見出し画像

新社会人になった君へ

念願の第一志望に見事合格。
新調したスーツを身に纏い、晴れやかな気持ちで初出勤。

この春、ずっと目指していた職場で4年目を迎えた。

遡ること社会人1年目、僕にはどうしようもなく仕事を辞めたい時期が二度訪れた。

一度目は5月。
「新規採用」という言葉に甘える暇もなく数多降ってくる仕事と鳴り止まない電話。
いちばん歳の近かった目の前の先輩の見様見真似でやり過ごす日々が続いた。

先輩は、僕とは別の地域で僕と同じ仕事を担当している。しかもこの春からの赴任。つまり僕と同じ「素人」だ。

にも拘らず、圧倒的な要領の良さで次々に仕事を進めていく。
僕は一生この人に追いつけない。わずか2週間で痛感した。

そうして1ヶ月が経った5月。
もはやベテランとも思える仕事ぶりを発揮する目の前の先輩とは対照的に、一切の成長を感じられない自分。職場にいるのがつらかった。詳細は省くが、5月末に開かれた歓迎会で、僕は大号泣した。

二度目は11月。
僕の職場では、入社して最初の半年間は試用期間として扱われる。半年間の勤務態度などを見て、正式に採用されるか否かが決まる。

11月は、そんな試用期間を終え、正式に採用された10月から1ヶ月が経った頃だ。

もはや、立場に甘んじることが許されない状況となった正式採用。圧倒的なプレッシャーと、降りかかる仕事の数々。完全に「いっぱいいっぱい」だった。

きっと、弱音を吐けば助けてもらえたんだろうけど、僕にはそれができなかった。誰かの時間を奪うことが特段嫌いな僕には、それができなかった。

そんなとき、突如課長に呼び出された。
窓に背を向けて座る課長は、僕を呼び出すや否や、窓の方を向いて僕に問いかけた。

「仕事、つらいか」
いつもは厳しい言葉でご指摘いただける課長だったから、随分と驚いた。何より「つらい」という思いを胸のうちにだけ留めていたはずで、そんな素振り、誰にも見せたことなどなかったのだ。

「あ、いえ…」
返事に詰まった僕の方を見ることもなく、課長は続ける。

「君はよくやっている。最近の君が作る資料を見れば、そんなことは一発で分かる。明らかにクオリティが上がっている。」
「それと同時に、周りが君に求める仕事の質も格段に上がっているのを感じる。ここ(課長席)に座っていても見てとれるほどだ。」
「たった半年前まで大学生だったなんて、誰も思っていない。そして君自身、そのことを忘れている。」
「困ったことがあったら、いつでも僕や係長に相談してくれたらいい。必要以上に、自分を追い込まないでね。」

僕はただ一言、頭を下げて「すみません」と言うのが精一杯だった。

決して言えなかった想いを、僕自身整理できていなかった頭の中を、全て言葉にしてもらえた。何より、ちゃんと観てもらえていたことが嬉しかった。

そんなこんなで、社会人4年目を迎えた。

いま、若手社員で組織する集団の長を務めている。そんな僕が何よりも大切にしている言葉がある。

「少し前まで学生だったんだよ」

社会に出たことのない人たちは、最初に飛び込んだ環境を見て、社会を知る。働くことを知る。そして様々な壁にぶつかる。

これから先、自身のキャパシティを越えて無理をする場面に遭遇するだろう。そんなとき、君たちはきっと「社会人だから仕方ない」「仕事だから仕方ない」という思い込みを大義名分に、必要以上に自身を追い込んでしまうだろう。

そんなときこそ思い出してほしい。
自分を見失わないように。

無料でお悩み相談対応させていただきます。 コメント、DM等でご連絡くださいませ◎