まじめな人が抱える心の疲労とその対処法
現代社会では、私たちはさまざまなコミュニティに属し、その中で他者とうまくやっていくために心を砕くことが多いです。職場や隣近所、ママ友や趣味の仲間など、どのコミュニティでも「場の空気を読む」ことや「他人への気遣い」は欠かせません。しかし、特にまじめな人ほど、その心の負担が大きくなることがあります。精神科医の片田珠美さんは、まじめな人が抱える心の疲労について解説しています。
まじめな人にはいくつかの特徴があります。まず、強迫観念が強く、「○○しなければならない」「△△してはいけない」という思考が根深くあります。これにより、無意識に自分にプレッシャーをかけ続けてしまうのです。また、他人からどう見られるかを過度に気にするため、他者の期待に応えようと無理をしてしまう傾向があります。さらに、承認欲求が強く、ほめられたり評価されたりすることを強く望む一方で、叱られることや失敗を極度に恐れます。
こうした傾向が強いと、まじめすぎるあまり心の疲労が蓄積してしまいます。このような疲弊を防ぐためには、「すべてに100点を目指すのではなく、60~80点でよしとする」という考え方が重要です。また、誰でもミスや失敗をすることを受け入れ、それをどう修正し対応するかに注力することが大切です。
まじめな人は、万全の準備ができていないと不安を感じがちですが、人生にはどうしても対処できない事態が起こり得ます。そうしたときには、「なるようになる」という考え方で肩の力を抜き、自分が今できることに集中することが求められます。謝罪や修正に必要以上にエネルギーを使うよりも、現実を冷静に見つめ、誠実に対応することが大切です。
以上のように、まじめな人ほど、心のバランスを保つための柔軟性が求められます。日常の中で、少しでも心の負担を軽くするための意識を持ち、気楽に構えることが、長い目で見れば自分自身を守ることにつながります。