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激遅 読書感想文 《国のない男》、《臺灣同化策論》

ドーモ、レアコイルです。
前この2冊の本を読んだ(片方は半分くらいしか読めていないから果たして読んだと言っていいのか)ので、思い出せる分は書いておこうかなって。決して他に何も読んでいないけどなんか本を読んだ雰囲気を出しておきたいとかそういう理由ではない。

《国のない男》 カート・ヴォネガット

原題A Man Without a Country。ヴォネガット最後の作品であり、総集編というかカート・ヴォネガット劇場版くらいの感触だった。

ヴォネガットも「ここまでいろんなこと書いたし今更マジレスするまでもないけど…」みたいな雰囲気で、いつものおどけた文章ながらもヴォネガットの信念にかかわる部分はしっかりと主張していて、この人の人生の凝縮みたいな味わいがあって、かなり読んでいて楽しかった。
特に共感した部分は「創作でメシを食うのは真剣(マジ)で止めた方が良い」けど、「何かを作ってみろ。そしたら『何かが』残る」ところとか、「世界はクソだ。でもいい奴であろうとすることをあきらめるな」とか、「生は生物にしていい扱いではない」とか、ぱっと見かなり過激な思想だが、曲がりなりにも80年以上生きたお爺さんなのだから、色んなことを見て色んな事を考えた結論がこれって考えると悲しいね。
上でもいった通り、作品全体通してヴォネガットらしく文章はおもしろおかしく書かれていて、読んでいて楽しくてストレスフリー。でも取り扱っている話題はどっちかというとかなりシリアス(これもいつも通りではある)。面白いけど、本当にめちゃくちゃしんどい話でもある。でもしんどいからこそ茶化さないとやってられねえよ!ってお爺さんの矜持がなんとなく感じ取れる。
最後の作品と知らずに読んだけど、もうこれ以上ない終わりすぎてもはや他の過去作を読むモチベーションが湧かないというか...…かなりよかった。

《臺灣同化策論》 柴田廉

一名「臺灣島民の民族心理學的研究」。図書館で適当に本を漁っていたら見つけた、実に100年以上前に日本人の学者さん?が書いた、当時の民族同化政策、世論などについて評論した著作。おまけとしてついてる民俗信仰やらの資料も読んでいて面白かった。

こっちは全部は読めなかったが、読めた部分はちゃんとおもろかった。台湾語のフレーズをひらがな交じりで表すのは100年以上前からあったんだな~ってなった。100年前の通説とか世論はどうなのか分からないけど、作者によると総督府による通婚政策とか同化政策とかはかなり的外れで、役人もあまり(台湾)地元の事情を知らずに同化同化と口で言ってるだけで、まったくもってけしからんって感じらしい。僕は詳しくないから分かんないけど。

その後日本が敗戦して、台湾はシナから逃げてきた他の敗北者に占領されたから同化もクソもなくなったんだけど、普通に100年以上前の統治政権の研究者の話として面白かった。

ついでにだけど、同じ本棚に置いてあった(名前は忘れた)本にはこれまた日本の人が書いた近代台湾史が載ってて、鄭成功が管理した20年くらいのことは詳らかに書かれていて、「鄭成功の功績はデカイ」みたいなことを言われていた。4ページにわたってすげー詳細に書かれていた。それに対し「清は100年くらいにわたって特にちゃんと治めようとする姿勢も見せずほったらかしにしててサイテー」って1ページしか書かれてなかったのがめちゃくちゃ面白かった。「清時代はサイテーだけど劉銘傳だけはやり手だった」とも書いてあったのがまた面白い。一概に否定しているわけではないのが逆に信ぴょう性が出るというか。

まあこんな感じかな。次読む予定の作品はダンテ・アリギエーリの《神曲》と、小林多喜二《蟹工船》だ。片方は最近やったゲームの影響でもう片方はインターネット人間の影響だ。いつになるか分からないし神曲は英訳本しか持っていないから全部は多分読めないだろうけど、読みたいという意志だけは一人前だ。今回はここまでだ。じゃあな。

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