まだまだ、あきらめきれないあなたに。
変わるもの 変わらないもの
大学時代に住んでいた街を、おそらく卒業ぶりに訪れた。
もう、6年も経ってしまったらしい。
都内で働かなくなってから、中央線に乗る機会もなくなった。懐かしい街並みを見ながら、胸がきゅうっとなった。
今日出かけたのは、大学時代のバイト先の知り合いと久々に会うため。
変わらない話し方にほっこりしながら、すくすく育つ娘さんの話を聞いた。
知り合いと別れたあと、こんな機会もないよなぁと、ひと駅分歩いてみることにした。
2つの駅から歩いてそれぞれ10分強の場所に住んでいたので、久々のお散歩タイム。
歩きながら、どんなもんだろうかとキョロキョロする。おおかた変わらない景色に少しの安堵。
よく通っていた整体はまだあったし、大好きなケーキ屋さんも変わらずそこにあった。あの時と値段は変わってしまったけれど、お土産にと一つ買う。
それでも、見知らぬお店はやはり増えた。
よく歩いていった激安スーパーは別の激安スーパーになっていたし、私好みではないけれどよくいただいたケーキ屋さんは潰れてしまったらしい。
あの日の景色は
思い出も、夢も、この街にしっかり詰まっていたなぁと思う。
上京しか考えていなくて、ここに来れば、いさえすれば未来は明るいと本気で思っていたあの頃。
夢は見るだけではかなわないのに、かなえる努力の仕方を知らず、知ろうともせず、まちがった頑張り方をしていたのかなぁ。
もらった内定を受けて田舎に帰っていたら、新しい道が拓けて、いまごろ描いていた未来に近い生活を送っていたのだろうか。
わからない。
ただここにあるのは、【こうじゃなかった】未来だけ。
「選んだ道を正解にする!」って決めたものの、結局なにも満足せず、もがきたいのにもがき方も分からず、ただ足踏みしている毎日。
これを大人になりきれない状態というのだろうか。
適当に見切りをつけて、ほどほどに諦めて落としどころを探る。
そんな賢い生き方ができない自分に、いちばんイライラする。
そんなことを考えながら歩いていたら、大粒の涙をこぼしていた。
泣くな、泣いても何も解決しないから。
でも、じゃあどうすればいい?
私がアーティストだったなら、この胸の痛みをうたにできるのに。
ここから一念発起して、売れてやるぞって、いい詩が書けるのに。
明日へ
夢や妄想を膨らませるのは簡単なのに、人生は甘くないよな。
同じ道を歩いていた大学生の私は、こんな未来は想像していなかった。
だけど、もしかしたら、「選んだ道を正解にする」の答え合わせは今じゃないのかもしれない。
まだ、いや、まだまだ理想のためにもがく方法があるのかも。
こんなに不器用に、わがままにしか生きられない私なんだから。
涙をぬぐって、改札を通った。
じゃあね。
また来るときは、泣かないで歩けるその日にするから。
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