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#1 「趣味」って何だ

最初のnoteで「本や漫画を読むのが趣味」と書いた私。
実を言うと、それほどの読書家ではありません。

君はまたいきなり何を……
って感じですね。
脈絡がないのはご愛嬌ということで、悪しからず。

「趣味」という先入観

そもそも何をどの程度の頻度で、どの程度熱中して、どのくらいの期間継続して行えば「趣味」と呼ぶのでしょうか。その辺りの定義って、考えてみると実は結構曖昧だと思います。その点からして、この言葉が限りなく主観的判断に委ねられているのは明らかです。だから正直、何を「趣味」と呼ぼうが個人の自由だ!と私は思っています。
が、実はそうもいかないことが世の中にはあるのです。

そう、面接

就活を始めてから個人的に困ったことベスト5に入る質問、「趣味は何ですか」。
私はこの質問が本当に怖い。いや、他にも聞かれたくないことは色々あるんですけどね。この質問が怖いのは、多くの面接官が「趣味なんだから相当のめり込んでやっているんだ」という先入観をもって聞いてくるからなんです。

もちろん、面接官が就活生を追い込むためにこの質問をしている訳ではないことは分かっています。むしろ緊張をほぐそうとして、わざわざフランクに話せるものを選んでくれているのですから、本当にありがたい。(たまにアイスブレイク的な意図でなく趣味を聞かれることもあるので要注意⚠)
でも、私は例外。この質問をされると緊張します。それはもう、はちゃめちゃに緊張します。大袈裟ですが、この瞬間ほど「趣味」という言葉が与える先入観に怯えることってないです。

例えばの話。
「趣味は何ですか」と聞かれて、あなたが「読書です」と答えたとします。この後面接官はどんなことを聞いてくるでしょうか。
何で好きなの? どんなジャンルが好き?
今までどんな本を読んできたの?
月にどのくらい読む? 好きな作家は?
その作家のどんなところが好きなの?
最近は何読んだ? おすすめの本は?
この前芥川賞とった○○についてどう思う?


ここでは「読書」と仮定しましたが、あなた自身の趣味に置き換えて考えてみて下さい。こんな深堀をされたとして、あなたは相応の答えを返せますか。

あくまで主観

こういう場面で相手が「趣味」に期待しているのは、恐らく、それなりの熱中度や専門性なんだと思います。
○○っていう作家が好きで全作品読んでるとか、他のジャンルは読まないけど恋愛ものだけはとにかく好きとか、あるいは現実とは違う世界を味わえるから好きで云々とか。読書が「趣味」の人って、こう言う人が割といます。私もそんなイメージは強いです。

でもそれって、本当はただの主観で、勝手なイメージの押し付けなんですよね。

自分の周囲や“読書を趣味とする人”という個別の事象から帰納的に導き出したからといって、その逆も正しいとは限りません。「趣味が読書である」ことは「本に詳しい/熱中している」ことの必要条件ではあっても、十分条件ではない訳です。
実際、私は「本や漫画を読むのが趣味」と言ったけれど、私にとって本や漫画は、「手持無沙汰だとつい読みたくなっちゃう」「読み始めると楽しくなる」「時間を忘れられる」程度に好きなものなのです。「趣味」と呼んでいるのに、専門性はおろか、本や漫画自体が好きだから読む、というレベルですらないのです(もちろん好きな作品はありますよ!)。これが反例。Q.E.D.

その人が「楽しい」かどうか

じゃあ結局、趣味って何なんだ!という話。
これだけ書いておきながら、正直私にも定義できません。とはいえ「分からないね」で終わるのもさすがに無責任すぎるので、広辞苑大先生に聞いてみました。彼は言葉の定義のプロですからね!曰く、

専門としてでなく、楽しみとしてする事柄。
(『広辞苑 第六版』岩波書店(2012年) より)

え!??!?
「専門としてではなく」?!!?!?
言い切っちゃってるし……何なの……あの面接官が私に求めてきたものは何だったのよ……

まあそれはさておき。
「趣味」というはそういうものらしいです。
専門性のあるなしは問題ではなくて、本人が「楽しい」と思ってやっていることなら、それで十分「趣味」みたいですね。
いいこと知った!ぜひあの時のあの面接官様にも教えて差し上げたい。

とはいえ、私たち含む世の中の多くの人達が「趣味」という言葉に期待する熱中度や専門性は、一定レベルで存在してしまうのだと思います。
ただ、皆が皆のめり込んでそれをやっているとは限らないということは、頭の片隅に入れておきたいです。
そして深堀するなら、せめてこう聞きたい。

その“趣味”のどんなところが楽しいですか?




追記。
「面接」というのは実際、かなり特殊な場面です。その人の思考・興味・持続力etcを、できるだけ少ない質問から割り出さなければなりません。そう考えれば、「趣味」に熱中度や専門性が期待されるのも、ある意味必然なのかも知れませんね。

さらに余談。
面接で趣味を聞かれたら、私は読書とは言いません。
・音楽を聞くこと
・ギターを弾くこと
・ディズニーランドに行くこと
のどれかで答えています。
理由は簡単。多少深堀されても具体例を出してかわせるから。


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