RANITOS な 人たち サクの場合
「Salud!(サルー!)」
陽気な掛け声が響くここは、新宿歌舞伎にあるペルーサンド専門店『ラニートス』だ。
「Salud」は、ペルー語で“乾杯”。
私が店に行くと、午前だろうとビールをまず渡してくるお兄さんが、ディレクターのサクさん。
金髪だから行けばすぐ分かると思う。
正直、ペルーのサンドと言っても、
料理のイメージがピンとこない人が多いだろうし、新宿歌舞伎という場所の時点で怪しい。写真も怪しい。
看板もまた、パンツ一丁のカエルがモチーフときた。ますます怪しい。
ただ、TOHOシネマズ新宿のすぐ横にあるラニートスには、映画好きの私にとってもってこいの場所であり、フードを食べたいのはもちろんだけど、ここで働く彼らに会いたくなって訪れることが多い。
そう、人が魅力的なのだ。
店に行ったことがない人にも、行ったことがある人にも、
料理だけではないラニートスを知ってもらいたい。
そんな想いから、今回、サクさんを含めたラニートスをつくる4人に話を聞いてきた。
人からこの店に興味を持ってくれるとうれしい。
1人目:サクさん(33)秋田出身/出勤日:水曜〜日曜
そもそもなぜペルー料理なのか?サクさん自身についてと、店ができるまでの話を聞いてきた。
Q もともと何をしていた人?
バーテンダー。大学・フリーター時代にバーで働いてたんだよね。働く人もお客さんも刺激的で、みんな好きなことを思いきりやっている人たちが集まる店だった。
そんな彼らに触れていたら、自分も何か夢中になれることが欲しくなって。
ただ、今まで何も継続できたことがなくて、好きになったかと思えばすぐ飽きる性格だった自分はなかなかピンとくるものが見つからなくてさ。
そんなある日、一緒に働いている先輩から
「櫻田(サクさん)は圧倒的にブレてる!それが良い、ブレ続けろ」
って言われて。
その一言で、
「今興味があることに夢中になっていればいいんだ。このままでいいんだ」
って腑に落ちたんだよね。
それからしばらく、当時はバーテンダーの仕事を面白いと思っていたから、バーテンダーを続けてた。
Q いつから飲食を始めた?
今も夜に働いている六本木のバーがきっかけだった。俺のターニングポイントだね。
六本木に仕事の拠点を移したのは、それまで培ったバーテンダーの経験がどれだけ通用するのか挑戦してみたかったから。
でも、お店で働き出す前にボスに言われたのが
「料理への造詣を深めて欲しい」
って。
え?と思ったね(笑)
だってそれまで料理をちゃんとやっていなかったし、料理の基本の「き」も知らない俺にだよ。
そこから料理修行のスタート!とにかくいろんな飲食店に足を運んだ。
外で学んで、自分で試して。そうやって料理を学んでいったよ。
Q いろいろなジャンルがある中で、なぜペルー料理を選んだ?
それも六本木のバーがきっかけ。ボスがサルサミュージックが大好きでラテンバンドやサルサミュージックのライブをブッキングしてて、サルサミュージックの特徴の、腹の底から湧き上がるような情熱というか、自然と心も体もアガってくるあの感じに魅力を感じたんだよね。
その魅力をもっと知りたくて、バーテンダーだったこともあってまずはサルサ界を代表するラム酒から勉強を始めた。そこからラム酒に合う料理を探すようになって、南米料理にも手を出し始めて。
そこでペルー料理に出会ってどハマり、研究していった。
Q お店を始めたきっかけは?
大学の同級生に誘われて。
それも相談は一切なしに、
「昼間だけスペース借りてきたからお店やらない?」
っていきなり それが今の場所。(笑)
ただ、それまでもペルー料理をちょこちょこイベントに出店したりしていたから、この機に店でやってみたいと思ってね。
Q 趣味/休みの日は何してる?
仕事の疲労で震えているか(笑)、気になる飲食店に足を運んで酔っ払ってる。
Q 今興味があること/してみたいことは?
ペルーに行く!実は行ったことがないんだよね。本場の味を再現しているつもりだけど、やっぱり実際に食べた・食べないとでは、また感覚も違ってくると思うから。
Q 今後挑戦したいことは?
俺は貝類が死ぬほど好きなんだけど、セビーチェ専門店をやってみたいね。ペルーを代表する料理で魚介類のマリネのことなんだけど、本場ではその専門店が海の見える場所によくあって、採れたての食材を使うらしい。
あとはラニートスを、テラスや屋上みたいな屋外で料理を楽しめる場所でやってみたい。
気持ちいいじゃん。店が必ずしも箱でないといけないと思わないんだよね。空間ごと、楽しくしたい。
Q ラニートスのおすすめのメニューを教えて
絶対にパンコンチチャロン!ペルーの軽食で、豚バラ、レモンでマリネしてる玉ねぎ、サツマイモなどの野菜とサンドしたサンドイッチ。まずはこれを食べてほしいね。
Q 最後に、サクさんにとってラニートスは?
本気の遊び。好きなことを好きなだけやれる場所かな。
「やりたいことがなくて上京した」―――
そう話す彼は今、やりたいことを全力で楽しんでいるようだ。
ーRANITOS な人たちー
ライター Marino Miya
カメラマン goodwill
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