第九話
生き写し
「ねぇ先生殿、あなたおとつい、揚げ饅頭屋の前にいませんでしたか」
私は首を振る
ここ数年聞かれることが多い
こんな狭い町で、両隣とその隣の町まで、私にそっくりな人間がいるとは
六人がそう言うのだから、そうなのだろう
ただ不思議にもその『私』は違う名で暮らしている

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