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友だちの輪の最果てに立つ母、娘はネコを守り、カレーに悩む
「子ども会は消滅するかもしれない。」
そんなふうに思ったのは、笑っていいとも!だったら完全にアウトだからだ。タモリさんに「友だちの輪~!」と促されても、来年の役員どう?と、電話をかける相手がいない。そう、私はいつの間にか**フレンド・ループのファー・エンド**にたどり着いてしまったらしい。
紹介できなきゃ、一旦CMにも行けない。
どん詰まりだ。
あの大きな道路を超えた先には何人かママ友いるのに。
同じ町会の中にはもういない。
ここまで来ると、いっそ子ども会なんて無くしてもいいんじゃないかと思う。もちろん、あればあったでいい。でも、運営する大人がいないのだもの。 しゃんめぇよ。
「子ども会が無くなるかもしれないよ」と娘に話してみた。
「無くなったらどうなるの?」と娘が聞く。
その声には、小さな不安がにじんでいた。
「普段は困らないかもしれないけど、災害があった時に地域に知り合いがいないと困るかもね。インターネットが使えないかもしれないし」と答えると、娘は少し考え込んでいる様子だった。
「そうだ、子ども防災チーム作ったら?」と軽い気持ちで提案してみた。
その言葉に火がついたのか、娘は本当に動き出した。
まず、アレルギーのある友だちのために、避難所で注意すべきアレルギー物質一覧表を作成した。
「友だちは牛乳が飲めないから、炊き出しのカレーには牛乳を入れない方がいいよね」と言う娘。その気遣いには、小さな優しさが詰まっていた。
「炊き出しで何を作ったらみんなが安心して食べられるかな?」と考え込む姿を見て、私はその真剣さに心が温かくなった。
さらに、ペットの避難方法にも目を向ける。「調べたらね、ケージに入れたらペットを避難所に連れて行けるってわかったけど、おばあちゃんちのネコは元捨て猫だから、臆病で、抱っこもほとんどできないの。災害が起きた時に素直にケージに入るわけがないよ。でも、寂しがりやだからおばあちゃんと同じ部屋じゃないとずっと泣いてるんだよね」
こんなことを真剣に話す娘の横顔を見ていると、その取り組みがどれほど本気なのかが伝わってくる。
「そうだ、〇〇ちゃんと〇〇ちゃんも防災子どもチームに誘いたい!」
娘の声が弾んだ。きっとこのチームには、彼女と友だちの想いがたくさん詰まるのだろう。
今年は阪神淡路大震災から30年。あの日、多くの人が家族や日常を失った。震災から得た教訓は、備えの大切さを私たちに教えてくれた。でも、娘の視点を見ていると、それだけでは足りないと気づかされる。備えとは、目の前の人の無事と心の平穏を守るための行動なのだ。
大好きなおばあちゃんちのネコやアレルギーを持つ友だち、そしてその子の大切な家族たちのことを考えながら、避難所の運営計画を作り、炊き出しの献立を悩む娘の姿に、私は防災対策の核心を見た気がした。
目の前の人の無事と心の平穏を思うこと。
それがどんどんつながり、広がっていくとき、
私たちは「地域の輪」を作るのだ。
未来の子ども防災チームの娘の姿が
大人の私にそれを教えてくれているようだった。
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