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vol.5 議員になりたいあなたへ「国よ、地方自治をじゃまするな」

こんにちは。らぷちゃです。
議員という立場・職業に興味がある方に向けて発信をしています。

地方分権どうこうって話はとりあえず置いといて、日常の実態はねって話。あんまり議員になりたい人に話す内容でもないんだけど。

国がやってる制度で、制度設計がいまいちな施策ってたくさんあって。
コロナの最初の10万円給付なんて、ほんと設計ボロボロで。DVを受けている「妻」がいたら、妻が受け取れるようにしましょうって配慮されても、息子(世帯主)からDV受けてる親(高齢者とか)の場合は誰にどう給付するのかの想定はない。虐待を受けて児相にいる子や、里親のとこにいる子はどうするかの想定はない。国に問い合わせても、考えてないんだから回答できず。やれ給付しろ!って政府が官僚を急がせたばっかりに、とにかくやるしかない!ってボーンて出てきて。

地方自治体職員は本当にかわいそうだった。なんもできないんだもの。目の前に困ってる人が来てるのに、何も回答できないし、適当なことを言っちゃって国からお金が入らなかったら困るしって青ざめてた。市民に謝りまくってた。

それから、数年前に「地方創生加速化交付金」ていう国策があったのだけど、それは要するに「地方自治体が考えるアイデアが良ければ実施するための金あげるよー」っていうもの。「自力で人口増やせる自治体を国は応援します」っていう、自治体間の競争をさせるためのものだったんだけど、当時、うちの自治体はなんと移住者を呼び込むために「SNS発信のための職員教育で2000万円くれ」って国に企画書を出したわけ。ちょっと待てと。どんな教育だよと。職員200人ぐらいしかいないんだぞと。当時すでにインフルエンサーもYoutuberもいたし、ただで学べるコンテンツいくらでもあったときよ。SNSできないのは管理職のおっさんたちだけじゃん。

まあでも、行政ってそういうところなんです。平気でそんな企画を提出しちゃうの。「国が金をばらまくの!?まじ!?どうする、なにする!?」って。日ごろから戦略を持ってない首長や管理職しかいない自治体だと「SNS発信のための教育に2,000万円」とかいうトンデモ案件が出てきちゃう。

結局、私以外の議員はみんな賛成して予算可決して、でもそんな企画は国からスコーンと蹴られるっていうオチだったんだけども(まあでも理由は内容どうこうより、別案件をもう一つ出していて、そっちが採用されちゃったからなんだけど)。とはいえ、SNS教育費用が国に蹴られても「町としては、必要な事業だったから企画した」っていう名目があるから、県から補助金を400万円もらい、町も300万円出して、合計700万円でSNS発信教育事業は実施されたという。小学校の図書費が年間17万円程度しか配分されない小さな町で全然これ笑えない。

隣の自治体はもっとひどいと言えるかもしれない。こちらは「総合公園内にハコモノ作るよー」って企画を出した。今時ハコモノて!!!って突っ込み入れたのは私の友人の議員一人だけだったと聞いてる。そしてなんとこれ、通っちゃって、国から8,000万円おりてきたんだって。

新築で公園に建物たてるだけじゃカッコつかないから、飲食を提供しようとなって、募集かけたら民間から手があがらなかった。公園には朝からパークゴルフの高齢者がわんさかくるんだけど、毎日利用しているのは地元の高齢者だからそんなとこでランチなんてしない。民間は儲からないと読んだんだろうね。正解。

で、最終的に家賃1万円(月額)という破格値で商工会の婦人部が入ったそう。そして600円の決して安くはない紙皿で出されるパスタと200円のドリンクを提供。そのテーブルと椅子は、なぜかアンティークにするんだと町は駄々をこね(癒着の香りプンプン丸)、それも交付金で購入。

もともと公園にハコモノなんて誰にとっても寝耳に水の話。「国がお金あげるけどなんかやらない?」って話がなければ作られなかった。その後の維持費が大変であることは言うまでもなく。

ということで、国のせいで、職員は「トンデモ企画」を立て、運良く?運悪く?お金が来ちゃったらさぁ大変、実施に奔走しなきゃならない。隣町のハコモノの話聞いちゃうと、うちの町の企画のほうがまだ良かったのかもと思ったり。ほんとよく考えてくれ。余計なことはしないでくれ。地方自治体の職員に新しい発想とか、戦略的な予算執行とか無理なんだから。

さて、地方自治体の仕事の8割は「法定受託事務」だという。それは、制度の手続きとか、税の徴収とか、国の代わりに自治体がやりますよ、という仕事で、まあ一般的に役所ってそんな感じよね。その業務が多すぎるために、本当にその地域で困っていること、課題に取り組めない現状がある。

議員の時間配分も似たようなところがあって、国できちんと施策やってくれてたら「子どもの医療費無料の年齢制限を引き上げろ!(共産党)」とか「不育症治療の助成を!(公明党)」ってやらなくてよい。沖縄には不育症が多くて北海道には不育症はいない、みたいな地域差がある話なら別だけど、日本全国で分け隔てなく助成すべきことは国でやってくれよ。答弁を必死に考える職員の時間だって別に回せる。共産党も公明党も結構頑張って仕事するほうの部類の議員なので、ほんと、時間もったいないと思う。

ついこの前、国会の予算委員会で立憲議員が「小中学校のスクールカウンセラーが月に4時間程度しか派遣されない実態を知ってるか」と質問してたのをテレビで観たけど、まったく同じようなことを自分が3年ぐらい前に町の議会で聞いたことを思い出して・・・。あのとき職員からは全然答弁がなかったけど、今こんな次元の話を国でしてるんだったら、町の職員が率先して答えられるわけがないかー、と改めてがっかりした。国ちゃんとやれや。

地方議会は、地域の中で、目の前で起きている課題を解決をするために時間を使うべき。地方自治体が自治を実現できないのは、国が地方に余計なことをさせるから&国がきちんとやらないから。地方議員も意識して、国のことは国会議員に任せよう。

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