現代飲食市場で勝ち抜く:料理人が考えるべき戦略/『売れる料理を作る仕事が、真に料理人である』
時代を生き抜く経営戦略
料理人にとって「提供している価値とは何か?」という問いは常に重要です。
料理に売り上げが伴わなければ、その活動はただの趣味やボランティア活動と同義になります。実際、飲食店の廃業率は3年で70%、5年で80%、10年で90〜95%に達するとされています。
これは、多くの飲食店がビジネスとして実質成立していないが運営している、つまり適切な"価値を提供できていない"ということを意味します。料理人にとっての「おいしい料理」は、単に自己の味覚を押し付けたり、共感を求める承認欲求の充足に過ぎない可能性があります。
技術を評価してもらう事も勿論重要ですが、そこばかりに目が行き、隠された”真に重要な事実”に目を背けている可能性があります。
承認欲求が満たされるとき、料理人は大きな満足感を得ることができますが、それらが売り上げに繋がらなければ、その成果は真に社会的な意味を持たないかもしれません。
ファストフード=おいしい?
さて、美味しい料理の定義は、しばしば売り上げ実績で評価されることがあります。その場合、成功した料理とは結局のところファストフードに限定されます。
売り上げの高い飲食店チェーンの例として、以下の企業が挙げられます。
ゼンショーホールディングス
日本マクドナルドホールディングス
すかいらーくホールディングス
FOOD&LIFE COMPANIES
くら寿司
コロワイド
吉野家ホールディングス
トリドールホールディングス
サイゼリヤ
ドトール(旧レスホールディングス)
これらの企業は、広い市場で認められた美味しさと効率的な運営を通じて、大衆に受け入れられています。しかしどうでしょう?
これらの企業利益が多いからといって、それらが真に美味しい料理と言えるでしょうか。大手チェーンの飲食店は、単なる「美味しさ」を超えて、日常生活のインフラとしての役割を果たしていると考えることができます。
これらの店舗はアクセスしやすく、価格も手頃で、一貫した品質を提供します。そのため、忙しい日常の中で手軽に利用できる便利さが評価されています。
これらの価値提供は日常生活に根差した、手間や時間との交換にあり、効率化を価値にすることに重きを置いています。単に利益率だけが美味しさではないという事ですね。
インフラとしての飲食店
このようなビジネスモデルは、「ただ美味しい料理を提供する」という伝統的な飲食店のアプローチとは異なります。大手チェーンの成功は、効率的な運営、規模の経済、広範囲なマーケティング戦略、そして顧客の生活リズムに合わせたサービス提供に依存しています。これにより、食事の選択肢としてではなく、日常生活の一部として組み込まれているのです。
この事実は時代背景を追っていけば、全貌が見えてきます。そしてまずは、私たちの認識を新たにする必要があります。
「美味しい料理だけでは、提供できる価値が限られる」という事実を認識し、多くの人にとっての新たな試みを実施する必要があります。全ての飲食店のうち、実際に成功しているのは約5%に過ぎず、95%の店舗が表面上は成功しているように見えても、内部事情は困難に直面していることが多いのです。
では歴史的な流れと現代の傾向を比較しながら、順を追って解説していきましょう。まずは最近の傾向から追って行きます。
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