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『なめらかな世界と、その敵』レビュー

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『なめらかな世界と、その敵』

伴名 練(著)

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おんもしろかったです!
短編集なので、例によってそれぞれざっと一言づつ紹介をしておくと……

『なめらかな世界と、その敵』
表題作。表紙のイメージこれかしらん?
青春SFでちょっぴち百合成分♪
最初わけのわからない状態から始まって「なめらかな世界」の意味に気が付いた時に印象がガラッと変わります。この世界の認識の相転移感がとってもセンス・オブ・ワンダー。読了感もさわやかでよいです。

『ゼロ年代の臨界点』
ゼロ年代ってそっち!? って思わず突込みをいれたくなるけれど、この書き込みっぷりは見事。これもある意味百合話なので、最初この本ってそういう短編集なのかしらんと思いましたね。(たしかそういうアンソロジーありましたよね?w) 注釈にまで芸が細かくてうれしくなります。

『美亜羽へ贈る拳銃』
伊藤計劃トリビュート作品。
良く練られていて名前だけじゃなくお話としても伊藤計劃っぽくてよいです。面白かった。

『ホーリーアイアンメイデン』
とてもうまし! 妹からの一方的な手紙のみって構成がこれまたみごと!

『シンギュラリティ・ソヴィエト』
アポロが月に到達したころ、ソビエトは……?
シンギュラリティを達成したソビエトの、この圧倒的なソビエト感がすごい!w そこにアメリカ的な視点の導入とギャップがとてもよいかんじ。面白い!

『ひかりより速く、ゆるやかに』
これまた良いですわー。
現代の日本のリアルな状況x奇想的でファンタジックなタイムスリップ(?)現象。それに物語的な足し算があって、ほーほー、こういうお話かあ。と思わせておいてSF的に畳みかけ、さらにひとひねりまで。

いやー、おもしろい。どれもこれも「よかった、おもしろい!」ばっかりですがw どのお話も丁寧に作り込まれていてすばらしいです。

この人の作品もっと読みたくなりましたね。
で、探してみると、デビュー作の

こちらが出てきましたが、これはホラーっぽいのでどうしようかなあ(ホラー苦手w)。ホラー小説大賞をとられてるみたいですねー。こんど元気な時に読んで見たいとおもいます><

さて、それ以外のSF関係ではこの短編集以外は主にアンソロジーを編纂されていて、

こういうあたりやられているよう。京都大学のSF研究会の方だったようですね。広範囲のSFの知識はさすがです。いろんなSFを紹介されているので、これはこれで興味あり。(こっちはぽちりましたので、近いうちに読んでみますw)

って、つづけて調べていたら、去年、京アニにこの本の印税をまるっと寄付をやっていたのですね。。あー、知っていたらそのタイミングで買ったのに……。

ともあれ、寄付は終了していても、面白さはかわりません(あたりまえ)

さわやか青春系、そして、やっぱりひねりの効いたSFを読みたい方に、とってもおすすめの短編集でした。

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