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鵲(かささぎ)よもやま

明日は大寒。来週はかなり冷え込みそうですね。

かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける

百人一首で中納言家持の歌とされるもの。万葉集の撰者とされる、最終官位が中納言だった大伴家持(718~785)ですが、この歌は万葉集には収められておらず、家持の作ではないという説もあります。今回は、寒い夜に詠われたこの歌について。

鵲は、『淮南子(えなんじ)』に「七月七日夜、烏鵲(うじゃく) 河を塡(うず)めて橋をなし 織女を渡す」の記載があるように、天の川に橋を渡す鳥と古代中国では考えられていて、家持もその話を知っていました。当時は織女が牽牛の元に渡る、と考えられていたのですね。

階段は階(きざはし)と言われ、橋と音が通じており、この歌で言う橋とは、天上人と殿上人(高位の貴族)を掛けていることから来る宮殿と地上をつなぐ階段と解釈されています。鵲橋は、日本においては派生したこの意味も含みます。

これとは別に、上の句全体を冬の星々の集まりとする解釈もあります。

わたしが小学生の頃に読んだ漫画の百人一首の解説本では、家持は平安中期の装束で、木製の橋(階段)の絵。けれど奈良に都があった時代だと、宮殿は石の土台の上に立ち、石段で登る造りが主。石段でも橋と言ったのか、遷都も多かったので、仮宮で木造の階段のところもあったのか、そんな中、家持は宿直(とのい、夜勤ですね)をしていたのかな、と考えたりします。寒い寒いと背を丸めず、職場を天の川に見立てる空想力は見習いたい気もします。

中国に鵲橋と名付けられた人工衛星があることを最近知って、ちょっと調べていました。夜空で科学と文学の知が融合していると思うと、中々壮大な話です。

今日の菓銘は「波の花」。
10日から一週間ほど、毎年恒例の金沢・加賀・能登の物産展が梅田の百貨店で行われていて、足を運びました。今回は地震があったこともあり、応援の気持ちからか、いつもより人出が多かったような。
これは金沢の森八さんのお菓子ですが、日本海の荒い波が打ち寄せる時にできる白い泡を波の花といい、それを表したものとのこと。波が暗めの緑なのも日本海っぽいですよね。大阪では決して見られない、北陸ならではの生菓子だと興味深かったです。

今年は北陸の地震が直近で起こっていることもあり、阪神淡路大震災を振り返った話題も、また一入沁みました。こういう機会に、防災の備えをまた見直しています。

寒い中ですが、どうぞできるだけ暖かくしてお過ごしください。


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