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fukumiminoinu
太郎先輩
「太郎さんは休んでて」
花ちゃんの元気な明るい声が頭の上でする
「すまないね、花ちゃん」
「花子、大丈夫ですぅー」
ごめんね
もう腕が硬直しちゃって下がらない
いろんな意味で弱い太郎先輩
それが僕(たち) 安全太郎の言われ方
不惑の年頃をとっくに過ぎて
初老かと言うのに…
いつまでも見た目は青年 「太郎」
そして時に脆くも儚くも体を張って車を止めるんだ
たいていは車は止まるどころか
僕(たち)太郎を跳ねて謝りもしないで去って行く
旗を握りしめたまま腕ごと、も切れたよ
太郎先輩もそのうちいなくなる
そう囁かれていたのは6年くらい前だったかな
バルーンガールの花子君と
バルーンボーイの光太郎君がデビューしてくれたというわけだ
僕 (たち)太郎は中身は意外に頑丈なんだが、身長185㌢であるに比べてウェイトが40㌔あるかないか…
物理的衝撃に弱いのが致命的なのだ
その点、花子君・光太郎君は若さゆえか
立ち上がりも5秒…数10秒でスタンバイ完了だ
数々の痛ましい事故を見てきた僕(たち)太郎としては、若い彼らをこれからも身を挺して
現場の危険から守るつもりだ