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【解説チャレンジ①】個別最適な学び×ロイロノート〜個別最適な学びとは?〜


「個別最適な学び」

GIGAスクール構想をきっかけに、授業の中でもICTが当たり前のように使われる機会が増えました。昨今、公教育業界でよく出てくるキーワードが「学習の複線化」「個別最適な学び」の2つです

本書は、これらのキーワードをロイロノート・スクールという学習アプリを使って、どのように「学習の複線化」「個別最適な学び」を図るか、その具体的な授業づくりを提案したものになります。

私も、先生方から日々さまざまな実践を見たり聞いたり体験しています。ただ、大事なのはその実践の背景にある理論や考え方です。
本書の良いところはhow toだけでなく、その裏側にある理論を書いています。本の構成も前半が理論編、後半が実践編という構成になっています。

しかし、本を仕上げるにはページ数が限られています。そのため前半の理論編では多くの専門用語をつかって紹介しています。

解説にチャレンジする理由

いい本だからこそ、多くの人へ。特に、業界外の人や教育に興味がある人にも届けたいなと思ったのが理由です。その背景には私が所属するLoiLo社のミッションは以下になります。

株式会社LoiLoは、シンプルで、触っていて楽しいソフトウェアにより、人間の可能性を創造する企業です。

https://loilo.inc/ja/about

私が所属するLoiLoは、すべての人にとってわかりやすく、実際に触ったり体験することで新しい発見や可能性を見出すことを大事にしています。

この書籍の理論も、なるべくシンプルで分かりやすい文章にすることで、興味のある方に届くことを願い、そして、今公教育でどういったことが大事にされているのか。これからの公教育の可能性について、多くの人と一緒に考えることができればと思いました。

そして、そのような試みをすることが所属する人間としてできることなのではないかと思い、解説チャレンジをしてみることにしました。

解説チャレンジ 「個別最適な学び」を知るためのキーパーソン

「個別指導」という考えを提唱した安彦忠彦先生

本書では、安彦忠彦先生と水越敏行先生と加藤幸次先生の理論を背景に個別最適な学びの意味を紹介しています。

安彦忠彦先生は、「個別指導」という言葉を、先生がどう教えるかではなく、子ども一人ひとりがどうやって成長するかを大切にする考え方だと言っています。つまり、子どもの学んだ成果が、自身の成長につながることが目的であり、そのための学びの手法は問わないという考えです。

このような考えが提唱された、きっかけの背景が2つあります

  1. 1977 (昭和 52)年の学習指導要領改訂
    これまで行われていた知識つめこみ型の教育に対する反省から、ゆとりある学校生活が目指されるようになり、児童生徒の個性や能力に適した教育が求められる内容になりました。

    では、なぜ反省をしなければならなかったのでしょうか?それは、2つ目の背景です。

  2. 「おちこぼれ」という社会問題
    1971 年に公表された全国教育研究所連盟の「義務教育に関する意識調査」で当時の小学校教師の 65.4%、中学校教師の 80.4%がクラスの半数以上の子どもが授業の内容を理解していないと回答したことが明らかになったそうです。

    この結果が、社会一般に大きな衝撃を与えることになり、「落ちこぼれ」という語は授業についていけない多数の子どもたちの出現を示すものとして、教育界を超えて流行語ともなりました

以上の2つの背景から、安彦忠彦先生は「個別指導」を手法ではない。
これからの教育のOSになる考え方だと提唱したのではないかと推測します。

私的には「個別指導」というと、学習塾などで4~5人くらいの小グループに対して1人の講師が教えるというイメージを持っていたので新鮮な考えを持ちました。

個別指導を成り立たせる2つのアプローチ

この考え方には2つの大事なアプローチがあります。1つ目は、みんなが同じゴールを目指して進むために、子ども一人ひとりに合った教え方をすることです。たとえば、今日の授業の内容が難しいと感じている子には、その子に合った方法で教えてあげるということです。これを「個別化」と言います。

2つ目は、子どもそれぞれの好きなことや得意なことに合わせて学ぶ目標を決めることです。こうすることで、子どもたちは自分にぴったりのペースで、自分にとって意味のあることを学ぶことができます。これを「個性化」と言います。

つまり、これら2つを含んだ概念が個別指導というものになります。

安彦忠彦先生の考えをベースに、新しい考えを提案した水越敏行先生と加藤幸次先生

また、水越敏行先生も、子どもたちの違いを「量的な個人差」と「質的な個人差」という2つの考え方で整理しようとしました。

個別化・個性化というが、どのような観点でそれぞれの個人差を見るべきなのか?またどのように対策をすれば良いのか?というのを図に落とし込みまとめたのは水越敏行先生です。

また加藤幸次先生も「個別化教育」には2つの重要な方向があると言っています。

1つ目は、「指導の個別化」です。これは、みんながしっかりと基礎的な勉強(つまり基本的なこと)を身につけるために、効率的に教える方法です。つまり、子ども一人ひとりが理解しやすいように、違う方法で教えることです。

2つ目は、「学習の個性化」です。これは、子どもたちの興味や関心を大切にして、それぞれが自分に合った学び方をすることです。これにより、子どもたちはもっと個性的(つまり自分らしい)になっていきます。

これらを元にさらに整理した図は本書に掲載しておりますので、ぜひご一読ください。

まとめると、「個別化」は、みんなが同じことを学ぶけど、それぞれ違う方法で学ぶこと。そして「個性化」は、子どもたちが自分で学ぶ内容や目標を決めて進めていくことです。どちらも大事で、子どもが自分で学ぶことを決めて楽しみながら進められるようにすることが、この考え方の目的です。

今言われている「個別最適な学び」と通じる部分があるのがわかるのではないでしょうか。

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