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思い出と記録

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忘れたくないもの
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夜明けと海

3月の終わり、私は死ぬまでにやりたいことのひとつである「海で朝焼けを見る」を達成しようとしていた。

数週間前、なんとなく母に「いつか真夜中に出かけて海に行きたいんだ」と話したら、母が父にそれを伝えたらしく、数日後の私の通院に向かう車内で父に「来週末海に行こう」と言われた。

ぼんやりと考えていたことが急に鮮明な輪郭を描いて、父母の行動力に対しての驚きと期待を胸に抱いていたらあっという間に、その日

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夏の日

夏の日

時々思い出す記憶がある。今よりは涼しかった夏の日、家のソファに座って開いた窓から流れ込む風を受けていたこと。

なんてことない記憶だ。別に誰かと喋ったわけではないし、特別な日だったわけでもない。

でも、何度も何度も思い出して、なんて穏やかな時間だったのだろうかと回想に浸りたくなる、思い出。

窓はソファのすぐ後ろにあって、私は背もたれで後屈していた。でもすぐに目が回って、身体ごと窓の方へ向き直っ

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多分、忘れられないクリスマスイブ

多分、忘れられないクリスマスイブ

新年が明けてしばらく経ったので、この話を書こうと思う。諸事情ですぐに書くことを躊躇していた。

書くにあたって、私の小学校から中学校のことを記しておく。

私は小学6年生の夏頃から、学校を休むことが増えて不登校になった。

それでもすぐに夏休みに入ったので、ずっと休んでいたのは9月の1ヶ月間。
10月に入ってからは少しずつまた学校に行き始めた。

けれど体調を崩しがちで、起立性調節障害も患っていた

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