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青春の思い出は色あせない。4


コンビニ探しの時はとても長く感じた道も、
帰りはとても短く感じた。
緩やかな上り坂で、
みんな疲れで変なテンションになっていたけど、
それが気持ち良くてとにかく楽しくて、
このまま永遠と歩き続けてもいいと、
その時の私はそんなことを考えていた。


暗闇と疲れが私を高揚させたのかもしれない。
平凡な高校生に、非日常は刺激的で、
夜中に抜け出すという罪悪感が良いスパイスになり、
私の心は踊っていた。

バンガローの近くになりみんなでまた、
あの暗く細い山道に入り少し歩くと男子の一人が、

「あ〜!」と大きな声を上げた。

「なに!驚かさないでよ!」とみんなで怒ると、

「蛍?」

「え??」

「あれ!」

みんで彼の指差す山の中を見ると、
ぼやぼやと黄緑色の小さな光があった。

「あ〜〜蛍だ!始めて見た!」

みんな始めて見る蛍にそれまでの疲れが吹っ飛んだ。
真っ暗な森の中にぼやぼやと光る優しい光、
始めて見る光景にみんな一瞬言葉を失い、
女子の一人が「キレイ・・・」と小さな声で言った。

よくよく暗闇を見ると蛍の光が点々と光っていた。

幻想的で儚い光、
今まで見たこともない光景にみんな少し嬉しくなった。

山の冷たく澄んだ空気、深い森の草木の香り、
狭い獣道のぬかるんだ土すべてが幻のようで、
まるで異次元に来たようなフワフワした感じがした。

異次元に行ったことは無いですが・・・

私たちは無事にバンガローについて各々の部屋に別れた。

神経が高ぶりすぐには眠りに落ちなかった、
横になるとカーテンの隙間から星空が見えた、
雲が無く星がよく見えた、
さっきまで見えた月は窓からは見えなかった、
でも優しく木々を照らしているのはわかった。


冬はもっとたくさんの星が見えるのかもしれない、そんなことを考えていると、いつの間にか深い眠りの世界に入っていた。

つづく


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