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2020年5月10日

GW明けあたりから,当地では「町中の個人洋品店(普段,ほとんど客がいない)」の店先にサージカルマスクが積み上げられ始めている.
価格は一箱2500-3500円くらい.
その横には「ファッションマスク」という名の新商品が並んでいる.いわゆる手づくり布マスクのようだ.

当地では,街を歩くヒトのほとんどが何らかのマスクをしている.幕末の土壇場で新政府軍に寝返った土地柄もあってか,お上のご意向には絶対服従の模範的な社会なのだろう.

私にはマスクを手に入れる術がない.ドラッグストアやコンビニを通りかかると一応確認するが,常に売り切れだ.
皆,どこで手に入れているのだろう?

先日,外来を訪れた一般の一家全員が,メガネを曇らせながらN95マスクをしておられた.良いマスクですね,どちらで?と問うと,知人から分けてもらいましたと.
また,店員のほとんどがサージカルマスクを付けている店もある.
どうやら当地では上級県民用の流通ルートがあるらしい.

病院からサージカルマスクをくすねるのは重罪であるし,転売ヤーが横流ししたサージカルマスクを闇市で買う気にもならないし,アベノマスクをつける気にもならない.

本日,久しぶりに開店したLOFTに入ろうとしたら,「入店時にはマスクをしてください」との立て札があり,入店を諦めた.

私は,「社会的不適切近接範囲内」でヒトと話さざるを得ない場合には,さっきまで職場で付けていたマスクをポケットから出して付ける.そして,屋外ではマスクを付けない.(一度,街路でマスクをしていないことで罵声を浴びたが.)

マスクを付けないことがマナー違反,不適切な行為となった社会に私は住んでいる.もともとヒトと話すことがこの上なく苦手な私には至極住みやすい社会だ.職場と自宅以外では,極力誰にも会わず,開口せず,身振り手振りで意思の伝達を行なう生活がこれから始まる.(実は結構ワクワクしている)

写真は欧州への逃避行の三枚目.着陸間近のジュネーブの夕景.中心部に有名な「大噴水」(Jet d'Eau).

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