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平成31年(2019年)度東京都登録販売者試験 試験問題(午前)その7 問31-35

・はじめに

では、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

問31 

(問題)
医薬品の有効成分の吸収、代謝及び排泄(せつ)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 内服以外の用法で使用される医薬品には、適用部位から有効成分を吸収させて、全身作用を発揮させることを目的とするものがある。
b 血漿(しょう)タンパク質と結合して複合体を形成している有効成分は、排泄(せつ)の過程において腎臓で濾(ろ)過されないため、長く循環血液中に留まることとなる。
c 医薬品の有効成分が代謝を受けると、作用を失ったり(不活性化)、作用が現れたり(代謝的活性化)、あるいは体外へ排泄(せつ)されやすい脂溶性の物質に変化したりする。
d 一般に、消化管からの吸収は、医薬品成分の濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象ではなく、消化管が積極的に医薬品成分を取り込む現象である。
 a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 誤 誤 正 誤

(答え)2
a〇 この通りですね。例えば、解熱の坐薬がわかりやすいかと思います。お尻から入れるけど熱を下げるのは全身ですよね。あとは禁煙の時に使うニコチンパッチも分かりやすいかと思います。腕などに貼りますが、ニコチンは血液を通って全身に効果が出ます。
b〇 この通りですね。何を言いたいのかというと、薬と血漿タンパクと手をつなぎあっていると薬の分解が遅れる→効果が長く表れるということを言っています。もちろん手をつなぎあっている間は薬の効果が出ないので、どっちがいいかという問題ではありません。手をつなぎあっていると保留状態と思っていただけるとわかりやすいと思います。
c× 脂溶性→水溶性ですね。おしっこででるので水溶性になります。脂溶性だと逆に体内に蓄積するので出にくくなります。薬は体で分解したりそのままの形でも体外にだします。薬も体にとっては異物なんですね。
ちなみに、「作用が現れたり(代謝的活性化)」の意味は分かりましたでしょうか?これはプロドラッグ(薬効を表す前の状態の薬)を指しています。体の中で分解をすることによってはじめて薬効が現れるのです。体で分解されると薬の効果が落ちてしまうので、分解する前の状態で使用して、体の代謝を利用して薬の効く状態にすると考えてもらえればわかりやすいかと思います。
d× これは逆ですね。通常は濃度の高い状態から低い状態になるのが一般的です。

問32

(問題)
 医薬品の剤形及び適切な使用方法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 軟膏(こう)剤とクリーム剤は、有効成分が適用部位に留まりやすいという特徴があり、一般的には、適用部位を水から遮断したい場合にはクリーム剤を用いることが多い。
b チュアブル錠は、薬効を期待する部位が口の中や喉であるものが多く、飲み込まずに口の中で舐(な)めて、徐々に溶かして使用する。
c カプセル剤は、水なしで服用するとカプセルの原材料であるゼラチンが喉や食道に貼り付くことがある。
d 外用液剤は、軟膏(こう)剤やクリーム剤に比べて、患部が乾きやすい。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)5
a× クリームより軟膏の方が水を防ぎます。軟膏は油のような考えをしてもらえれば水をはじくという部分でわかりやすいと思います。
b× チュアブル上は噛んで砕いて飲む感じなのと全身に効くのが一般的です。この文章はトローチですね。当たり前のことですが、トローチをなめた後、すぐ飲み物を飲むと、トローチの成分が流れてしまうので効果が落ちてしまいます。殺菌であれば歯を磨いたりうがいなどをした方がもちろん効果は若干は良くなると思いますよ。
c〇 これはその通りですね。錠剤でも同様です。張り付くと潰瘍になることもあるので、十分な水で薬を服用することが大事ですね。
d〇 この通りですね。乾きやすいという部分を考えるとメリットディメリットがあると思います。早く乾けば服などもすぐ着やすいとかもあると思いますが、保湿クリームのような場合は長く効く方がいいと思います。

問33

(問題)
 医薬品の副作用として現れる肝機能障害に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品の有効成分又はその代謝物の肝毒性による中毒性のものであり、アレルギー性のものはない。
b 軽度の肝機能障害の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多い。
c 黄疸(だん)は、ビリルビン(黄色色素)が血液中へ排出されず、胆汁中に滞留することにより生じる。
 a b c
1 誤 正 正
2 誤 誤 正
3 誤 正 誤
4 正 正 誤
5 正 誤 誤

(答え)3
a× だいたいこういった文章は×ですよね(笑)。医薬品による肝障害であったり、肝臓は代謝をする臓器なので、有害性物質がたまれば中毒性なのかなと思います。アレルギー性のものは、アレルギーというと、蕁麻疹であったり、花粉症であったりかと思いますが、基本的には免疫反応なのでそれによって肝臓も影響があると思います。例えば、蜂などによるアナフィラキシーですが、これは一種の防御反応です。気道が閉塞するという意味を考えると、異物が外から入らないように体が一種の防御反応をしていると考えると少しわかりやすいかなと思います。
b〇 この通りですね。検査値のGOT(AST)とかGPT(ALT)、γ-GTPなどが上がってくると肝機能異常かなと考えますが、心臓などほかの臓器の影響もあるので注意が必要です。簡単に言うと、臓器の細胞が壊れるとこの成分が血液に漏れるので数値が上がると考えるとわかりやすいかと思います。
c× 黄疸は、血液などに流れるから黄色く見えます。目や肌などが黄色くなると黄疸→肝臓に異常があるかなと考えられます。よくみかんを食べすぎると手が黄色くなるみたいなことがあったと思いますが、みかんでなければ、黄疸を疑ってもいいと思います。通常は、ビリルビンは尿中に排泄されます。

問34

(問題)
 医薬品の副作用として現れる偽アルドステロン症に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 偽アルドステロン症とは、アルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、体内にカリウムが貯留し、体から塩分(ナトリウム)と水が失われることによって生じる病態である。
b 主な症状には、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦けん怠感、手足のしびれ等がある。
c 小柄な人や高齢者で生じやすい。
 a b c
1 誤 正 正
2 誤 誤 正
3 誤 正 誤
4 正 正 正
5 正 誤 誤

(答え)1
a× これは誤りですね。アルドステロンはナトリウムをためる→血圧が上がるということを覚えていれば×とわかります。ちなみに甘草(かんぞう 成分:グリチルリチン)で出やすいことも覚えておくといいです。漢方薬にはよく甘草が入っています。理由として、他の漢方との調和をするのに甘草が使いやすいんですよね。(君臣佐使の考え方です。)豆知識として覚えておくといいかもしれません。なので漢方の併用をすると、甘草の量が増えて、偽アルドステロン症が起こりやすいということもあります。
b〇 この通りですね。特にむくみがあったり、高血圧などは注意が必要ですね。結果として医師と相談になるかもしれませんが、相談があったときに、外観から病気を推定して判断することも大事です。
c〇 この通りですね。どちらかというと高齢者の方の方がいろんな薬を飲んでいるので注意が必要かと思います。

問35

(問題)
 医薬品の副作用として現れる無菌性髄膜炎に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人では、発症リスクが高い。
b 多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔(おう)吐、意識混濁等の症状が現れる。
c 原因となった医薬品の使用を早期に中止しても、回復は遅く、予後は不良となることがほとんどである。
d 過去に軽度の症状を経験した人の場合、再度、同じ医薬品を使用することにより再発し、急激に症状が進行する場合がある。
 a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

(答え)5
a〇 この通りですね。こういった問題は比較的〇が多いかなと思います。髄膜炎と免疫疾患の関連性については正直自分も知識を持ち合わせていないのでコメントできませんが、一般的にアレルギーマーチと呼ばれていて、免疫疾患を持っている人はほかのアレルギー疾患にかかる可能性が少し上がると言われています。例えば、気管支ぜんそくの方は、花粉症やアトピーなどもかかりやすいなどが有名かと思います。
b〇 この通りですね。ここで覚えておいた方がいいのが、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛発熱吐きけ嘔(おう)吐意識混濁かなと思います。細菌性ではないが髄膜炎を起こすと結構治療も大変です。
c× これは誤りですね。早期に原因医薬品の使用を中止すれば、予
後は比較的良好といわれています。まれに重篤な中枢神経系の後遺症が残ることもありますが、おかしいと思ったらすぐに薬をやめるということが大事です。イブプロフェンに出ると言われています。痛み止め系は結構様々な副作用を起こすことがわかっているので注意が必要です。
d〇 これはこの通りです。上で書いた免疫の部分と同じような考え方になるのですが、一回体に合わなかったら、二回目はもっと早く体が反応をするので、同じ量を使用すると余計にひどくなると考えればわかると思います。免疫と同じく防御反応なので体が警告してくれる、だめなものとわかったらより早くに知らせてくれる。その代わり症状もひどくなると覚えてもらった方が理解しやすいかなと思います。

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Rare Pharmacist Hide / 薬局改善・革新士(Pharmacy improvement and innovation specialist)
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