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【感染予防】「『お湯を飲んで予防』はデマ」というファクトチェックに対するファクトチェック

2014年1月8日放送のNHK「ためしてガッテン!『風邪インフルよサラバ!体の中から改造!計画』」という回で、水を飲むだけでウイルス・細菌の感染から体を守ることができるという内容が全国放送されました。

以下、画面の引用はすべて同放送のものです。

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(C)NHK

放送内容は、鼻腔から肺に至る表面に無数にある線毛の活動を活発にさせるために、水をこまめに飲む重要性を伝えるもの。線毛が正常に働いていれば1秒間に15回という猛スピードで振動し、体組織に侵入しようとする細菌・ウイルスを粘液で包んで痰として排出したり、食道から粘液ごと胃に落としたり(一日で牛乳瓶半分位)して体を守れる事実を説明しています。
ところが、乾燥によって線毛の活動が弱ると、インフルエンザウイルスの場合最短20分で線毛の下の細胞に侵入し(すなわち感染)、爆発的に増殖してしまうとのこと。

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一日1.5リットルを目安として「水を飲むだけ」で、体の中をめぐった水が線毛の下から湧き出して線毛を元気にし、かぜやインフルに罹りにくい体に変われるというものでした。

●手洗い・マスク・うがいに加えるべき新予防法として位置付けていた

番組では、手洗い・マスク・うがいという定番の予防法に加え、この予防法を新発見のものとして位置づけていました。

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●信頼性について

東京女子医科大学の助教が気管支内の線毛を採取して動き続ける線毛を顕微鏡画像で説明したり、同大学の教授提供による鮮明な拡大画像の紹介をしたりしており、同大学での研究内容に沿った番組製作と監修があったものと考えられます。線毛がウイルス・細菌を粘液ごと体外へ運ぶ映像なども紹介されていました。
また、実際に番組内で12名の被験者に対し、試薬(サッカリン)を使った対比実験も行い内容の検証を行っていました。

●信頼できる情報として人に伝えた人が多くいたはず

健康に対する意識の高い人や医療関係者も多くのこの番組を観たことでしょう。この放送回を観て、こまめに水を飲んで細菌やウイルスに感染しないようにする習慣を身につけたお年寄りや子どもも多かったと思います。また、冬場に冷たい水を飲むよりも軽く温めてより体温に近くした方が飲みやすいことから、その点も含め、コロナウイルスの危機が迫った時期に信頼のおける健康法として、大切な家族や友人に伝えた人もそれなりにいたはずです

●非常に説得力のある内容だった

番組内で予防できるとうたっていたのは、かぜとインフルエンザですが、鼻・口から侵入する菌・ウイルスに対し、線毛が物理的な排除を行っているため、コロナウイルスに対しても同じ予防法が有効と判断しても差支えないと考えます。実際に、番組を観ればわかるのですが、ウイルスが粘液に包まれて体外に運ばれていく様子の動画など数々の医学的エビデンスを多角的に紹介し「ガッテン!」と言いたくなるような説得力のある内容でした。

私自身にコップに入れた水を一日に何度も飲む習慣を身につけるようになりました。この番組を観ることで、朝、起きたら喉が痛くなっていたらどうしようという不安がなくなり、大きな安心感が得られました。

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●某国内大手新聞のある記事

某国内大手新聞社の記事(2020年3月9日 (最終更新 3月10日))をみてみましょう。

a.「お湯を飲んで予防」「ビタミンDやビタミンCが効く」新型コロナ、デマ相次ぐ

b.新型コロナウイルスを巡り、ツイッターなどでデマや信ぴょう性の低い情報が出回っている。お湯やビタミンDなどが効くといった「効果」をうたう誤情報や(中略)といった不安をあおるものもある。

c.「今回のウイルスは耐熱性がなく、26~27度の温度で死にます」「より多くのお湯を飲んでください」。国内で感染が広がる中、ツイッターなどでこうした情報が駆け巡っている。温度は「36~37度」など別のケースもあるが、「知り合いの医者」や「医療関係者の友達」からの情報などとして「お湯を飲めば予防になる」といった趣旨は同じだ。

●「お湯」と「水」との違いについて

番組内では温度に触れることはなく、単に「水」としか表現していませんが、水とお湯は、温冷の差はあるものの物質的には同じものです。
水ではなく白湯で薬を飲む人は多くいます、冷たい水では体を冷やしてしまうという心遣いから、白湯の温度を正確に伝えようとしたときに、体温と同じc.の「36~37度」という記述にしたケースもあると思われます

●熱殺菌できるという解釈が混じった可能性

もちろん、c.「今回のウイルスは耐熱性がなく、26~27度の温度で死にます」は記事どおりデマ情報です。特に「耐熱性がなく」の部分が誤りです。

ただし、摂氏表記ではなく華氏表記だった場合は、78.8度~80.6度ということになり、殺菌の意味合いが出てきます。これは私の推測にすぎませんが、80度のお湯なら殺菌できるという解釈が国際的に拡散していくうちに付与されたものと思われます。

おそらく、水を飲みましょうといわれたときに、80度のお湯なら殺菌できる温度と解釈した勢がいて「耐熱性がなく死ぬ」という言葉が混じったのでしょう。理由も書いておらず水で効果があるといわれたら、お湯と表記を変えたくなるのも無理のない話です。

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●問題点は、結果的に効果がある予防法を全面否定してしまったこと

ガッテン!の内容から、水をこまめに飲むことで、細菌・ウイルスに対する予防効果はあると認識してよいはずです。
これをお湯に変えても、引き起こす結果は同じです。

線毛によって体外に排出された菌・ウイルスは二次感染を引き起こさないかぎり死滅します。胃液によって溶かされた場合も同様であり、結果として水をこまめに飲めば菌・ウイルスを遠ざけることができることになります。

ところが、某新聞の記事では、a.「『お湯を飲んで予防』がデマ」と明確にタイトルから断言されてしまっています。

●一部の表面的な情報が変容しただけで「本物」がデマ扱いに

SNSで人々の知恵が集まり、不要なものが振るい落とされ、本物だけが持つ大きなうねりとなったところで、デマだという烙印を押されてしまいました。

大勢の人が本当に良いものと評価し伝える内に、一部の表面的な情報が変容し伝わったために、デマ扱いされ、叩き潰されてしまうという現象が起こったのです。

もし、不完全なファクトチェックがなければ、多くの人が健康のために水(お湯)を飲み続けていたことでしょう。そして、番組がうたっていたように、マスク・うがい・手洗いに追加される新予防法として国内に浸透していたはずです。この番組をしっかり観たものとしては、この上ない無念さを感じます。

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●中国からのチェーンメールはどこから来たのか?

この番組を実際に観て、しばらくしてから思い至ったことですが、中国からのチェーンメールの一部も、この番組が大元であろうことに気づきました。国内に在住する中華圏の方はたくさんいますし、NHKは海外放送もしています。

この番組を観た中華圏の人が、武漢でウイルス騒ぎが起きたときに、ここぞとばかりに「水を飲む」という予防法を伝えても何も不思議ではありません(おそらく冬場なので自分は白湯にして飲んでいたのでしょう)。

理由付けが忘れ去られていたり、無数に転送されるうちに変容することはよくあることです。この番組の医学的理由付けを誤って覚えている人だったのでしょう。Twitterでこまめに水を飲んでウイルスを胃に落とす、という予防法をツイートし10万リツイートされていた人が、コロナが流行る数年前の段階でデマ扱いされている記事を昨日見つけました。実践している予防法自体は正しいものだったのですが、理由付けが微妙に変容しています。

●この番組を観る方法

残念ながら、私が確認した限りでは「NHKオンデマンド」でも「NHK+」でもこの番組は公開されていません。ガッテン!自体がわすが数本しか公開されておらず、この番組は含まれていません。また、YouTubeにも該当の番組は見当たりません。著作権違反になるため削除されてしまうのでしょう。

ウイルス感染への新予防法として日本の人に広く正しく認識してほしく、NHKに再放送をお願いする文書をおくったのですが、いまだ叶っていません。

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●某新聞社とファクトチェックサイトへの情報提供の文書(一部)

以下に、某新聞とファクトチェックサイトに対して私が録画ディスクと共に送付した「有効な予防法がデマとして認定されてしまうまでの仮説」という文書を掲載します。下に示すものは補足で、本体の趣旨はだいたいこのnoteの文章と同じものです。

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残念ながら、何の反応もありませんし、記事もそのままWeb上で公開され続けています。

●最後に

日本が都市ロックダウンのような強硬な手段を採らない以上、人々の日常的な予防に今後の日本の運命が掛かっています。
この最大級の国難に際し、一つでも多くの予防方法が提供されれば、一人でも多くの命が助かることでしょう。多くの人々の健康と命を守るかけがえのない貴重な予防法の正しい知識が人々の間に広まることを願って止みません。

ファクトチェックには、ほかの案件にも貴重な予防法に関する大きなミスリードがあります。一人一人がきちんと事実を見極める目を持つ必要があるのでしょう。




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大切な人の命を守る知恵 Raren
一人でも多くの人の命を守る活動を続けたいと思っています。