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平成31年(2019年)度東京都登録販売者試験 試験問題(午前)その4 問16-20

引き続き、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

問16

 (問題)
適切な医薬品選択と受診勧奨に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 一般用医薬品を使用する者は、一般用医薬品を一定期間若しくは一定回数使用しても症状の改善がみられない又は悪化したときには、医療機関を受診して医師等の診療を受ける必要がある。
b 医薬品の販売等に従事する専門家は、症状が重いとき(例えば、高熱や激しい腹痛がある場合等)でも、まず、一般用医薬品を使用して症状の緩和を図るよう勧めるべきである。
c セルフメディケーションの主役は一般の生活者であり、一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されている。
 a b c
1 正 正 正
2 正 誤 正
3 誤 正 誤
4 誤 誤 正
5 誤 誤 誤

(答え)2
a〇 これは大事な問題ですね。通常なら治すために一般薬も服用されますが、ドラッグストアや薬局でも、患者さんに医師への「受診勧告」をすることが求められます。 
b× 上記同様、症状が重たい場合にはまず受診です!
c〇 この通りですよね。民間療法とかではなくしっかりとしたエビデンス(科学的根拠)に基づいた情報提供を行うことが大事ですね。

問17

 (問題)
サリドマイドに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a サリドマイドによる薬害事件をきっかけとして、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。
b サリドマイドの血管新生を妨げる作用は、その光学異性体のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)を分離して製剤化すれば、催奇形性を避けることができる。
c 妊娠している女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。
d 1961年11月、西ドイツ(当時)のレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、日本では、同年中に速やかに販売停止及び回収措置が行われた。
 a b c d
1 誤 正 正 正
2 誤 誤 誤 正
3 正 正 正 誤
4 正 正 誤 正
5 正 誤 正 誤

(答え)5
a〇 この通りですね。サリドマイドは一回中止になりましたが、多発性骨髄腫の治療薬として再び使えることになりました。これ以外にも、胎児が「アザラシ肢症」になること、もともとは、鎮痛・不眠に使われていたことを覚えておいた方がいいと思います。
b× 難しい部分なのですが、R体とS体はラセミ(鏡で映したように左右反対)です。文章はほぼ正しいのですが、R体とS体は体内で変化するのでR体のみとっても一部S体になってしまうため、防ぐことはできません。
c〇 胎児に移行する場合には、血液胎盤関門を通ります。簡単に言えばフィルターみたいな役割がありますが、脂溶性(油に溶けやすい成分)は、胎児に移行しやすくなります。
d× 日本では1年後の1962年9月に販売停止になっています。この対応の遅さが国民に健康被害を与えてしまうというところから「a」の設問の流れになります。現在でも、製薬会社等や医療従事者が副作用を知ったときには、すみやかにPMDAに報告することと法律でも明文化されています。

問18

(問題)
スモン及びスモン訴訟に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a スモンはその症状として、初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺(しび)れや脱力、歩行困難等が現れる。
b スモン訴訟とは、鎮痛薬として販売されたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹(り)患したことに対する損害賠償訴訟である。
c スモン患者に対しては、治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担等が講じられている。
d スモン訴訟の被告である国は、スモン患者の早期救済のためには、和解による解決が望ましいとの基本方針に立っているが、全面和解には至っていない。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

(答え)2
a〇 この通りですね。これ以外にもスモンは目に影響がでていることも覚えておくといいと思います。
b× 鎮痛剤は、サリドマイドで覚えておくといいと思います。キノホルムは、「整腸剤」になります。あとは上記の副作用(腹痛・下痢・歩行困難)は覚えておいた方がいいと思います。スモンの略はSMON(subacute myelo-optico-neuropathy 頭文字をとっている)ことと別名として「亜急性脊髄視神経症」であることも覚えておいていいと思います。
c〇 この通りですね。厚労省からも助成金が出てインす。
d× 1979年に和解をされています。(条件として、スモンの原因究明と患者の恒久対策)

問19 

(問題)
HIV訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a HIV訴訟は、血友病患者がヒト免疫グロブリン製剤の投与を受けたことにより、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したことに対する損害賠償訴訟である。
b HIV訴訟の和解を踏まえ、国は、エイズ治療研究開発センター及び拠点病院の整備を行った。
c HIV訴訟を契機に、血液製剤の安全確保対策として検査や献血時の問診の充実が図られた。
 a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 正 正
5 誤 誤 正

(答え)4
a× これは少し難しいですよね。血液凝固因子製剤(非加熱製剤)の投与になります。追加知識として、血友病は簡単に言うと血が固まりにくくなる病気であることと免疫グロブリンは、免疫と書かれているので病原体(異物)にたいして働くものと覚えておくといいと思います。
b〇 この通りですね。AIDSの薬もいろいろ出てきていますが、どちらかというと発症を抑える薬なのでまだ完治する薬が出るまで時間がかかると思います。
c〇 この通りですね。血液製剤は、緊急時に使われる大事な製剤なので安全に関してかなり厳しく管理されています。

問20

(問題)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)及びCJD訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a CJDは、認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。
b CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていたウシ乾燥硬膜を介してCJDに罹(り)患したことに対する損害賠償訴訟である。
c CJDは、ウイルスの一種であるプリオンが脳の組織に感染することによって発症する。
d CJD訴訟の和解を踏まえ、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
 a b c d
1 誤 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤

(答え)5
a〇 この通りですね。この疾患が流行った時、CJDの患者さんに使われた器具などの消毒について結構慎重になっていました。消毒が不十分だと院内感染を起こす事例がでていました。脳がスポンジ状になること、プリオン蛋白によること、ヒトの乾燥硬膜を追加で覚えておくといいですね。
b× 上記の通り「ヒトの乾燥硬膜」です。
c× 上記の通り「蛋白の一種」です。
d× この系統はかなり紛らわしいので覚えるのが難しいと思います。医薬品の副作用救済制度は、「スモン(整腸剤 医薬品)」。CJDは、ヒトの乾燥硬膜からわかるように、生き物から伝染しているので、「生物由来製品の安全対策強化、感染等被害救済制度が創設」と関連付けた方が覚えやすいかなと思います。

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