたくさんあって、そしてなんの前知識もなかったがゆえに、しでかしちゃったこともたくさんありました。
もしかするとそれらの記録が、これから田舎で生活していく人に役に立つかもしれないという気持ちで、忘れかけている記憶をたぐりよせて備忘録的に書いてみようと思います。
よろしければ読んでください。
あれは1992年のこと。
当時は東京の国立市に住んでいたのですが、私の想いとは裏腹に、元パートナーの下心満載の想いから、引きずられるように田舎暮らしがスタートしました。
知人の紹介で茨城県の、辺鄙で小〜さな村で古い空き家を借りて住むことになったのです。
国立ではマンション暮らし。
マンションでの暮らしをそのまま田舎の囲炉裏を切ってあるような古い家に持っていきましたが、
ものの見事に合わない。。。
越したのが暮れも押し迫った12月だったので、新品の電気ファンヒータを購入していきました。
ところが設定温度をどんなに最高値(32℃だったかな?)にしても、現在室内温度センサーは0度のまま。
ファンヒーターが壊れているのかと最初は思いました。
スカスカの隙間だらけの昔家で、天井が吹き抜けになっている屋根の上はすぐ空、、、みたいな空間では、温めた空気はすぐにどこかに消えてしまい、現代の家電製品では私達の力にはまったくなってくれませんでした。
囲炉裏もあったのですが、使ったのは最初の1〜2回だけ。これ、暖はまったく取れないです。
北海道出身の私たちにとって寒さは絶対的に防ぐべきものであり、なんとしてでも家中を暖かく快適にしたかった。もとい、するべきなのだ!との強い思いがありました。
このままでは北海道人の名がすたる、くらいの勢いで、すきまを塞ぐ作業を夫婦二人ではじめたのですが、日本の家って湿度だけしか考えてなくて出来上がっている建築なのでは?と思うくらい暖が取れない。
極寒の地、北海道の住まいは冬の寒さを重点的に考えて作られていますが、日本の古屋に住んで初めて知ったことは、
日差しの入り方、風の抜け方、そして隙間がやたら多い床板はスカスカ、ベランダ長すぎ、
これらすべてが湿気に対応してるってこと。
そこですきま埋めを諦めて思いついたことは、「火」でした。
あの赤々とした有機的エレメンツ。
まるで原始人が人類初めて「火」を見つけた瞬間みたいに、私の頭に閃いたことは「火を焚くこと」でした。
薪ストーブだ!もうそれしかない。札幌でもおじいちゃんちでは石炭ストーブ焚いてた。
私は、幼い頃の、祖父母の家で赤々と燃えていてあっついくらいだったストーブの存在を思い出しました。そういえばよくあのストーブの上でお芋焼いてたなぁ。。。
そうだよ、こういう家にはそのくらいパワフルな熱が必要!
でも世の中の立派な鋳物の薪ストーブはとても高価で、私たちがおいそれと手を出せるような価格ではありませんでした。
そこで車で1時間ほどの距離にある金物屋さんの奥で、ホコリを被っているトタンでできた簡易の薪ストーブを購入して(たしか数千円でした)、近所の材木屋さんから切れ端をもらい、ストーブを炊いてみると、ようやく、、、ようやく暖が取れたのです。
私は最初、薪に火をつけることができませんでした。
というか、大きな薪にそのままライターの火をかざし、なぜ薪に火がつかないのだろう?と不思議に思いながらも1時間も2時間も頑張り続けていたという無知さでした。
パートナーが留守をしていたある時、そうやってライターで薪に火をかざしながら時は経ち。。。
家はどんどん冷えていき、とうとうそこら辺にいた近所の男の子を呼んで火をつけてもらうという始末です。
火ってまず枯れ葉とか紙くずで種火を起こし、次に小枝、次に。。。というふうに大きく起こしてゆくものだということを、田舎で暮らすようになってはじめて知ったのです。
安い薪ストーブでしたが、私達一家にとって救世主のような活躍をしてくれました。
たしか時計型というタイプだったと思いますが、すごい火力で。。。というのもお金のない私達が使える薪といえば、一瞬すごい勢いで燃え、その後すぐ燃え落ちてしまうという「杉」が主でしたから、寒いのが苦手な北海道人一家はどんどん杉を焚べてしまうのでした。
ある時、ストーブの下の床から黒い煙がもうもうと立ち上がってきました。
あまりの火力でストーブの真下の床が熱さのあまり焦げてしまったのです。慌てて水をかけまくりました。
ストーブはもちろん直に床に置いたりはせず、レンガで4箇所を持ち上げていたのですが、火力が強すぎたのだと思います。
完全に火がおさまったことを確かめたあと、レンガを敷き詰めさらにタイル張りのストーブ置きの板を載せ、その上にストーブを乗せることにしました。
初年度はこんなふうにまだ田舎暮らしがファッション的でしたが、月日が流れ慣れてくると土間を拡張してそこで焚くようになっていきます。
それはまた次回で。。。
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